特定賃貸借契約によって賃借した住宅を第三者に転貸する事業を営む者。
特定転貸事業者は、特定賃貸借契約の締結をしようとする場合に、契約の相手方(賃貸住宅の所有者)に対して誇大に広告する行為及び家賃の減額リスクなど相手方の判断に影響を及ぼす事項について故意に事実を告げずまたは不実を告げる行為が禁止されるほか、契約の締結前に、家賃、契約期間等(重要事項)を記載した書面を交付して説明しなければならない。
また、事業者は、契約を締結したときには契約内容を記載した書面を契約の相手方に交付し、事業の内容や財産の状況を記載した書類を備え置いて閲覧に供さなければならない。
これらの義務は、賃貸住宅管理業法に基づいて課せられている。義務に違反した場合には、違反是正措置の指示、特定賃貸借契約に関する業務の停止命令、または罰則が課せられることがある。また、必要に応じて、業務に関する報告の聴取や営業所等への立入検査が実施される。
特定賃貸借契約
住宅を第三者に転貸する事業を営むために締結する賃貸住宅の賃貸借契約。「マスターリース契約」とも言う。この場合、事業者は、併せてその住宅の管理業務を受託する契約を締結するのが一般的である。
特定賃貸借契約の内容は、家賃等賃貸の条件、契約期間、転貸する住宅の維持保全の実施方法、転借人の資格等転貸の条件などである。事業者は、契約を締結したときには、これらを記載した書面を契約の相手方に交付しなければならない。
また、特定賃貸契約を締結しようとする場合に、転貸事業者および契約勧誘者は、契約の相手方(賃貸住宅の所有者)に対して誇大に広告する行為および家賃の減額リスクなど相手方の判断に影響を及ぼす事項について故意に事実を告げずまたは不実を告げる行為が禁止されているほか、事業者は、契約の締結前に、家賃、契約期間等(重要事項)を記載した書面を交付して説明しなければならない。
これら特定賃貸借契約に関する規制は、賃貸住宅管理業法に基づくもので、違反すると業務停止処分や罰則が課されることがある。
契約
対立する2個以上の意思表示の合致によって成立する法律行為のこと。
具体的には、売買契約、賃貸借契約、請負契約などのように、一方が申し込み、他方が承諾するという関係にある法律行為である。
賃貸住宅管理業法
賃貸住宅を管理する業務を適正に実施するための措置を定めた法律。正式な名称は「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」で、2020年6月に制定された。
賃貸住宅管理業法が定める主な措置は次のとおりである。
(1)賃貸住宅管理業に係る登録制度の創設
・委託を受けて賃貸住宅の管理業務を行う事業を営もうとする者について、 国土交通大臣の登録を義務付ける。(ただし、管理戸数が一定規模未満の者は義務ではなく任意登録。なお、管理業務とは、賃貸住宅の維持保全及びこれと併せて行う家賃、敷金、共益費等の管理である。)
・賃貸住宅管理業者の業務について、次のことを義務付ける。
a)事務所毎に、業務管理者(賃貸住宅の管理に関する知識・経験等を有する一定の資格者)を選任し配置すること
b)管理受託契約の締結前に、具体的な管理業務の内容・実施方法等(重要事項)について書面を交付して説明すること
c)管理する家賃等について、自己の固有の財産等と分別して管理すること
d)業務の実施状況等について、管理受託契約の相手方に対して定期的に報告すること
e)名義貸しの禁止、知り得た秘密を守ること、標識の掲示など
(2)サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の適正化に係る措置
・サブリース業者及び勧誘者が特定賃貸借契約(住宅を転貸するための賃貸借契約/マスターリース契約ともいう)を勧誘する場合に、契約の相手方に誇大に広告する行為及び家賃の減額リスクなど相手方の判断に影響を及ぼす事項について故意に事実を告げずまたは不実を告げる行為を禁止する。
・特定賃貸借契約の締結前に、家賃、契約期間等(重要事項)を記載した書面を交付して説明することを義務付ける。
なお、法律は、(1)に関しては21年6月から、(2)に関しては20年12月から施行された。