「乙種防火戸」とともに、2000年以前に使用されていた遮炎性能を有する扉の呼称。
建築基準法により、火災の拡大を防止するために設けることが義務付けられた。同法の改正により、甲種防火戸は「特定防火設備」に、乙種防火戸は「防火設備」に呼称が改められた。
建築基準法
国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めた法律。市街地建築物法(1919(大正8)年制定)に代わって1950(昭和25)年に制定され、建築に関する一般法であるとともに、都市計画法と連係して都市計画の基本を定める役割を担う。
遵守すべき基準として、個々の建築物の構造基準(単体規定、具体的な技術基準は政省令等で詳細に定められている)と、都市計画とリンクしながら、都市計画区域内の建物用途、建ぺい率、容積率、建物の高さなどを規制する基準(集団規定)とが定められている。また、これらの基準を適用しその遵守を確保するため、建築主事等が建築計画の法令適合性を確認する仕組み(建築確認)や違反建築物等を取り締まるための制度などが規定されている。
その法律的な性格の特徴は、警察的な機能を担うことであり、建築基準法による規制を「建築警察」ということがある。
特定防火設備
加熱開始後1時間の遮炎性能がある防火設備。防火区画を区切る設備の一つで、区画の開口部に設置し、火炎を感知したときに自動的に閉鎖する。
特定防火設備には、防火シャッター、防火扉などがあるが、これらは、国土交通大臣が定める構造方法を備え、または認定を受けたものでなければならない。
防火設備
火災の延焼、拡大を防止するため建物に設置される設備。耐火・遮炎性能を備えていなければならない。
建築基準で定められている防火設備には、次の2種類がある。
・特定防火設備:防火区画・防火壁・外壁の開口部、避難階段の出入口部分などに設置し、1時間以上の耐火・遮炎性能がある防火戸、防火シャッターなど・防火設備:外壁・防火区画の開口部に設置し、20分以上の耐火・遮炎性能がある網入りガラス、そで壁など
建築基準では、防火地域および準防火地域内の建築物について、その外壁開口部で延焼のおそれのある部分に、防火設備を設置しなければならないとしている。
なお、広い意味では、防火戸、防火シャッター等のほか、火災報知設備や消火設備を含めて「防火設備」ということもある。