家庭でのエネルギー消費を最適に制御するシステムを備えた住宅をいう。ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)によって家電、空調給湯設備、太陽光発電、蓄電池、電気自動車などを一元的に管理・制御し、エネルギー消費を最適化することができるとされる。
スマートハウスを担うための重要な技術は、住宅内のエネルギー設備や家電等をネットワーク化してエネルギーの使用を管理・最適化するシステム(HEMS home energy management system)や、住宅用蓄電池であるとされている。
環境負荷を抑制する住宅としては、エコハウス(省エネルギー、再生可能エネルギーの使用、資源の再利用、廃棄物の削減等を目指した住宅)やLCCM住宅(住宅のライフサイクルにおける二酸化炭素排出量がマイナスとなる住宅)があるが、スマートハウスは家庭生活におけるエネルギー制御に重点を置いた住宅と言える。
太陽光発電(システム)
太陽電池によって太陽光のエネルギーを直接に電力に変換する発電方式をいう。
太陽電池は、一定の物質に光が照射されると伝導電子が増加する現象(光電効果)を利用して電力を得る装置で、光エネルギーを電力に変換する過程で熱や運動エネルギーの媒介を必要としない。
そのため、太陽光発電は、発電時に廃棄物、CO2等の発生がない他、小規模に分散的に運用可能、設置条件の制約が少ない、などの特徴がある。
一方、他の発電方式に比べて高コスト、発電量の変動が大きい(夜間や雨天時は発電できない)、スケールメリットが効かないなどの短所がある。
そこで、太陽光発電と他の発電とを組み合わせて、発電、消費、売電、買電を適切に制御するシステム(太陽光発電システム)が開発・運用されている。
蓄電池
放電と充電の両方が可能な電池をいう。
電池は極と電解質で構成され、化学反応によって電流を発生させる(放電する)装置であるが、特定の極と電解質が組み合わさった場合には、放電とは逆方向に電流を流すことによって放電力が回復する(充電する)性質がある。
この性質を利用したのが蓄電池で、放電のみ行なう使い切り電池を一次電池と呼ぶのに対して、蓄電池を二次電池と呼んで区別する。
蓄電池には、電極と電解液の組み合わせに応じて、鉛蓄電池、ニッケル水素蓄電池、リチウムイオン二次電池などの種類がある。例えば、自動車のバッテリーには鉛蓄電池、家庭用蓄電池にはニッケル水素蓄電池が主に使われている。
家庭用蓄電池を利用すれば、住宅での太陽光発電や燃料電池による発電と、家電製品や電気自動車などの電力需要とを適切に調節する能力を高めることができると考えられている。
電気自動車
電気モーターを動力源とする自動車。電池を車載する方式(電池式)と走行中に電力を外部から供給する方式(架線式)に二分できる。
また、車載する電池への充電は外部から行なうのが一般的であるが、発電装置(太陽電池、燃料電池など)を車載する方式もある。
ハイブリッドカーは、電気モーターと内燃機関を組み合わせて動力源とする自動車である。
電気自動車は、内燃機関を動力源とする自動車に比べて、エネルギー効率が高い、アイドリングなどの無駄なエネルギー消費がない、一般家庭で充電が可能でガスステーションなどが不要、などの特徴がある。
一方、充電に時間が掛かる、航続距離が短い(特に重量が大きい場合に)などの短所がある。
なお、電気自動車を利用する場合には、住宅で発電した電気を家庭用蓄電池に蓄電した上で充電するなど、自動車を住宅のエネルギー管理の一環に組み込むことができる。
HEMS
住宅のエネルギーを管理するシステムをいい、Home Energy Management Systemの略。
住宅で使用されている家電や冷暖房などのエネルギー消費の状況を把握・表示し、それを最適化すべく制御するシステムである。さらにこれに、太陽光発電や熱供給などを組み込んで、より効率性の高い制御を実現する試みもある。
なお、同様の考え方によって業務用ビルディングのエネルギーを管理するシステムを、BEMS(Building and Energy Management System)という。
エコハウス
環境への負荷を抑えるための対策を講じた住宅のこと。
対策の目標は、省エネルギーや再生可能エネルギーの使用、資源の再利用、廃棄物の削減などであり、具体的には、屋上緑化や雨水の再利用、太陽光・風力エネルギーの利用、ゴミの減量などが実施される。
その基準として、例えば(一財)建築環境・省エネルギー機構が定めた「環境共生住宅認定基準」があるが、この基準では、環境負荷の抑制だけでなく、バリアフリー化や室内の空気質の維持(シックハウス対策)なども要求されている。
再生可能エネルギー
短期間に再生し、あるいは消滅しない燃料源から取り出されるエネルギーをいう。
そのような燃料源として、太陽光、風、流水、植物・バイオマス、地熱などがある。
一般に、再生可能エネルギーは資源としての持続性に優れ、また、その発生に伴う環境への影響も小さいと考えられている。そのため、気候変動への対応や安定的なエネルギー資源の確保のために、再生可能エネルギーの開発・活用が推進されている。
なお、再生エネルギーの燃料源はさまざまであるが、通常は、電力の形で取り出されている。
LCCM住宅
住宅の建設から解体までの間(ライフサイクル)における二酸化炭素排出量がマイナスとなる住宅をいう。Life Cycle Carbon Minus住宅の略。
そのための手法として、
1.断熱性を高め、開口部などの可変性を確保する
2.高効率の設備機器の採用などでエネルギー利用を効率化する
3.太陽光発電などによって住宅自身がエネルギーを生産する
4.建設段階におけるCO2排出量を削減する
ことが有効だとされる。
また、その実現のためには、要素技術だけでなく、ライフサイクルCO2排出量の評価手法、省エネルギーのための環境設備設計手法の開発が必要であると考えられている。