シックハウス症候群の発生を予防していることを謳って販売される住宅。有害化学物質やハウスダストが発生しないように配慮しているとされるが、その基準等は明確に定まっていない。また、シックハウス症候群の発生機序については十分に解明されていない。
なお、シックハウス症候群の発生予防については、建築基準法に基づき、汚染源である2種類の化学物質の使用が禁止・制限され、換気装置の設置が義務付けられているほか、住宅品質確保促進法で化学物質の表示を義務化するなどの対応が図られている。
シックハウス症候群
住宅に起因する、倦怠感、めまい、頭痛、湿疹、のどの痛み、呼吸器疾患などの症状を総称していう。
汚染された住宅内の空気を吸引することによって発症する場合が多いとされ、建材や家具に含まれる有機溶剤や防腐剤、それらに類する揮発性有機化合物(VOC、Volatile Organic Compounds)が汚染源とされるほか、カビや微生物による空気汚染も原因となるといわれている。
その対策として、住宅性能表示制度における空気環境としてホルムアルデヒド濃度を表示することとされているほか、建築基準において、居室を有する建築物については、居室内において化学物質の発散による衛生上の支障がないように建築材料、および換気設備についての一定の技術的基準に適合すべきとされている。これによって、マンションなど特に気密性の高い住宅においては、ホルムアルデヒドを発散する恐れのある建築材料を使用しない場合であっても、家具からの発散の恐れがあるため、原則として、常時換気が可能な構造の機械換気設備等の設置が義務付けられている。
ハウスダスト
室内の細かい塵・ほこり。英語ではhouse dust。綿ぼこり、花粉、土、スス、ダニ、菌類などの混合物で、肉眼では見えにくい。
軽いため、空気中に舞い上がり漂いやすい。また、アレルギー性の疾患を引き起こす抗原(アレルゲン)となっている。その除去のためには、こまめな掃除、空気清浄機の使用、防ダニ対策などが有効であるとされる。
建築基準法
国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めた法律。市街地建築物法(1919(大正8)年制定)に代わって1950(昭和25)年に制定され、建築に関する一般法であるとともに、都市計画法と連係して都市計画の基本を定める役割を担う。
遵守すべき基準として、個々の建築物の構造基準(単体規定、具体的な技術基準は政省令等で詳細に定められている)と、都市計画とリンクしながら、都市計画区域内の建物用途、建ぺい率、容積率、建物の高さなどを規制する基準(集団規定)とが定められている。また、これらの基準を適用しその遵守を確保するため、建築主事等が建築計画の法令適合性を確認する仕組み(建築確認)や違反建築物等を取り締まるための制度などが規定されている。
その法律的な性格の特徴は、警察的な機能を担うことであり、建築基準法による規制を「建築警察」ということがある。