木や紙など可燃性のものを燃えにくくすること。難燃剤を塗布する、吸着させる、木材に加圧注入するほか、化学繊維の場合は原料の樹脂に練りこむなどの方法で加工するが、用いる難燃剤や加工の方法は、材質に応じて適切に選択しなければならない。
建築基準法では、「耐火建築物等としなければならない特殊建築物(同法第27条)」として、劇場、映画館、病院、百貨店等のほか、一定規模以上のすべての建築物を挙げており、これらの居室の内装には、「難燃材料」の部材を用いることとしている。
なお、消防法では、高層建築物、地下街、劇場、旅館などで使用する、カーテン、どん帳、展示用合板等(防炎対象物品)は、一定の防炎性能を満たさなければならないとされ、難燃加工される場合が多い。
満たすべき防炎性能は、防炎対象物品の種類に応じて定められ、残炎時間(着炎後にバーナーを取り去ってから炎を上げて燃える状態がやむまでの経過時間)、残じん時間(着炎後にバーナーを取り去ってから炎を上げずに燃える状態がやむまでの経過時間)などで判断される。
また、防炎対象物品については、防炎性能を有するものである旨の表示を付することができる。
建築基準法
国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めた法律。市街地建築物法(1919(大正8)年制定)に代わって1950(昭和25)年に制定され、建築に関する一般法であるとともに、都市計画法と連係して都市計画の基本を定める役割を担う。
遵守すべき基準として、個々の建築物の構造基準(単体規定、具体的な技術基準は政省令等で詳細に定められている)と、都市計画とリンクしながら、都市計画区域内の建物用途、建ぺい率、容積率、建物の高さなどを規制する基準(集団規定)とが定められている。また、これらの基準を適用しその遵守を確保するため、建築主事等が建築計画の法令適合性を確認する仕組み(建築確認)や違反建築物等を取り締まるための制度などが規定されている。
その法律的な性格の特徴は、警察的な機能を担うことであり、建築基準法による規制を「建築警察」ということがある。
耐火建築物
建築基準において、その主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段)が耐火性能を満たし、かつ、延焼の恐れのある開口部(窓やドア)に防火戸など火災を遮る設備を有する建築物をいう。
この場合に、耐火性能を満たすというのは、
1.主要構造部が耐火構造であること
2.屋内で発生する火災、および周囲で発生する火災による火熱に、当該火熱が終了するまで耐えることができるとする技術基準で定める性能(構造耐力、上昇温度などに関する一定の要件)に適合すること
である。
一定の特殊建築物や、都市計画で定められた防火地域内の一定の建築物は、耐火建築物としなければならない。
建築物
建築基準法では「建築物」という言葉を次のように定義している(建築基準法第2条第1号)。 これによれば建築物とは、およそ次のようなものである。 1.屋根と柱または壁を有するもの 2.上記に付属する門や塀 3.以上のものに設けられる建築設備 上記1.は、「屋根+柱」「屋根+壁」「屋根+壁+柱」のどれでも建築物になるという意味である。 なお、地下街に設ける店舗、高架下に設ける店舗も「建築物」に含まれる。
居室
居室とは「居住、作業、娯楽などの目的のために継続的に使用する室のこと」である(建築基準法第2条4号)。 この定義に従えば、一般の住宅の場合、居室とは「居間」「寝室」「台所」である。 その反対に、「玄関」「便所」「浴室」「脱衣室」「洗面所」「押入れ」「納戸」「廊下」は居室ではない。 なお建築基準法では、居住の目的のための居室については、採光に関する基準(建築基準法第28条第1項)と換気に関する基準(建築基準法第28条第2項)をクリアすることを必要としている。 ただし、居室として使用する地下室については採光の基準が適用されず、その代わりに衛生上必要な防湿の措置等を行なうことが必要とされている(建築基準法第29条)。
消防法
火災の予防・警戒・鎮圧や、火災等の災害を軽減するために必要な措置を定めた法律。1948(昭和23)年に制定された。
消防法が定める火災予防のための主な措置は、(1)消防機関による立入検査、措置命令等、(2)住宅用火災警報器の設置・維持、(3)一定の建物における防火管理者の選任、消防計画の作成・届出、訓練の実施等、(4)一定の建物についての消火設備、警報設備、避難設備等の設置・維持、(5)一定の防炎品の検定等である。また、消火活動のために消防機関が即時に強制できる権限(緊急通行、土地や水利の使用、立入制限等)なども定められている。
なお、火災予防のためには、消防法のほか、建築基準法による措置が重要である。
カーテン
窓に掛ける布や膜。日照を遮ったり、部屋を装飾するために使われ、一般に、開閉できる。部屋の仕切りとして使うものも含む。英語のcurtain。
目的、材質、開閉方式などによって選択することになるが、主なものとして、厚手の織物でできたドレープカーテン、薄地で模様のあるレースカーテン、パネルを重ねたブラインド、布を巻き上げるロールスクリーンがある。