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附合物
読み:ふごうぶつ

不動産(または動産)に附合した動産のことを「附合物」という(民法第242条・243条)。
具体的には、分離できない造作建物の附合物であり、取り外しの困難な庭石は土地の附合物である。従って附合物は「構成部分」と言い換えることもできる。

附合物は不動産の構成部分であるから、不動産を売買すれば当然に附合物を売買したことになり、また不動産に抵当権を設定すれば、当然に抵当権の効力は附合物に及ぶことになる(詳しくは付加一体物へ)。

なお、権原のある者が附合させた物は、附合物であっても、抵当権の効力は及ばないとされている(民法第242条但書)。

不動産

不動産とは「土地及びその定着物」のことである(民法第86条第1項)。 定着物とは、土地の上に定着した物であり、具体的には、建物、樹木、移動困難な庭石などである。また土砂は土地そのものである。

動産

動産とは「不動産以外の物」のことである(民法第86条第2項)。 そして不動産とは「土地及びその定着物」とされているので、動産とは「土地及びその定着物ではない物」ということができる。 特に重要なのは、不動産に付属させられている動産(例えば家屋に取り付けられているエアコンなど)である。このような動産は「従物(じゅうぶつ)」に該当し、不動産実務でよく問題となる(詳しくは従物、付加一体物へ)。

造作

建物の内部を構成する部材や設備をいう。 部材としては建具、畳、床、鴨居など、設備としては水道設備、空調設備などがこれに当たる。判例では、「建物に付加された物件で、賃借人の所有に属し、かつ建物の使用に客観的便益を与えるもの」と解されている。(詳しくは「造作買取請求権」を参照。) なお、建築することをいう場合(「造作する」というような使い方)もあることに注意が必要である。

建物

民法では、土地の上に定着した物(定着物)であって、建物として使用が可能な物のことを「建物」という。 具体的には、建築中の建物は原則的に民法上の「建物」とは呼べないが、建物の使用目的から見て使用に適する構造部分を具備する程度になれば、建築途中であっても民法上の「建物」となり、不動産登記が可能になる。

構成部分

ある物の部分を構成する物を構成部分という。 例えば、土砂は土地の構成部分であり、屋根は建物の構成部分である。 また定着物は土地の構成部分であるとされている。

付加一体物

抵当権の効力は「その目的である不動産に付加して一体となっている物」に及ぶとしており、これを通常「付加一体物」と呼んでいる(民法第370条)。 この付加一体物とは、具体的には、土地の附合物、建物の附合物、建物の従物、土地の従物である。 1.附合物 附合物とは不動産に附合した動産をいう(民法第242条)。 具体的には、分離できない造作は建物の附合物であり、取外しの困難な庭石は土地の附合物である。従って、附合物は「構成部分」といい換えることもできる。 なお、権原のある者が附合させた物は、附合物であっても、抵当権の効力は及ばない。 2.従物 主物に附属せしめられた物のことを「従物」という(民法第87条第1項)。 例えば、建物に対する畳・建具、宅地に対する石灯籠・取外し可能な庭石などが従物である。 従物は、本来、付加一体物に含まれないと考えられていたが、不動産の与信能力を高めようとする社会的要請から、次第に従物も付加一体物に含めるとする解釈が主流となり、現在に至っている。 なお、抵当権設定後に付加された従物については、かつて判例は抵当権の効力が及ばないとしていたが、最近では抵当権の効力が及ぶとする判例も見られるようになっている。 3.従たる権利 借地上の建物に対する土地賃借権のように、主物に附属せしめられた権利を「従たる権利」と呼んでいる(詳しくは従たる権利へ)。判例は、抵当権の効力は当然にこの従たる権利にも及ぶとする。

権原

私法上の概念で、ある法律行為または事実行為を正当とする法律上の原因をいう。 例えば、他人の土地に建物を建築する権原は、地上権、賃借権等である。 ただし、占有の場合には、占有を正当とする権利にもとづかないときにもその権利は保護され、占有するに至ったすべての原因が権原となることに注意が必要である。権限と区別して、「けんばら」と読むこともある。

抵当権

債権を保全するために、債務者(または物上保証人)が、その所有する不動産に設定する担保権のこと。債務者(または物上保証人)がその不動産の使用収益を継続できる点が不動産質と異なっている。 債権が弁済されない場合には、債権者は抵当権に基づいて、担保である不動産を競売に付して、その競売の代金を自己の債権の弁済にあてることができる。