宅地建物取引業者は、その「従業者」に対して、その従業者であることを証する証明書を携帯させなければ、その者をその業務に従事させてはならない(宅地建物取引業法第48条)。
この証明書を「従業者証明書」と呼んでいる。
この「従業者証明書」は、宅地建物取引業者が作成してその従業者に交付するものであり、従業者の顔写真が付いたカード型のものである(旧姓使用を希望する者については、従業者証明書に旧姓を併記してよいこととされている)。
なお従業者は、取引の関係者から請求があった場合には、この「従業者証明書」を提示しなければならない(宅地建物取引業法第48条)。
宅地建物取引業者
宅地建物取引業者とは、宅地建物取引業免許を受けて、宅地建物取引業を営む者のことである(宅地建物取引業法第2条第3号)。
宅地建物取引業者には、法人業者と個人業者がいる。 なお、宅地建物取引業を事実上営んでいる者であっても、宅地建物取引業免許を取得していない場合には、その者は宅地建物取引業者ではない(このような者は一般に「無免許業者」と呼ばれる)。
従業者(宅地建物取引業法における~)
宅地建物取引業法第48条の規定により、従業者証明書を携帯させるべき者のことを「従業者」という。
この従業者の定義は、国土交通省のガイドラインである宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方に規定されている。 それによれば、従業者は従事者よりも広い概念である。具体的には、従業者とは「従事者」と「非常勤の役員」と「宅地建物の取引に直接的な関係が乏しい業務に臨時的に従事する者」を合わせたもののことである。
こうした従業者について、宅地建物取引業者は次の2つの義務を負う。
1.従業者証明書の携帯義務(宅地建物取引業法第48条第1項) 2.従業者名簿の作成義務(宅地建物取引業法第48条第3項) また従業者自身は、宅地建物取引業法第31条に定める「業務に関する禁止事項」を遵守する義務を負い、宅地建物取引業法第75条の3に規定する「守秘義務」を負う。
宅地建物取引業法
宅地建物取引の営業に関して、免許制度を実施し、その事業に対し必要な規制を定めた法律。1952年に制定された。
この法律に定められている主な内容は、宅地建物取引を営業する者に対する免許制度のほか、宅地建物取引士制度、営業保証金制度、業務を実施する場合の禁止・遵守事項などである。これによって、宅地建物取引業務の適正な運営、宅地および建物の取引の公正の確保および宅地建物取引業の健全な発達の促進を図ることとされている。