緑地を守るために、地域住民が都市緑地法に従って締結する協定をいう。
緑地協定を締結するためには、都市計画区域又は準都市計画区域内の相当規模の一団の土地の所有者等、または、都市計画区域内の道路・河川に隣接する相当区間の土地の所有者等が、全員で合意し、市町村長の認可を受ける必要がある。
すでにコミュニティ形成されている市街地の土地所有者等全員の合意で協定を締結するもの(全員協定)と、開発に伴い事業者が分譲前に認可を受け、3年以内に土地の所有者等が複数存在することになった場合に効力を発揮するもの(一人協定)がある。
緑地協定には、対象となる土地の区域、保全・植栽する樹木等の種類、樹木を保全・植栽する場所、保全・設置する垣・さくの構造、協定の有効期間、協定に違反した場合の措置などが定められている。
なお、この協定が締結された場合には、締結後にその協定区域内の土地の所有権者や借地権者となった者もその協定を遵守する義務がある。
都市緑地法
都市における緑地の保全や緑化の推進のための仕組みを定めた法律。 1973(昭和48)年に「都市緑地保全法」として制定され、2006(平成18)年にその内容が大幅に改正されて現在の名称となった。 規定されている主な制度として、緑地の保全および緑化の推進に関する基本計画、緑地保全地域、緑化地域、緑地協定などがある。なお、2024(令和6)年2月に「都市緑地法等の一部を改正する法律案」が閣議決定された。主な改定点は以下の通り。・国主導による戦略的な都市緑地の確保・貴重な都市緑地の積極的な保全・更新・緑と調和した都市環境整備への民間投資の呼び込み
都市計画区域
原則として市または町村の中心部を含み、一体的に整備・開発・保全する必要がある区域。
原則として都道府県が指定する。
1.都市計画区域の指定の要件
都市計画区域は次の2種類のケースにおいて指定される(都市計画法第5条第1項、第2項)。
1)市または一定要件を満たす町村の中心市街地を含み、自然条件、社会的条件等を勘案して一体の都市として総合的に整備開発保全する必要がある場合
2)新たに住居都市、工業都市その他都市として開発保全する必要がある区域
1)は、すでに市町村に中心市街地が形成されている場合に、その市町村の中心市街地を含んで一体的に整備・開発・保全すべき区域を「都市計画区域」として指定するものである(※1)。なお、1)の「一定要件を満たす町村」については都市計画法施行令第2条で「原則として町村の人口が1万人以上」などの要件が定められている。
2)は、新規に住居都市・工業都市などを建設する場合を指している。
(※1)都市計画区域は、必要があるときは市町村の区域を越えて指定することができる(都市計画法第5条第1項後段)。また、都市計画区域は2以上の都府県にまたがって指定することもできる。この場合には、指定権者が国土交通大臣となる(都市計画法第5条第4項)。
2.都市計画区域の指定の方法
原則として都道府県が指定する(詳しくは都市計画区域の指定へ)。
3.都市計画区域の指定の効果
都市計画区域に指定されると、必要に応じて区域区分が行なわれ(※2)、さまざまな都市計画が決定され、都市施設の整備事業や市街地開発事業が施行される。また開発許可制度が施行されるので、自由な土地造成が制限される。
(※2)区域区分とは、都市計画区域を「市街化区域」と「市街化調整区域」に区分することである。ただし、区域区分はすべての都市計画区域で行なわれるわけではなく、区域区分がされていない都市計画区域も多数存在する。このような区域区分がされていない都市計画区域は「区域区分が定められていない都市計画区域」と呼ばれる。
4.準都市計画区域について
都市計画区域を指定すべき要件(上記1.の1)または2))を満たしていない土地の区域であっても、将来的に市街化が見込まれる場合には、市町村はその土地の区域を「準都市計画区域」に指定することができる。準都市計画区域では、必要に応じて用途地域などを定めることができ、開発許可制度が施行されるので、無秩序な開発を規制することが可能となる(詳しくは準都市計画区域へ)。
所有権
法令の制限内で自由にその所有物の使用、収益および処分をする権利をいう。
物を全面的に、排他的に支配する権利であって、時効により消滅することはない。その円満な行使が妨げられたときには、返還、妨害排除、妨害予防などの請求をすることができる。
近代市民社会の成立を支える経済的な基盤の一つは、「所有権の絶対性」であるといわれている。だが逆に、「所有権は義務を負う」とも考えられており、その絶対性は理念的なものに過ぎない。
土地所有権は、法令の制限内においてその上下に及ぶとされている。その一方で、隣接する土地との関係により権利が制限・拡張されることがあり、また、都市計画などの公共の必要による制限を受ける。さらには、私有財産は、正当な補償の下に公共のために用いることが認められており(土地収用はその例である)、これも所有権に対する制約の一つである。
借地権
借地権とは次の2つの権利のどちらかのことである(借地借家法第2条)。
1.建物を所有する目的で設定された地上権
2.建物を所有する目的で設定された土地賃借権
従って、資材置場にする目的で設定された土地賃借権は「借地権」ではない。
また、青空駐車場とする目的で設定された土地賃借権も「借地権」ではないことになる。