自然災害が発生したときにその被害を最小化するための計画。多くは地方公共団体が作成している。
防災施設の整備、建物の耐震性強化などハード面での対策に加えて、ハザードマップの作成、防災教育・避難訓練、災害情報の伝達確保、避難体制の整備などソフトな対策を重視している。また、政府だけでなく、家庭・地域・企業の自主的な活動や相互協力が大きな役割を果たす。
減災計画に組み込まれている主な人々の活動は、家庭においては、住宅の耐震診断・耐震改修の促進、家具等の固定、水・食料・生活必需品の備蓄など、地域においては、障害者・高齢者の避難行動支援など、企業においては、事業継続計画(BCP)の策定などである。
また、減災のためには、被害の抑止、被害の軽減、災害予知と早期警報、被害評価、災害対応、復旧、復興の各ステージを関係者の役割分担によって運営することが大事であるとされているが(土木学会・東日本大震災フォローアップ委員会報告)、減災計画はその実施計画としての役割を担っている。
地方公共団体
地域における行政を自主的、総合的に実施する役割を担う団体。その組織、運営、財務などについては、憲法の規定に基づき、地方自治法等によって定められている。
普通地方公共団体である都道府県・市町村と、特別地方公共団体である特別区・地方公共団体の組合・財産区の二種類に分類され、いずれも法人である。また、市町村は、地域の事務を一般的に処理する基礎的な地方公共団体である。
地方公共団体は、地方自治の本旨に基づいて組織し、運営しなければならない。この場合、地方自治の本旨とは、「団体自治」(国から独立した地域団体によって自己の事務を自己の機関・責任で処理し、国家から独立して意志を形成すること)および「住民自治」(住民が行政需要を自らの意思・責任によって充足し、意志形成において住民が政治的に参加すること)であるとされている。
建物
民法では、土地の上に定着した物(定着物)であって、建物として使用が可能な物のことを「建物」という。
具体的には、建築中の建物は原則的に民法上の「建物」とは呼べないが、建物の使用目的から見て使用に適する構造部分を具備する程度になれば、建築途中であっても民法上の「建物」となり、不動産登記が可能になる。
ハザードマップ
自然災害による被害予測および避難情報を表示した地図をいう。 災害の種類に応じて、洪水、津波、火山、土砂災害などのハザードマップが作成・公表されている。 ハザードマップには、災害発生時に予測される被害の範囲・程度などの他、避難経路や避難場所が示されている。 災害を防ぐには、その発生を防止するだけでなく、発生後の被害を軽減すること(減災)も有効であり、そのために活用される。また、地域のリスクを管理する上での情報基盤としての役割も果たす。
事業継続計画(BCP)
事業組織が脅威にさらされた場合に、その影響を予防・軽減し、事態の回復を図るための計画をいう。 危機管理手法の一つで、BCP(Business Continuity Planning)と略称される。 想定する脅威としては、震災、水害などのほか、情報通信網の故障、取引先の事故・喪失、破壊的攻撃なども含まれる。 BCPの作成においては、各脅威の影響を分析評価するほか、優先業務を特定してその復旧プロセスを確定すること、代替的な業務継続方法を準備すること(例えばオフサイトの設置、データ等のバックアップ措置)などが重要な課題となる。 東日本大震災やバンコクの洪水(いずれも2011年)などの際には、製造業を中心にサプライチェーンの断絶が生じ生産困難に陥る例が目立った。また、首都直下地震においては中核的業務機能の喪失が予想される。BCPはそのような事態への対応方策として有効であると考えられている。