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準耐火建築物
読み:じゅんたいかけんちくぶつ

建築基準において、耐火建築物以外の建築物のうち、その主要構造部(壁、柱、床、、屋根、階段)が準耐火性能を満たし、かつ、延焼の恐れのある開口部(窓やドア)に防火戸など、火災を遮る設備を有する建築物をいう。

この場合、準耐火性能を満たすというのは、

1.主要構造部が準耐火構造であること

2.準耐火構造と同等の準耐火性能を有するための技術的基準(準耐火性能を確保するための方法としては、外壁を耐火化する手法、または、主要構造部を不燃材料化する手法が認められていて、それぞれの要件が定められている)に適合すること

である。

一定の特殊建築物や、都市計画で定められた準防火地域内の一定の建築物は、準耐火建築物でなければならない。

耐火建築物

建築基準において、その主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段)が耐火性能を満たし、かつ、延焼の恐れのある開口部(窓やドア)に防火戸など火災を遮る設備を有する建築物をいう。 この場合に、耐火性能を満たすというのは、 1.主要構造部が耐火構造であること 2.屋内で発生する火災、および周囲で発生する火災による火熱に、当該火熱が終了するまで耐えることができるとする技術基準で定める性能(構造耐力、上昇温度などに関する一定の要件)に適合すること である。 一定の特殊建築物や、都市計画で定められた防火地域内の一定の建築物は、耐火建築物としなければならない。

建築物

建築基準法では「建築物」という言葉を次のように定義している(建築基準法第2条第1号)。 これによれば建築物とは、およそ次のようなものである。 1.屋根と柱または壁を有するもの 2.上記に付属する門や塀 3.以上のものに設けられる建築設備 上記1.は、「屋根+柱」「屋根+壁」「屋根+壁+柱」のどれでも建築物になるという意味である。 なお、地下街に設ける店舗、高架下に設ける店舗も「建築物」に含まれる。

主要構造部

建築物の構造上、重要な役割を果たしている部分のこと。 建築基準法第2条5号では、主要構造部とは「壁・柱・床・梁・屋根・階段」であると定義している。 ただし、構造上重要でない最下階の床、間仕切り用の壁、間柱、つけ柱、局所的な小階段などは主要構造部から除外されている。

小屋組や床組の荷重を二点支持により水平や斜めの状態で支える横材のこと。 柱などと連結して、上方からの荷重を鉛直方向に流し、地面に力を伝える重要な構造部材である。

開口部

壁・床・屋根に設けられた開口部分のこと。窓、出入口、天窓などを指す。

準耐火構造

建築基準において、壁、柱、床その他の建築物の部分の構造が、準耐火性能に適合する建築物の構造をいう。 この場合の準耐火性能とは、通常の火災による延焼を抑制するために、当該建築物の部分に必要とされる性能のことである。その技術的な基準としては、加熱開始後各構造に応じて定められる一定の時間(おおむね45分間)、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであることなどの要件が定められている。 準耐火構造は、火災中の延焼を抑制する性能が求められるにとどまり、耐火構造のように、鎮火後に建物を再使用できるような性能までは要求されていないと理解されている。

特殊建築物

建築基準法において、一般の建築物よりも強い制限を課す建築物。「学校(専修学校及び各種学校を含む)、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途に供する建築物」とされている。 特殊建築物に課す制限は、防火、衛生などの必要に応じて、その用途、床面積、階数などを特定して適用され、一律ではない。適用される制限の内容に即して、対象となる建築物や建築部分を確認する必要がある。 なお、耐火建築物等としなければならない特殊建築物の用途は、次のように分類されている。 (1)劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場 (2)病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設等(幼保連携型認定こども園を含む) (3)学校、体育館、博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツの練習場 (4)百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店、物品販売業を営む店舗(床面積が10平方メートル以内のものを除く) (5)倉庫 (6)自動車車庫、自動車修理工場、映画スタジオ、テレビスタジオ

都市計画

土地利用、都市施設の整備、市街地開発事業に関する計画であって、都市計画の決定手続により定められた計画のこと(都市計画法第4条第1号)。 具体的には都市計画とは次の1.から11.のことである。 1.都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(都市計画法第6条の2) 2.都市再開発方針等(同法第7条の2) 3.区域区分(同法第7条) 4.地域地区(同法第8条) 5.促進区域(同法第10条の2) 6.遊休土地転換利用促進地区(同法第10条の3) 7.被災市街地復興推進地域(同法第10条の4) 8.都市施設(同法第11条) 9.市街地開発事業(同法第12条) 10.市街地開発事業等予定区域(同法第12条の2) 11.地区計画等(同法第12条の4) 注: ・上記1.から11.の都市計画は、都市計画区域で定めることとされている。ただし上記8.の都市施設については特に必要がある場合には、都市計画区域の外で定めることができる(同法第11条第1項)。 ・上記4.の地域地区は「用途地域」「特別用途地区」「高度地区」「高度利用地区」「特定街区」「防火地域」「準防火地域」「美観地区」「風致地区」「特定用途制限地域」「高層住居誘導地区」などの多様な地域・地区・街区の総称である。 ・上記1.から11.の都市計画は都道府県または市町村が定める(詳しくは都市計画の決定主体へ)。

準防火地域

準防火地域は都市計画で指定される地域であり、火災を防止するために比較的厳しい建築制限が行なわれる地域で ある(建築基準法62条)。 準防火地域では建築物は次のようなものとし なければならない。 1.地上4階以上の建築物 →必ず耐火建築物とする 2.地上3階の建築物 →延べ面積によって次の3通りに分かれる。 1)延べ面積が1,500平方メートルを超えるとき : 必ず耐火建築物とする 2)延べ面積が500平方メートルを超え、1,500平方メートル以下のとき : 少なくとも準耐火建築物とする 3)延べ面積が500平方メートル以下のとき : 少なくとも3階建て建築物の技術的基準に適合する建築物とする 3.地上1階または地上2階の建築物 →延べ面積によって次の3とおりに分かれる。 1)延べ面積が1,500平方メートルを超えるとき : 必ず耐火建築物とする 2)延べ面積が500平方メートルを超え、1,500平方メートル以下のとき : 少なくとも準耐火建築物とする 3)延べ面積が500平方メートル以下のとき : 通常の建築物でも構わない ポイントを2つ挙げておく。 まず、最近多い地上3階建ての一般住宅は、上記2.の3)に該当するので、少なくとも「3階建て建築物の技術的基準」に適合する必要がある。 次に、通常の地上2階建ての一般住宅は、上記3.の3)に該当するので、原則的に特別な防火措置を講じなくてよい。ただし上記3.の3)の場合に、その建築物を木造とするためには、建築基準法62条2項の規定に基づき外壁・軒裏を「防火構造」とする必要がある。 なお、準防火地域では上記の規制のほかに、次の規制があることに留意したい。 ア.屋根の不燃化 建築物が耐火構造や準耐火構造でない場合には、その屋根は不燃材料で造り、ま たは不燃材料でふくことが必要である(建築基準法63条)。 イ.延焼の恐れのある開口部の防火措置 建築物が耐火構造や準耐火構造でない場合には、外壁の開口部(すなわち玄関や窓)で延焼を招く可能性のある部分に、防火戸など防火設備を設けなくてはなら ない(建築基準法64条)。  

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