農業経営を行なうために農地の取得が認められる法人をいい、株式会社等の会社法人と農事組合法人の2つの形がある。
法人による農業経営は、経営管理能力や取引信用力の向上、雇用労働関係の明確化、労働者の福祉の増進、新規就農者の確保などが期待できるとされる一方、耕作者が農地を所有することで維持されてきた農地・農村秩序との調整が必要であるともされる。
なお、会社法人である農業生産法人については、役員の一定割合が農業に常時従業することなど、その構成員等について一定の要件を満たさなければならない。
農地
一般的には「耕作の目的に供されている土地」を「農地」と呼ぶ(農地法第2条第1項)。
実際には、ある土地が「農地」であるかどうかをめぐって争いがあることが少なくない。ちなみ、過去の裁判例では次の1.2.のような基準が設けられている。 1.「農地」であるかどうかは、登記簿上の地目とは関係がない。たとえ地目が「原野」であっても、現状が「耕作目的の土地」であれば「農地」となる。 2.「農地」とは継続的に耕作する目的の土地である。住宅を建てるまでの間、一時的に野菜を栽培しているような家庭菜園などは「農地」ではない。その反面、たとえ休耕地であっても将来にわたって耕作する目的のものは「農地」である。
実務的には、宅地であるのか農地であるのか判断が分かれるような土地について取引を行なう場合には、市町村の農業委員会において確認を受けることが最も安全である。
法人
私法上の概念で、自然人以外で、法律上の権利・義務の主体となることを認められた団体・財産をいう。
法人の設立は、法律の規定によらなければならないとされている。
例えば、一般社団法人、一般財団法人、株式会社、学校法人、宗教法人、管理組合法人などはすべて法人である。