財産権に設定された質権。
質権は原則として動産・不動産に設定されるが、債権・株式などの財産権にも設定することができ、これが「権利質」である。権利質についての民法の適用は、動産・不動産に設定された質権の規定が準用される。
質権
債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を専有し、かつ、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有するという担保物権のこと(民法第342条)。
なお、債権者が債務の弁済としてその物の所有権を取得するという方法を取ること(これを流質契約「りゅうしちけいやく」という)などは民法第349条により原則的に禁止されている。ただし質屋営業法ではこの流質契約を認めている。 質権は質権が設定される対象により、動産質、不動産質、権利質に分類される。
しかし動産を質に取ることは現在でも質屋で広く行なわれているが、不動産を質に取ることは現代ではほとんどあり得ない。従って不動産の実務上で重要なのは、権利に対する質権である。 例えば、金融機関が不動産所有者に融資をする場合には、不動産所有者が火災保険に加入し、その火災保険金の請求権について金融機関が質権を設定するのが一般的な慣行である。 つまり、万一不動産が火災にあった場合には、金融機関はこの質権を実行し、火災保険金から融資の優先返済を受けるということである。
不動産
不動産とは「土地及びその定着物」のことである(民法第86条第1項)。
定着物とは、土地の上に定着した物であり、具体的には、建物、樹木、移動困難な庭石などである。また土砂は土地そのものである。
債権
私法上の概念で、ある人(債権者)が、別のある人(債務者)に対して一定の給付を請求し、それを受領・保持することができる権利をいう。
財産権の一つであり、物権とともにその主要部分を構成する。