アメリカで実施されているローンのうち、比較的信用力の低い人に対する住宅ローンをいう。
通常の住宅ローンに較べて、貸出しの審査基準は緩いが、金利は高いことが多い。アメリカの住宅ローンの約15%はこれに該当するといわれている。このようなローンが成り立つ背景には、ローンの担保となる住宅の価格上昇が期待できるからであるとされる。そして、住宅価格の上昇を見込んで、ローンの多くは、借入当初は金利を低めに設定し、一定期間後に金利を上げるような仕組みを採用している。
従って、住宅価格が上昇しない場合には、ローンの返済が困難となり、不良債権化する恐れがある。そして、2007年夏に、その恐れが実際に顕在化したのである。
さらには、アメリカでは、住宅ローン債権の大部分は証券化され、金融商品として市場で取引されている。サブプライムローンが不良債権化する恐れが強くなれば、それを証券化し、組み入れた金融商品のリスクが高まり、価格は下落する。そしてその下落が、ほかの金融商品の取引価格や評価にも波及し、市場全体のリスクを高め、金融機関等が保有する債権や金融商品の価値を毀損するなどの影響を惹起する。
サブプライムローン問題(Subprime mortgage crisis)は、このようにして拡大していったのである。
住宅ローン
個人に対する住宅資金の融資をいう。
主として民間の金融機関が担っているが、その円滑な実施などのため、(独)住宅金融支援機構(住宅金融公庫の廃止後、その機能の一部を引き継いだ組織)と連携することが多い。また、年金基金、共済組合などが融資する場合もある。
融資の期間、利率(固定金利か変動金利かを含めて)などの条件は、金融機関によって異なるほか、借入者の属性や状況等、金融機関との取引の状況に応じて多様である。その選択のために、借入と償還をさまざまにシュミレーションできるサービスも提供されている。
住宅ローンの実施に際しては、通常、融資対象となる住宅に担保権が設定されるほか、連帯保証人を求められることが多い。また、住宅販売会社が提携金融機関の融資を斡旋する場合もある(提携住宅ローン)。
なお、住宅ローンの負担軽減のための税制上の優遇措置(住宅ローン減税)があるほか、住宅ローン債権がSPCなどに譲渡され証券化される例も増えてきている。
証券化(債権の)
債権から得られるであろうキャッシュフローを裏付けにして有価証券を発行する方法をいう。
証券化の対象とされる債権には、住宅ローン債権のような貸付債権、公社債のような債券があるが、それらの債権を保有する者は、それをSPE(特別目的事業体、SPCや投資法人など)に譲渡し、SPEは債権から生み出されるであろうキャッシュフローを受け取る権利を証券の形にして投資家に販売する。これによって証券化が実現するのである。
この場合、多数の債権をまとめたり、異なる性格の債権を組み合わせたりして、リスクとリターンを調整するのが通例である。また、証券化に当たって必要な、倒産隔離や導管体機能を確保するのは当然のことである。
債権を証券化した金融商品は、裏付けとなるキャッシュフローが確定していること、償還に期限があることなどが特徴であるとされる。
債権
私法上の概念で、ある人(債権者)が、別のある人(債務者)に対して一定の給付を請求し、それを受領・保持することができる権利をいう。
財産権の一つであり、物権とともにその主要部分を構成する。