高速・大容量のデータ通信に使われる回線網。英語のbroadband。厳密な定義はないが、たとえば、有線通信では、光ファイバー回線、ADSL、CATVなど、無線通信では無線LAN、WiMAXなどがブロードバンドである。
ブロードバンドを利用することによって、インターネットの常時接続、細密な映像の配信などが可能となった。また、4Gや5Gのような国際規格に準拠した移動通信システムは、ブロードバンドを利用した通信方法である。
有線
放送や通信において、同軸ケーブル、光ファイバーなどの伝送線を使って信号を伝達する方式。有線放送、有線電話、ケーブルテレビ(CATV)などで使われている方式である。これに対して、電磁波の空中伝播作用によって伝達する方式が「無線」である。 有線は、電波障害、磁気嵐などの影響を受けることなく安定した信号伝達を確保でき、また、多チャンネル放送、大容量通信にも適するが、伝送線を敷設しなければならず、受信場所が固定される。 例えば、CATVは、放送電波(無線)を高性能アンテナで受信し、自主番組等と一緒にケーブル(有線)で配信するしくみで、ケーブルによるインターネット接続サービスが付加されるなど、有線の特徴を活かした放送・通信サービスである。
光ファイバー
ガラスやプラスチックの細い繊維を芯として光を通す通信ケーブルのこと。通信データを光の信号でやり取りするため、高速・大容量の情報通信が可能になる利点がある。 ADSLの通信速度が2Mbps~数十Mbps(bpsは1秒間に1ビットのデータを送信できるという単位)であるのに対して、光ファイバーでは最大通信速度が1Gbpsで設定されているケースが多い(ただし、これはあくまでも理論上の数値であり、一般的には100Mbps以上であれば速度的には問題ないとされている)。このため光ファイバーは、映画などの動画を配信できる情報通信技術とされている。 なお、光ファイバーを各家庭へ引き込むことを「FTTH」(Fiber To The Home)というが、ここから転じて、家庭用の光ファイバー通信サービスのことを「FTTH」と呼ぶ場合がある。
ADSL
通常のアナログ固定電話回線を使用して高速で通信する技術をいう。
Asymmetric Digital Subscriber Line(非対称デジタル加入者線)の略。
通信の方向(上りか下りか)によって通信速度を変えることで通信速度の高速化を実現する手法であり、アナログ通信線にデジタル情報を乗せる方法を取るため特別の配線工事を必要としない。インターネットの利用においては、サイトからのダウンロード(下り)需要のほうが格段に大きいので、ADSLを活用すれば、画像等の大容量データの取り込み時間を容易に短縮できる。
ADSLを活用した商業用サービスは、日本では1999年に開始され、2001年に急速に普及した。この年をブロードバンド元年というのはそれゆえである。
一方、通信線として光ファイバーを利用する技術(光通信)は、ADSLよりもより高速で安定した通信を可能とするが、敷設のための配線工事が必要であることから、しばらくの間はADSLと光通信との併存が続くと予想されている(08年3月には、光通信加入世帯数がADSL回線加入世帯数を上回るに至った)。
CATV
通信ケーブルによってテレビ番組を各家庭へ送るサービスをいう。
もともとは難視聴地域対策として開始されたが、既存の番組を配信するだけでなく、ケーブルテレビ会社が独自に番組を作成・配信したり、通信ケーブルを利用した高速インターネット接続サービスを提供するなど、事業の範囲が拡大してきている。
テレビ放送と異なり、双方向の通信が可能なことが特徴である。