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用益権
読み:ようえきけん

私法上の概念で、他人の土地を一定の目的のために使用収益する権利をいい、用益物権ともいわれる。

用益権とされるのは、民法で定める地上権永小作権地役権入会権のほか、特別法による鉱業権、漁業権などである。
なお、用益権は、担保物権とともに制限物権を構成する。

使用収益

私法上の概念で、物を直接に利活用して利益・利便を得ることをいう。 使用収益するためには、その物を直接に支配する権利(物権)が必要である。

物権

物を直接に支配する権利をいう。 その典型は所有権である。 そもそも財産を支配する権利には、「物権」と「債権」の2つの類型がある。物権は、すべての人に対して権利を主張できる絶対的な財産支配権であるのに対して、債権は、特定の人にある要求をする権利であって第三者には権利を主張できない相対的な請求権である。このように、物権の基本的な性格は、その絶対的排他性にある。 絶対的排他性を確保するため、物権には、 1.後に成立した物権や内容が抵触する債権に優先する効力(優先的効力、ただし借地借家の賃借権(債権である)などの例外がある) 2.物権の内容の円満な実現が妨げられ、または妨げられる恐れがある場合に、妨害を除去・予防するため必要な行為を請求する権利(物権的請求権または物上請求権と呼ばれる。具体的には、返還、妨害排除、妨害予防の請求権) が与えられている。また、排他性の帰結として、同一物に対して同一内容の物権は一つしか成立しない(一物一権主義、だからこそ、土地を筆に分けて各筆をそれぞれに一物とするのである)。 また、すべての人に対する権利であることから、物権の変動は公示しないと第三者に対抗できないとされる(公示の原則)。対抗要件は、不動産に関する権利変動については「登記」、動産に関する物権譲渡については「引渡し」である。 さらには、物権は、法律で定められた以外のものを新たに創設することはできないとされている(物権法定主義)。民法で定められているのは、所有権のほか、地上権(他人の土地を借りて使用できる権利)、地役権(他人の土地を自己の土地のために供し得る権利)、抵当権(優先的に弁済を受ける権利)、占有権(物に対する事実上の支配により認められる権利)などである。また、慣習法上の物権も判例により認められており、温泉権や流水利用権はこれに当たる。

地上権

工作物又は竹林を所有する目的で、他人の土地を使用する権利のこと(民法第265条)。 土地賃借権と地上権は非常によく似ているが、次のような違いがある。 1.土地賃借権は債権だが、地上権は物権である 2.地上権は、土地所有者の承諾がなくても、他人に譲渡することができる。 3.地上権を設定した土地所有者には登記義務があるので、地上権は土地登記簿に登記されているのが一般的である。

永小作権

小作料を支払うことにより、他人の土地で耕作または牧畜をすることができるという権利(民法270条)。 1952(昭和27)年以前には、地主が小作人に小作地として土地を使用させる方式がとられていたため、小作人は永小作権者として土地を使用していたが、1952(昭和27)年の農地法制定により、そうした前近代的な地主・小作関係はほとんど姿を消した。このため今日では永小作権は殆ど残存していない(なお今日では農地の貸与は賃借権によって行なわれている)。

地役権

地役権とは、他人の土地を自分の土地の利便性を高めるために利用することができるという権利である(民法第280条)。「通行地役権」などがある。

入会権

一定の地域の住民が特定の森林、原野、漁場等を共同で利用する権利。民法で物権として認められている権利である。入会権の対象となっている土地を「入会地」という。 民法は、入会権を、利用する土地等を共有する性質がある場合と特定の目的に従って利用するだけの性質の場合に分類し、前者は所有権の共有の規定を、後者は地役権に規定をそれぞれ準用するとしたうえで、地域の慣習に従うとしている。もっとも、民法は入会権の内容についてなんら規定しておらず、その内容、効力等は地域の慣習によって定まることとなる。 入会権を有する人々の集団が「入会団体」で、その大部分は「代表者が定められていない権利能力なき社団」であると考えられている。そして、入会権による使用収益や入会地管理の形態は、慣習に応じて区々であって、明確でない場合もある。 なお、入会地の農林業上の利用を増進するため、「入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律」に基づき、入会権利者の合意によって入会権を消滅させ権利関係を明確にするしくみが定められている。

担保物権

債権を保全するために設定される物権のこと。担保物権は約定担保物権と法定担保物権に分類することができる。 約定担保物権は、債務者の信用を創出するために、当事者の合意によって設定される担保物権であり、抵当権、質権がある。 法定担保物権は、政策的な必要性から、一定の事情がある場合に法律上当然に成立する担保物権であり、先取特権、留置権がある。 またこのほかに、民法第二編には規定されていない約定担保物権があり、変則担保と呼ばれている。具体的には、譲渡担保、仮登記担保、買戻、再売買の予約、所有権留保である。