アメリカにおいて、金融保証保険を専門に行なう保険会社をいう。“Monoline Insurer”または“financial guarantor”と称され、半世紀近くの歴史を有する。
金融保証保険とは、債権に債務不履行が発生した場合に、約定どおりのスケジュールで元利支払いすることを保証する保険であり、金融上の信用補完機能を担う。保証保険の対象となる債務は、公債、資産を担保にした証券など、元本が確定した金融債務に限られている。
債券発行者は、モノラインの保証を得ることによって資金調達コストを下げることができる。そのため、モノラインには最高度の信用力(非常に高い格付け)が必要とされている。
なお、モノラインについては、サブプライムローン問題によって債務不履行の増加が見込まれたことを背景にして、モノラインの信用力に不安が生じてそのその保証力が弱くなれば、債券価格が下落し(資金調達コストは上昇する)、金融債権の価値が毀損され、それを保有する金融機関等の経営などに悪影響が生じる恐れがあるとされた。しかし、金融危機が収束したのちは、地方債市場での役割が拡大するなど、投資家の損失回避の機能が再確認されている。
債権
私法上の概念で、ある人(債権者)が、別のある人(債務者)に対して一定の給付を請求し、それを受領・保持することができる権利をいう。
財産権の一つであり、物権とともにその主要部分を構成する。
債務不履行
債権・債務関係において、債務が履行されない状態をいう。 例えば、売買契約において、代金を支払ったにもかかわらず、売主が物件を引き渡さないときは、売主は引渡し義務を怠っていて、「債務不履行」にあたる。 このような債務不履行に対しては、法律(民法)により、債権者が債務者に対して損害賠償を請求することができるとされている。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。 なお、債務の履行に代わる損害賠償を請求するには、次の条件を満たすことが必要である。 1.債務の履行が不能であるとき。(履行不能・履行遅滞・不完全履行の3形態がある) 2.債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。 3.債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。
債務
私法上の概念で、ある人(債権者)に対して一定の給付をなすべき義務をいう。
債務を負っているのが債務者である。
サブプライムローン
アメリカで実施されているローンのうち、比較的信用力の低い人に対する住宅ローンをいう。
通常の住宅ローンに較べて、貸出しの審査基準は緩いが、金利は高いことが多い。アメリカの住宅ローンの約15%はこれに該当するといわれている。このようなローンが成り立つ背景には、ローンの担保となる住宅の価格上昇が期待できるからであるとされる。そして、住宅価格の上昇を見込んで、ローンの多くは、借入当初は金利を低めに設定し、一定期間後に金利を上げるような仕組みを採用している。
従って、住宅価格が上昇しない場合には、ローンの返済が困難となり、不良債権化する恐れがある。そして、2007年夏に、その恐れが実際に顕在化したのである。
さらには、アメリカでは、住宅ローン債権の大部分は証券化され、金融商品として市場で取引されている。サブプライムローンが不良債権化する恐れが強くなれば、それを証券化し、組み入れた金融商品のリスクが高まり、価格は下落する。そしてその下落が、ほかの金融商品の取引価格や評価にも波及し、市場全体のリスクを高め、金融機関等が保有する債権や金融商品の価値を毀損するなどの影響を惹起する。
サブプライムローン問題(Subprime mortgage crisis)は、このようにして拡大していったのである。