建物を施工するために必要な図面その他の書類の総称。建築士法では建築物や工作物だけでなく敷地を含めた工事実施のために必要な図面と仕様書、と規定されている。
実際には、施工段階で設計変更、仕様変更、追加工事等が生じることが多いために、竣工図という最新の設計内容を記録した設計図書がある。これらは、経年に伴う改修・改築等の際に必要なものであるため、建築主は必ず保管しておく必要がある。
建物
民法では、土地の上に定着した物(定着物)であって、建物として使用が可能な物のことを「建物」という。
具体的には、建築中の建物は原則的に民法上の「建物」とは呼べないが、建物の使用目的から見て使用に適する構造部分を具備する程度になれば、建築途中であっても民法上の「建物」となり、不動産登記が可能になる。
建築物
建築基準法では「建築物」という言葉を次のように定義している(建築基準法第2条第1号)。 これによれば建築物とは、およそ次のようなものである。 1.屋根と柱または壁を有するもの 2.上記に付属する門や塀 3.以上のものに設けられる建築設備 上記1.は、「屋根+柱」「屋根+壁」「屋根+壁+柱」のどれでも建築物になるという意味である。 なお、地下街に設ける店舗、高架下に設ける店舗も「建築物」に含まれる。
工作物
土地に定着する人工物のすべてを指す。従って、建物だけでなく、広告塔なども「工作物」である。
工作物のうち、建築物は当然建築基準法の対象になる。 広告塔などは、本来建築基準法の対象外のはずだが、一定以上の規模のものは、建築確認の申請が必要であり、建築物と同じように扱われる。
具体的には次の工作物である(建築基準法第88条・施行令第138条)。
1.高さが2mを超える擁壁(ようへき) 2.高さが4mを超える広告塔 3.高さが6mを超える煙突 4.高さが8mを超える高架水槽 5.高さが15mを超える鉄柱 など
敷地
建築物のある土地のことを「敷地」という。
なお、同一の敷地の上に2つの建築物がある場合には、建築基準法では、2つの建築物が用途上分けられないときは、同一敷地にあるものとみなすことになっている(建築基準法施行令1条)。 例えば、ある人の所有地の上に「住宅」と「物置」が別々に建っている場合は、この2つは用途上不可分であるので、別々の敷地上に建てたと主張することはできない、ということである。
ところで、建築基準法では「敷地」が衛生的で安全であるように、次のようなルールを設定しているので注意したい(建築基準法19条)。
1.敷地は、道より高くなければならない(ただし排水や防湿の措置を取れば可) 2.敷地が、湿潤な土地や出水の多い土地であるときは、盛り土や地盤の改良を行なう。 3.敷地には、雨水と汚水を外部に排出する仕組み(下水道など)をしなければならない。 4.崖崩れの被害にあう恐れがあるときは、擁壁(ようへき)の設置などをしなければならない。