圧縮、引っ張り、曲げ、せん断などの外力に対する部材内部の抵抗力が応力であり、単位面積当たりの応力が応力度である。従って、外力が一定であるときそれを受ける面積が大きければ、応力度は小さくても、変形や損傷がしにくいということになる。逆に、「応力度が大きい部材」は、少ない面積であっても変形や損傷がしにくい。例えば柱であれば、細くても丈夫であるということになる。
許容応力度とは、構造物の設計に当たり、その荷重等を勘案した上で、各部位に配置する部材について、安全等のために想定する外力が、その応力度の範囲内におさまるように設計をした場合の応力度である。
長期に加えられる外力として最も代表的なものは重力であり、短期の外力として代表的なものは地震力や風力である。短期許容応力度とは、地震や台風により生じる部材の変形を、設計に当たりどこまで許容するか、ということである。
建築基準法上は、構造耐力について定めた第20条第1項第1号に基づく保有水平耐力計算の方法について定めた同法施行令第82条第2号の表において、積雪時、暴風時、地震時についてそれぞれ定められた式によって計算した応力度が、施行令第3款(同令第89条から94条まで)に定める各部材ごとの許容応力度を超えないことを確かめること(同令第82条第3号)とされている。
建築基準法
国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めた法律。市街地建築物法(1919(大正8)年制定)に代わって1950(昭和25)年に制定され、建築に関する一般法であるとともに、都市計画法と連係して都市計画の基本を定める役割を担う。
遵守すべき基準として、個々の建築物の構造基準(単体規定、具体的な技術基準は政省令等で詳細に定められている)と、都市計画とリンクしながら、都市計画区域内の建物用途、建ぺい率、容積率、建物の高さなどを規制する基準(集団規定)とが定められている。また、これらの基準を適用しその遵守を確保するため、建築主事等が建築計画の法令適合性を確認する仕組み(建築確認)や違反建築物等を取り締まるための制度などが規定されている。
その法律的な性格の特徴は、警察的な機能を担うことであり、建築基準法による規制を「建築警察」ということがある。
構造耐力
建築物には、自重(建築物そのものの重さ)、積載荷重(人間・家具・設備の重さ)、積雪という垂直方向の力がかかり、また地震力・風圧力という水平方向の力がかかる。 これらの垂直方向・水平方向の力に対して、建築物が垂直方向の力を支え、水平方向の力による変形に対抗することができるということを「構造耐力」と呼んでいる。 また、特に水平方向の力による変形に対抗することができるということを「水平耐力」と呼んでいる。 この水平耐力を備えるように筋かいを入れ、または構造用合板などを張った壁は「耐力壁」と呼ばれている。 建築基準法では、すべての建築物が十分な構造耐力を備えるように、詳しい技術的な基準を設けている(建築基準法第20条第1項、建築基準法施行令第36条から第80条の3まで)。 また、木造3階建てなどの建築物については十分な構造耐力を持つことをチェックするために、設計段階で構造計算を行なうことを義務付けている(建築基準法第20条第1項第2号、建築基準法施行令第81条から第99条まで)。