居住以外の用途に供していると称しながら多人数の居住実態がある建築物、マンションの一住戸や戸建て住宅を改修して多人数の居住の用に供している建築物等であって、居住用施設としての防火関係規定等を満たしていないものをいう。安価なシェアハウスなどに多いとされる。
おもな違法事項として、非常用照明装置関係、窓先空地関係、防火上主要な間仕切壁関係、居室面積関係、採光関係がある。
建築物
建築基準法では「建築物」という言葉を次のように定義している(建築基準法第2条第1号)。 これによれば建築物とは、およそ次のようなものである。 1.屋根と柱または壁を有するもの 2.上記に付属する門や塀 3.以上のものに設けられる建築設備 上記1.は、「屋根+柱」「屋根+壁」「屋根+壁+柱」のどれでも建築物になるという意味である。 なお、地下街に設ける店舗、高架下に設ける店舗も「建築物」に含まれる。
マンション
日本におけるマンションは、一般的には、鉄骨コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造で、3階建て以上の分譲共同住宅・賃貸共同住宅を指している。ただし、賃貸共同住宅の場合にはPC造・重量鉄骨造であっても、マンションと呼ばれることがある。 本来、マンションは英語では「大邸宅」を指す。日本におけるマンションは、欧米では「アパートメント」と呼ばれている。
シェアハウス
複数の居住者・家族が一定の生活空間を共用する住宅をいう。一般に、台所、浴室、居間などを共用し、居住者同士のコミュニケーションが生まれることとなる。賃貸住宅として供給されているが、居住スタイルの選択肢の拡大に応える住宅形態のひとつである。
窓先空地
共同住宅における火災時の避難を容易にするために、共同住宅の敷地のうち、1階の住戸の窓に直面する敷地部分において、幅員数mの空地を設け、その空地を避難経路として利用できるようにしたものである(空地とは建築物を建てられていない土地という意味である)。
この窓先空地の制度は、東京都や横浜市など一部の自治体でのみ実施されている制度である。根拠法令は建築基準法第40条と、同条に基づき地方自治体が独自に制定する地方自治体の条例である(この条例の名称は「建築安全条例」「建築基準条例」などであり、地方自治体により異なる)。
最も厳しい窓先空地制度を実施している東京都では、東京都建築安全条例においておよそ次の1.から3.のようなルールを設けており、このルールを満たさない共同住宅は建築確認を取得することができない(以下は東京都建築安全条例第19条より要約)。
1.共同住宅の住戸には、住戸の床面積の合計に応じて、次の数値以上の幅員を持つ「窓先空地」に直接面するような窓を設けなければならない。
1)耐火建築物の場合
200平方メートル以下のもの:窓先空地の幅員が1.5m
200平方メートルを超え、600平方メートル以下のもの:窓先空地の幅員が2m
600平方メートルを超え、1,000平方メートル以下のもの:窓先空地の幅員が3m
1,000平方メートルを超えるもの:窓先空地の幅員が4m
2)耐火建築物ではない建築物の場合
100平方メートル以下のもの:窓先空地の幅員が1.5m
100平方メートルを超え、300平方メートル以下のもの:窓先空地の幅員が2m
300平方メートルを超え、500平方メートル以下のもの:窓先空地の幅員が3m
500平方メートルを超えるもの:窓先空地の幅員が4m
2.窓先空地から道路・公園・広場等までを幅員2m(住戸の床面積の合計が200平方メートル以下の場合には幅員1.5m)以上の通路で避難上有効に連絡させなければならない。
3.上記1.2.の住戸の床面積の合計には、道路に直接面する窓を有する共同住宅の住戸は算入しないものとする(例えば、1階の全住戸を道路に面する窓を持つ構造とすれば、1.2.の規制は適用されない)。