マンションなどの建物において、隣り合う住戸を区切る壁。「戸境壁(こさかいかべ)」とも言う。
界壁は、建築基準において、一定の遮音性能を備えていること、「準耐火構造」以上の防火性能があること(耐火建築物においては耐火構造であること)が必要とされている。なお、各戸の界壁は、一定の遮音性能を有するものとして小屋裏又は天井裏に達しなければならないとされていたが、2019年の建築基準法改正によって天井の構造が界壁と同等の遮音性能を有するものとした場合には小屋裏等に達しなくてもよいとされた。
界壁の遮音性能については基準があるが、建物の上下階を区切る床の遮音性能については、特に定めはない。
準耐火構造
建築基準において、壁、柱、床その他の建築物の部分の構造が、準耐火性能に適合する建築物の構造をいう。
この場合の準耐火性能とは、通常の火災による延焼を抑制するために、当該建築物の部分に必要とされる性能のことである。その技術的な基準としては、加熱開始後各構造に応じて定められる一定の時間(おおむね45分間)、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであることなどの要件が定められている。
準耐火構造は、火災中の延焼を抑制する性能が求められるにとどまり、耐火構造のように、鎮火後に建物を再使用できるような性能までは要求されていないと理解されている。
建築基準法
国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めた法律。市街地建築物法(1919(大正8)年制定)に代わって1950(昭和25)年に制定され、建築に関する一般法であるとともに、都市計画法と連係して都市計画の基本を定める役割を担う。
遵守すべき基準として、個々の建築物の構造基準(単体規定、具体的な技術基準は政省令等で詳細に定められている)と、都市計画とリンクしながら、都市計画区域内の建物用途、建ぺい率、容積率、建物の高さなどを規制する基準(集団規定)とが定められている。また、これらの基準を適用しその遵守を確保するため、建築主事等が建築計画の法令適合性を確認する仕組み(建築確認)や違反建築物等を取り締まるための制度などが規定されている。
その法律的な性格の特徴は、警察的な機能を担うことであり、建築基準法による規制を「建築警察」ということがある。