投資に当たって、環境(environment)、社会(social)、企業統治(governance)に配慮している企業を重視・選別する原則。
投資先の評価において、財務指標のみでなく、環境、社会、企業統治を評価することが、結局は企業の持続的成長や中長期的収益につながり、財務指標には現れにくいリスクを排除できるという考え方に基づいた行動原則である。
ESG投資原則による投資においては、たとえば、地球温暖化対策や生物多様性の保護活動(環境面)、人権への対応や地域貢献活動(社会面)、法令遵守、社外取締役の独立性、情報開示(企業統治面)などの実績や計画が重視される。
ESG投資の手法には、議決権行使等によって投資先企業にESGへの配慮を促す方法、ESGへの配慮に消極的な企業には投資しない方法、ESGに配慮した事業に対して優先的に投資する方法などがある。この場合の投資先には、都市開発や不動産開発が含まれる。また、投資だけでなく融資についても同様である。
なお、国連は、2006年に公表した「責任投資原則(PRI)」において、ESGへの配慮を反映した投資行動を促している。
生物多様性
生物が固有性を保持しつつ相互に関係し合っている状態の特性・機能をいう。その特性・機能は、生態系の多様性、種の多様性、遺伝子の多様性の3つのレベルで構成されている。 生態系の多様性は水循環、炭素貯蔵などの環境機能などを、種の多様性は食糧や燃料の供給、文化的機能などを、遺伝子の多様性は医薬品の開発、生物の適応能力などを支えている。 生物多様性の保全等のため「生物多様性基本法」が制定されている(2008(平成20)年)。そこでは、生物多様性の構成要素を利用する場合には、「現在及び将来の世代の人間が生物の多様性の恵沢を享受するとともに人類の存続の基盤である生物の多様性が将来にわたって維持されるよう、生物その他の生物の多様性の構成要素及び生物の多様性の恵沢の長期的な減少をもたらさない方法(持続可能な方法)」によらなければならないとするなど、保全等のための基本原則が定められている。 また、地域における生物の多様性を保全するため、地域の自然的社会的条件に応じて地域における多様な主体が有機的に連携して行なう活動を促進するべく、市町村による地域連携保全活動計画の作成、同計画による活動に対する規制の緩和、生物の多様性の保全上重要な土地の取得を促進するための情報の提供、助言その他の必要な援助などを内容とする「地域における多様な主体の連携による生物の多様性の保全のための活動の促進等に関する法律」が制定されている(2010(平成22)年)。 なお、生物多様性を保全するための国際取り決めとして、生物多様性条約、カルタヘナ議定書(遺伝子組換え生物等の管理に関するもの)、ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関するもの)、ラムサール条約(水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関するもの)、世界遺産条約(自然遺産の保護等に関するもの)などがある。