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新しい文化と街づくり

時代の文化を映し出し、多彩な様相を見せている荻窪と阿佐谷の街。区内には日本一の数のアニメーション制作会社が集積することから、近年、杉並区は『アニメのまち杉並』を標榜するようになった。また、「阿佐谷ジャズストリート」「荻窪音楽祭」など音楽イベントや「阿佐谷七夕まつり」が毎年開催されていて、街の風物詩となっている。


阿佐谷はジャズ、荻窪はクラシックの街 MAP __

1966(昭和41)年、阿佐谷にジャズ喫茶「JAZZ 吐夢(とむ)」、1970(昭和45)年にジャズスナック「JAZZROOM 鈍我楽(どんがら)」が開店し、その後もジャズ関連店が相次いで誕生した。一方、荻窪にはレコード販売の「月光社」や「新星堂」の本社が置かれ、1957(昭和32)年には文化の振興を目的として「杉並公会堂」が建設され、その音響設備の良さから『東洋一の音楽の殿堂』と謳われた。【画像は1957(昭和32)年】

阿佐谷では1995(平成7)年から「阿佐谷ジャズストリート」がはじまり、ジャズの街となった。荻窪では2000(平成12)年から「荻窪音楽祭」が開催されている。「杉並公会堂」(写真)は2006(平成18)年にリニューアルされ、同年より「日本フィルハーモニー交響楽団」の本拠地としても使用されている。

写真は「杉並公会堂」完成直後のピアノコンサートの様子。荻窪は、1961(昭和36)年に「名曲喫茶ミ二ヨン」が開店するなど、クラシック音楽が盛んな街として発展した。【画像は1957(昭和32)年】


『アニメのまち杉並』のはじまり

「杉並アニメーションミュージアム」

日本初となるアニメーション全般を対象とする博物館「杉並アニメーションミュージアム」。

2005(平成17)年3月、上荻三丁目の「杉並会館」3階に日本初となるアニメーション全般を対象とする博物館「杉並アニメーションミュージアム」がオープンした。元々は杉並区により「杉並アニメ資料館」で2003(平成15)年に誕生しており、この施設を拡充する形として再開館した。館内ではアニメの歴史だけでなく、アフレコ体験やイベント・ワークショップが開催され、文化として根付いたアニメを体感、体験することができる。
MAP __(杉並アニメーションミュージアム)

『アニメのまち杉並』を謳う杉並区には、『アニメ産業レポート2021』によれば全国に811社あるアニメーション制作会社のうち149社が集積するとされ、市区町村別では全国で一番の数を誇っている。『機動戦士ガンダム』で有名な「サンライズ」も杉並区内にある制作会社の一つで、2008(平成20)年に西武新宿線の「上井草駅」前には、「ガンダムモニュメント」が建てられている。

制作会社が増えた背景は、1964(昭和39)年、阿佐谷にアニメ制作会社「東京ムービー」(現「トムス・エンタテインメント」)が設立されたことに始まる。「東京ムービー」は創設翌年に『オバケのQ太郎』、その後も『巨人の星』『アタックNo・1』『天才バカボン』といった人気アニメ作品を次々と世に送り出した。関連会社も生まれ、作画を担当した「オープロダクション」が1970(昭和45)年に荻窪に設立されている。また、1972(昭和47)年には、漫画家・手塚治虫氏が立ち上げた「虫プロダクション」の元スタッフにより、阿佐谷に「マッドハウス」が設立され、のちに自社の映画作品『時をかける少女』などを制作している。1979(昭和54)年には、「東京ムービー」が宮崎駿監督の最初の映画作品、劇場版『ルパン三世 カリオストロの城』を制作した。

このような歴史により『アニメのまち杉並』となった杉並区。今後もアニメ文化の街としても進化していくことだろう。



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