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固有振動数(建築物における~)
読み:こゆうしんどうすう

物体などが自由な状態で振動するときに、その物理的な性質によって決まる固有の振動数。固有振動数による振動は、一旦始まると、外力を加えなくても継続する。また、物体にその固有振動数で外力を加えると、振幅(揺れの大きさ)が増大する(共振)。

固有振動数は、物体の質量(重さ)が大きいほど小さく、剛性(硬さ)が高いほど大きい。

建築物にも固有振動数がある。地震によってその固有振動数の振動が加わると、建築物が共振し、大きな揺れが生じる。低層で剛性が高い建築物は、固有振動数が大きいため、短い周期の振動が多い直下型の地震で大きな被害を受けやすい。一方、高層で剛性が低い建築物は、固有振動数が小さいため、長い周期の地震動(減衰しにくく長距離まで届く、大規模な地震に多い)で被害を受けやすい。

建築物の免震構造は、振動の減衰を大きくするとともに、固有振動数を地震動の一般的な振動数より小さくすることによって、地震による揺れを小さくし、共振を防ぐ仕組みである。

建築物

建築基準法では「建築物」という言葉を次のように定義している(建築基準法第2条第1号)。 これによれば建築物とは、およそ次のようなものである。 1.屋根と柱または壁を有するもの 2.上記に付属する門や塀 3.以上のものに設けられる建築設備 上記1.は、「屋根+柱」「屋根+壁」「屋根+壁+柱」のどれでも建築物になるという意味である。 なお、地下街に設ける店舗、高架下に設ける店舗も「建築物」に含まれる。

地震

地殻が急激にずれ動く現象。これに伴って起きる大地の揺れ(地震動)をいう場合もある。地震が発生したとき最初に地殻が動いた場所が「震源」、震源の地表面位置が「震央」、伝播する地震動が「地震波」である。 地震の大きさを示す指標には、地震の規模によるものと、地震動の大きさによるものの2種類がある。一般に、地震の規模は地震によって放出されるエネルギー量を示す「マグニチュード(M)」で、地震動の大きさは揺れの程度を客観的に段階化した「震度」で示される。震度は、マグニチュードだけでなく、震源からの距離、地震波の特性、地盤の構造や性質などによって決まる。 地震が発生しやすいのは地殻に力が加わって歪みが蓄積している場所で、地震はその歪みが解消する際に起きると考えられている。しかし、発生の場所と時点を特定するのは非常に難しい。 なお、構造物の耐震設計は、地震動によって構造物に加わる力を許容できる程度に抑えるための設計であるから、想定する地震動の大きさや性質(揺れの方向、振動数、継続時間など)が重要となる。

長周期地震動

地震による周期の長いゆっくりとした大きな揺れをいう。 長周期地震動は、① 震源が浅くて大きな地震ほど発生しやすい、② 遠くまで伝わる、③ 堆積層で波が増幅される、という特徴がある。 高層ビルの固有周期は長いため長周期の波と共振しやすく、共振すると長時間にわたり大きく揺れる。また、高層階の方がより大きく揺れる傾向がある。

免震構造

大地震による揺れをできるだけ小さくして、心理的恐怖感や家具の転倒などによる災害を少なくするために、建物の基礎と土台の間に防振ゴム(積層ゴム)を挿入するなどの構造を免震構造という。 マンションでの採用が多いが、一戸建て住宅に採用するケースも多い。振動を通常の2~3割程度に和らげる効果があるとされており、今後さらなる増加が予想される。