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ホルムアルデヒド発散等級
読み:ほるむあるでひどはっさんとうきゅう

シックハウス対策」に対応する住宅性能表示項目として、「換気対策」「室内化学物質の濃度等」とともに、新築住宅の性能表示項目の一つとされている。

ただし、住宅室内の空気中に含まれる化学物質の組成や濃度を、住宅の設計段階において予測することは極めて困難であることから、日本工業規格(JIS)およ日本農林規格(JAS)が建材について定めるFスター等級(星が多いほど発散量が少なく安全性が高い。最も安全性が高いのはF☆☆☆☆「エフ・フォースター」)を指標として利用し、

1)F☆☆☆☆のみを使用している住宅を「ホルムアルデヒドの発散量が極めて少ない」等級3
2)F☆☆☆☆およびF☆☆☆を使用しているものを「ホルムアルデヒドの発散量が少ない」等級2
3)F☆☆を使用しているものを等級1
(等級が高いほど性能が優秀で、安全性が高い)

としている。

 

既存住宅(中古住宅等)については、「室内空気中の化学物質の濃度等」が性能表示項目となっており、ホルムアルデヒドは、濃度の測定が必須の「特定測定物質」となっている。

シックハウス対策

シックハウス症候群(住宅の内部に居ることによって起きる、原因がはっきりしない体調不良)を防ぐために化学物質の室内濃度を抑制することをいう。 建築基準法には、シックハウス対策として次のような規定がある。 1)クロルピリホスを添加した建材の使用禁止 2)内装仕上げ建材について、ホルムアルデヒドを発散する建材の面積制限 3)原則としてすべての建築物に機械換気設備の設置 4)天井裏等について、ホルムアルデヒドの発散の少ない下地建材の使用または機械換気設備の設置 また、住宅性能表示においては、ア)ホルムアルデヒド対策(内装および天井裏等)、イ)換気対策、ウ)室内空気の化学物質の濃度等に関する項目を表示の対象としている。

換気

建築基準法によれば、住宅の居室には、換気のために、窓その他の開口部を設けなければならない(建築基準法第28条2項)。 この住宅の換気のための開口部の面積は、居室の床面積の20分の1以上でなければならないとされている。 ふすま、障子などの常時開放できるもので仕切られた2つ以上の居室は、1つの居室とみなすこととされている(建築基準法第28条4項)。従って、1つの居室には必ず1つの窓が必要というわけではなく、障子で仕切られた2つの居室について1つの窓でもよいということになる。 なお、換気のための換気設備を有効に設けた場合には、上記のような広さの窓などを設ける必要はなくなる(建築基準法第28条2項但書)。

JIS

政府が定めた鉱工業製品等の規格。産業標準化法に基づいて、主務大臣が定める。JISは、Japanese Industrial Standards(ジャパニーズ インダストリアル スタンダーズ)の略語である。 産業標準化を促進するための制度で、定められるのは、製品等の種類、型式、形状、構造、品質などに関する規格である。規格に適合している商品には標章(JISマーク)が記されるが、JISの規格に従うかどうかは原則として任意である。 JISには、固有の番号(部門記号を表すアルファベット1文字と分類番号を表す4桁の数字)が付されていて、仕様書、契約書などにおいて簡便に引用できる。 なお、JISは、従来「日本工業規格」と称されていたが、2019年7月に法律が改正され、名称が「日本産業規格」に変更された。

JAS

食品・農林水産品等に関する規格。JASはJapanese Agricultural Standards(ジャパニーズアグリカルチャー スタンダーズ)の略語で、「日本農林規格等に関する法律」に基づき農林水産大臣が制定する。 JASで定められている規格の対象は、食品・農林水産品等の品質・仕様、その生産・流通プロセス、事業者による産品の取扱方法、事業者の経営管理の方法、産品の試験方法などで、材木、集成材などについてもJAS規格が定められている。 また、適合している産品等には、JASマークを表示しその旨を示すことができる。

ホルムアルデヒド

揮発性有機化合物(VOC)の一つで、アルデヒド基(-CHO)を持つ化合物の代表とされる。化学式はCH2O。メタナールまたは酸化メチレンともいう。無色で刺激臭のある気体で、毒性が強く、水に溶けたものはホルマリンといわれる。フェノール樹脂、尿素樹脂などの原料となるほか、安価なために、接着剤、塗料、防腐剤などとして広く用いられている。 建材や家具に使用されるホルムアルデヒドが原因となってシックハウス症候群を発症することがあるため、その濃度について指針があるほか、建築物への使用が規制されている。建築基準法では、単位時間・面積当たりのホルムアルデヒドの発散量に応じて、建築材料を第1種(0.12mg/平方メートルh超)から第3種(0.05mg/平方メートルh超0.02mg/住宅性能表示制度h以下)に分け、第1種については、使用を禁止し、第2種・第3種についても大臣認定を前提に使用面積を制限している(同法第28条の2第3号、同法施行令第20条の7から第20条の9)。 また、家具や建材からのホルムアルデヒドの発散に対応するため、マンションなど特に気密性の高い住宅においては、原則として常時換気が可能な構造の機械換気設備等の設置が義務付けられている。 さらに、住宅性能表示制度においても、「ホルムアルデヒド発散等級」を設けて性能評価の対象とし、住宅購入者の保護が図られている。