一棟の建物を区分した各部分のことを、不動産登記法では区分建物と呼ぶ。
この区分建物の登記記録については、普通の建物の登記記録とは異なる特徴がある。
1.表題部が2種類存在する。一棟の建物全体の表題部があり、その次に各区分建物の表題部が置かれる。一棟の建物全体の表題部には、一棟の建物全体の物理的状況が表示され、各区分建物の表題部にはそれぞれの区分建物の物理的状況が表示される。
2.表題部に、建物の物理的状況を、最初に登記をすることを「表題登記」という。一棟の建物全体についてこの表題登記をする際は、その建物に属するすべての区分建物について、同時に表題登記をしなければならない(不動産登記法第48条第1項)。
3.区分建物の敷地は、区分建物所有者全員による共有となる。そのため、敷地の持分と区分建物を別々に売買すること等が法律(建物の区分所有に関する法律)により原則的に禁止されている。
そこで不動産登記法では、区分建物の敷地である土地に「敷地権である旨の登記」という特殊な登記を記載し、その登記がなされた以降は、土地と建物が一体的に処分されることを登記上でも明確にしている(詳細は「敷地権である旨の登記」へ)。
建物
民法では、土地の上に定着した物(定着物)であって、建物として使用が可能な物のことを「建物」という。
具体的には、建築中の建物は原則的に民法上の「建物」とは呼べないが、建物の使用目的から見て使用に適する構造部分を具備する程度になれば、建築途中であっても民法上の「建物」となり、不動産登記が可能になる。
不動産登記法
不動産の表示及び不動産に関する権利の公示のための登記制度を定めた法律。不動産登記制度は、1889(明治32)年に制定された旧不動産登記法によって創設されたが、2004(平成16)年にこれが全面改正され、2005(平成17)年3月7日から現行の不動産登記法が施行されている。 不動産登記法は、登記できる権利等、登記順位、登記所、登記記録、登記手続、登記事項の証明、筆界確定などについて定めている。たとえば、登記できる事項は、不動産(土地または建物)の表示のほか、不動産に係る所有権、地上権、抵当権、賃借権など一定の権利についての保存、設定、移転、変更、処分の制限、消滅についてである。
区分建物
一棟の建物のうち、構造上区分されている部分であって、独立して住居等の用途に使用できるものをいう(不動産登記法第2条第22号)。
具体的には、分譲マンションの各住戸が「区分建物」である。
登記記録
一筆の土地または一個の建物ごとに作成される登記の記録のこと。
従来は紙であったため「登記用紙」と呼ばれていたが、現在はほとんどの登記所でハードディスク上のデータとなっているため、現在の不動産登記法では「登記記録」という用語が使用されている(不動産登記法第2条第5号)。
表題部(不動産登記簿における)
一筆の土地または一個の建物ごとに作成される登記記録のうち、土地・建物に関する物理的状況を表示した表示登記が記載されている部分のこと。 それ以外の権利に関する状況が記載されている部分は、権利部という。権利部はさらに甲区と乙区に分かれる。 土地に関する登記記録の場合、「表題部」には「所在」「地番」「地目」「地積」「原因」「所有者」が記載されている。 また建物に関する登記記録の場合、「表題部」には主たる建物の「所在」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」「原因」「所有者」が記載され、さらに付属建物についても同様の内容が記載される。 なお区分所有建物の登記記録の表題部には、上記の他に敷地権を表示する欄が設けられている。 このうち「原因」とは、その土地や建物が生じた理由などを書く欄であり、「○○番から分筆」「○年○月○日新築」のように記載される。 また「所有者」とは、その土地・建物の登記記録を初めて作成した時点での所有者を書く欄である。ただし、後に所有権の保存の登記をすれば、この表題部に記載された所有者は抹消される。
表題登記
一筆の土地または一個の建物に関して、最初になされる表示登記のこと。
新築された建物などの場合、登記記録そのものが存在していないので、登記記録そのものを新規に作成する手続きが必要になる。
この場合、新規に登記記録を作成するには手順として、まず表題部を作成する必要があり、このような登記を「表題登記」と呼んでいる。
建物の新築の場合、表題登記は建築後1ヵ月以内に申請しなければならない。1ヵ月以内に申請しない場合は過料に処せられる(ただし、1ヵ月経過後も表題登記の申請はでき、申請義務がある)。
なお「表題登記」という用語は、従来は使用されていなかったが、不動産登記法の全面改正(2005(平成17)年3月7日施行)により新たに導入されたもの。
不動産登記法
不動産の表示及び不動産に関する権利の公示のための登記制度を定めた法律。不動産登記制度は、1889(明治32)年に制定された旧不動産登記法によって創設されたが、2004(平成16)年にこれが全面改正され、2005(平成17)年3月7日から現行の不動産登記法が施行されている。 不動産登記法は、登記できる権利等、登記順位、登記所、登記記録、登記手続、登記事項の証明、筆界確定などについて定めている。たとえば、登記できる事項は、不動産(土地または建物)の表示のほか、不動産に係る所有権、地上権、抵当権、賃借権など一定の権利についての保存、設定、移転、変更、処分の制限、消滅についてである。
敷地
建築物のある土地のことを「敷地」という。
なお、同一の敷地の上に2つの建築物がある場合には、建築基準法では、2つの建築物が用途上分けられないときは、同一敷地にあるものとみなすことになっている(建築基準法施行令1条)。 例えば、ある人の所有地の上に「住宅」と「物置」が別々に建っている場合は、この2つは用途上不可分であるので、別々の敷地上に建てたと主張することはできない、ということである。
ところで、建築基準法では「敷地」が衛生的で安全であるように、次のようなルールを設定しているので注意したい(建築基準法19条)。
1.敷地は、道より高くなければならない(ただし排水や防湿の措置を取れば可) 2.敷地が、湿潤な土地や出水の多い土地であるときは、盛り土や地盤の改良を行なう。 3.敷地には、雨水と汚水を外部に排出する仕組み(下水道など)をしなければならない。 4.崖崩れの被害にあう恐れがあるときは、擁壁(ようへき)の設置などをしなければならない。
敷地権である旨の登記
一棟の建物を区分した各部分のことを、不動産登記法では区分建物と呼ぶ。 また、区分建物がその敷地を利用するための法律上の権利(例えば所有権の共有持分)のことを、敷地利用権と呼ぶ。 区分建物と敷地利用権は、別々に処分することが可能であるとすると、権利関係がいたずらに錯綜する可能性があるので、法律(建物の区分所有等に関する法律第22条)では、区分建物と敷地利用権を常に一体で処分することを原則的に義務付けている。 そこで不動産登記法では、区分建物の敷地である土地については、「敷地権である旨の登記」という特殊な登記を記載することとしている。土地の登記記録において、「敷地権である旨の登記」がなされて以降は、区分建物と敷地利用権が常に一体で処分されることを明確にしている。 また、区分建物の登記記録においても、敷地権の内容が表示される(詳細は「敷地権の表示の登記」へ)。