上場された株式の株券(上場投資証券および上場優先出資証券を含む)をすべて廃止して、株主権の管理を特定の口座で管理することで、株式のペーパーレス化を図ることである。
2009(平成21)年1月5日から実施された。
株主権を管理する口座は、証券保管振替機構(略称「ほふり」)および証券会社等に開設され、
1.株式等の売買は証券保管振替機構を通じた口座間の振替えによって
2.議決権、配当受領権などは証券保管振替機構からの通知によって作成される株主名簿に従って
それぞれ管理される。
なお、株券電子化の実施前に株券を証券会社等を通じて証券保管振替機構に預託した株主については、特別の手続きなしにその所有する株券が電子化される。また、株券を自ら保管している株主については、発行会社が株主名簿にもとづいて信託銀行等に自動的に特別口座を開設することによってその株券が電子化される が、売却に当たっては、株主は、証券会社等に新たに口座を開設する必要がある。
投資証券
不動産投資信託における投資法人において、投資主であることを表す証券のこと。
普通の株式会社でいえば「株券」に相当する。
投資法人は、投資主で構成される法人である。投資主の権利は、保有する投資口に由来している。普通の株式会社でいえば、投資主は「株主」、投資口は「株式」に相当する。
このような投資主の地位(すなわち投資口の権利)を表した証券が、「投資証券」と呼ばれている。
投資法人は、法人設立の際または新投資口の発行の際に、投資証券を新たに発行して、投資主に交付する。
また、証券取引所で不動産投資信託を売買する場合には、不動産投資信託を購入した投資主は、以前の投資主から、既存の投資証券を受け渡されることになる。
ただし実際には、投資証券そのものの交付や受け渡しは原則として行なわれず、「証券保管振替機構」において投資証券が一括保管されることになっている(詳しくは保管振替制度へ)。
優先出資
出資のうち、普通の出資者に優先して配当を受けることのできる地位にある出資をいう。
一方で、優先出資者の議決権は大幅に制限される。
優先出資は、普通の出資者以外の不特定多数の者から投資を募るために募集され、それを証する証券(優先出資証券)は、株式における「優先株」に類似した性格の金融商品として取引される。
不動産の証券化においても、特定目的会社の社員ではあるが、特定目的会社の設立時の社員に先立って利益の配当または残余財産の分配を受けることのできる社員の地位(優先出資)が認められている。
証券保管振替機構
上場株券等の保管・受渡しを合理化するために、1991(平成3)年に設立されたわが国唯一の機関。 2008(平成20年)年時点で発行株式の総数に対する預託率は9割超であった。2009(平成21)年1月5日からはすべての株券等は口座によって管理され、振替機関による口座間の振替えによって売買されることとなっている(「株券電子化」を参照)。 1984(昭和59)年11月に「株券等の保管及び振替に関する法律」が施行され、この法律にもとづき、1991(平成3)年10月より「保管振替制度」が実施されていた。 証券保管振替機構は、この保管振替制度にもとづくわが国唯一の保管振替機関であり、わが国の公開会社の発行済株式のうち90%以上の株券を預託されていた。 また2004(平成16)年時点、証券保管振替機構の取扱会社数は4,000社近くにのぼり、すべての公開会社の発行する株券等が取扱い対象となっていた。 証券保管振替機構の保管対象とする証券は、「上場株」「店頭株」「転換社債」「転換社債型新株予約権付社債」「株価指数連動型投資信託受益証券(ETF)」「投資証券」などである。 なお、証券保管振替機構の組織形態は当初は財団法人であったが、2002(平成14)年4月より株式会社に移行した。現在の正式名称は「株式会社証券保管振替機構」である。