美しい山と渓谷。大自然が身近にある都内の街、
東京都青梅市の防災情報
青梅市は、東京都の西北部に位置し、緑豊かな山並みと渓谷も擁します。標高千メートル近い山地や、多摩川沿いの比較的平坦な台地や丘陵地など、変化に富んだ地形となっています。災害リスクとしては、名栗断層と立川断層という2つの活断層が存在し、また山間部が多いため土砂災害への警戒が必要です。市による減災への取り組みは活発で、民間とも協力しながらさまざまな施策が行われています。
地形で見る青梅市
出典:ハザードマップポータルサイト
東京都の西北部に位置する青梅市は、東西に細長く広がり、市域の約6割を緑豊かな森林が占めています。地形は大きく分けると、西部から中央部にかけては、標高千メートル近い山も擁する山地(図のグレー部分)が拡がります。これは、秩父多摩甲斐国立公園の一部を構成しています。東部には、多摩川により形成された比較的平坦な扇状地である台地(図のオレンジ部分)や、関東山地から続く丘陵地(図の黄色部分)が広がっています。市内を東西に貫くように流れる多摩川に沿って、平地(谷底低地・沖積低地)が形成されています。北部は荒川水系に属する地域で山地、丘陵、河川沿いの帯状平地から成り立っています。植生は、山地の多くが人工林、丘陵地は二次林となっています。台地や河川沿いの平地は、主に市街地として発展しています。
青梅市ではいくつかの災害リスクを抱えています。まず、地震については、市内に名栗断層と立川断層という2つの活断層が存在します。特に立川断層帯での地震発生時には、大きな揺れによる家屋倒壊や人的被害が想定されており、対策の推進が喫緊の課題となっています。過去に大きな地震被害が少ないことから、市民の防災意識や知識が十分でない可能性があり、自助・共助の体制強化が重要視されています。
また、山間部が多い地形のため、風水害、特に土砂災害への警戒が必要です。台風や長雨により土砂災害警戒区域や浸水予想区域で被害が発生する可能性があり、東京都内でも土砂災害警戒区域の指定箇所が多いことが青梅市の特徴です。これらの風水害はある程度事前の予測が可能であるため、ハザードマップ等で避難対象区域を確認し、早めの避難行動をとることが大切です。多摩川沿いの沖積低地は、河川の氾濫による浸水リスクにも注意が必要です。
青梅市防災マップ
青梅市では、土砂災害(特別) 警戒区域、浸水想定(予想)区域、避難所、一時避難所、災害時の給水拠点などが記載された「防災マップ」を公表しています。地区別に地図が分かれており、詳細に内容を確認することができます。
「防災マップ」内にも掲載のある「多摩川洪水ハザードマップ」では、多摩川流域で想定される最大規模の降雨(48時間総雨量588mm)が発生し、多摩川が氾濫した場合に予測される浸水の範囲と深さ、および避難場所等を示しています。万年橋より下流の友田町1丁目、大柳町、駒木町1丁目および3丁目、千ヶ瀬町6丁目、長淵1丁目および3丁目の一部などが、浸水が想定される区域です。
例えば、0.5m未満の浸水でも建物の床下浸水や屋外での膝下程度の浸水が想定され、3.0m以上の浸水では2階の軒下までつかる程度の深さとなります。更には5.0~10.0m未満の浸水深が想定されているエリアもあります。家屋倒壊等氾濫想定区域とされている場所では、堤防決壊等に伴う激しい氾濫流や河岸侵食が発生し、家屋の倒壊・流失をもたらすようなことが想定されており、特に早期の立ち退き避難が必要です。
また、青梅市の災害事例として、雹(ひょう)被害があります。新町御嶽神社の中に自然災害伝承碑がありますが、これは1927(昭和2)年の災害によるものです。近年でも、雹(ひょう)の被害は発生しており、梅などの農作物に被害が出ています。こういった地域の特性を踏まえた災害についての理解も大切になります。
青梅市の取組み
青梅市では、山間部に多く存在する土砂災害警戒区域など、地域の特性を踏まえた防災への取り組みを進めています。例えば長淵地区では、土砂災害や浸水被害への備えとして重要な土のうについて、地域内の砕石事業者との協定締結により、住民自ら製作できる体制づくりを目指しています。大雨の際必要となる土のうの確保の安定化とともに、いざという時の共助の力を高める取り組みにもなっています。
さらに、青梅市は、市内のホームセンターと避難所としての利用に関する協定を締結しました。電気や水道の利用や、広い駐車場を活用した車中泊の対応も可能となります。多数の避難者発生が懸念される状況において、避難所の選択肢を増やし密度分散を図る上で大きな意義があります。
また、青梅市では、地震によるブロック塀等の倒壊事故防止のために、道路に面しているブロック塀等の撤去の促進のため、費用補助を行っています。
青梅市の地域別概要
青梅市では、地域防災計画において、地域ごとの災害リスクを整理しています。
青梅市の北部・西部・南部は山地や丘陵地が多くを占めます。土砂災害警戒区域が多数存在し、急傾斜地の崩壊や土石流が発生する危険性が高い地域です。高齢化率が高い地域も含まれるため、災害時の避難行動要支援者への対策強化が特に重要となります。山間部では孤立のリスクも考慮した備えが必要です。
東部は、立川断層帯による地震被害が想定されており、揺れが大きくなる可能性があります。想定される地震では震度6強、場所によっては震度7の揺れとなる恐れがあります。大規模地震時にはライフラインの損壊や火災の延焼も懸念されます。転入者が多いため、地域コミュニティ内での連携や共助の体制構築が重要になります。




