地形や歴史からひもとく防災情報

落ち着いた住宅街と緑の豊かな環境が魅力、
東京都練馬区の防災情報

光が丘公園

1946(昭和21)年、戦後に誕生した練馬区は、ほぼ全域が武蔵野台地の上にあります。石神井川や白子川といった河川や、約60万平方メートルの広さを誇る光が丘公園など、豊かな自然も魅力です。防災面では、河川沿いや低地における水害や、台地と低地の境で起こる土砂災害のリスクがあります。区では、練馬区立防災学習センターでの「ねりま防災カレッジ」の開催など、日頃から防災の啓もう活動にも力をいれています。

INDEX

地形で見る練馬区

練馬区の土地条件図(凡例はこちら
出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ

練馬区は東京都23区の北西部に位置しています。練馬区はほぼ全域が武蔵野台地の上にあり、海抜平均30~50m程度の起伏の少ないなだらかな地形をしています。土地条件図でも、オレンジ色の「台地・段丘」が全体的に広がっています。台地は、上部の関東ローム層、中部の粘土砂の互層、下部の砂れき層から構成されています。関東ローム層は、硬く地震の揺れにも強いという特徴があります。 ローム層の下には、粘土や礫の層があり、水を含んでいます。これらの地層は、谷底や谷の斜面、段丘の崖などで露出し、湧水となります。石神井公園にある三宝寺池や、武蔵関公園にある富士見池は、こうした湧水によってできた池です。

練馬区には、石神井川や白子川といった小河川や水路が流れ、河川によって削られて形成された大小の谷が所々に分布しています。土地条件図では石神井川沿いは、白地に赤い斜線です。これは低地に土を盛って造成した平坦地や、水部を埋めた平坦地で「人工地形(盛土地・埋立地)」です。石神井川付近の低地と台地の境には、緑色のエリアがあります。これは「山地斜面等」で、台地の縁などの傾斜地を表しています。

「光が丘駅」の周辺には、白地に青い斜線のエリアがあります。これは「人口地形(切土地)」で、造成地のうち、切取りによる平坦地や傾斜地を表しています。オレンジ色の「台地・段丘」の合間を樹枝状に伸びている、薄い茶色のエリアは「凹地・浅い谷」です。台地などの表面に形成された浅い流路跡や侵食谷で、豪雨時には地表水が集中しやすいという特徴があります。

練馬区防災マップ

「関町地区防災マップ」(練馬区ホームページより引用)
「関町地区防災マップ」(練馬区ホームページより引用)

練馬区では、「地域別防災マップ」を公表しています。マップ上には、避難拠点などや消火器、AEDなど、地震や水害の際に役立つ情報や資源などの情報が掲載されています。地域は大きく石神井・大泉エリア、光が丘エリア、練馬エリアに分かれており、更に10地区に細分化されているので、自分の暮らすエリアの防災マップはしっかりと確認しておきましょう。

水害に備えた「練馬区水害ハザードマップ」では、時間最大153mm、総雨量690mmの降雨量を想定した際の浸水リスクを示しています。白子川の周辺など1m以上の浸水が予想されているエリアも点在しているため注意が必要です。ハザードマップの学習面には水害とは何か、防災気象情報、水害に対する備え、河川が氾濫した場合の浸水継続時間などが記載されています。練馬区では、平成元年以降で被害報告があった浸水履歴も公表しているので、自宅エリアが被害に遭っていないか確認するのも良いでしょう。また、「練馬区土砂災害ハザードマップ」では、土砂災害警戒区域および特別警戒区域が、7つの区域に指定されています。

練馬区では「防災の手引~災害にそなえて」も公表しています。災害に対する備えや、災害時の行動、区が実施している防災活動などが理解できる冊子で、付録に「マイ・タイムラインシート」「行動シール」「災害時安否確認ボード」が付いています。「行動シール」を使って、自分自身の避難行動計画である「マイ・タイムラインシート」を完成させたり、災害時に、外から見やすい場所に掲示し、支援の必要性が外部からわかりやすくなる「災害時安否確認ボード」の準備など、実践的な内容となっています。

練馬区の取組み

イメージ画像(煙ハウス体験)

練馬区立防災学習センターでは、様々な視点から防災の知識や技術について学べる「ねりま防災カレッジ」を開催しています。「自助講座」や「女性防災リーダー育成講座」、「乳幼児の保護者向け防災講習会」といった一人ひとりの状況や防災活動レベルに合わせた講座が開かれています。
「防災学習コースメニュー」は、防災に関する講話や防災体験講座などを学習・体験できます。消火体験や家族との安否確認、避難時の心得などの学習と組み合わせ、地震発生から避難までの流れを学ぶことができます。
起震車を使用した「VR地震体験」では、キッチン・ダイニング、学校の教室、屋外と3つの場面における実写映像を視聴しながら地震の疑似体験が可能です。それぞれのシーンにおける地震発生時の行動、事前の備えを疑似体験から学習できます。その他にも煙ハウス体験や応急手当体験、毛布担架搬送体験など幅広いコースが用意されています。

練馬区の地域別概要

地域区分図(「練馬区都市計画マスタープラン」より引用)

練馬区は、都市計画上のマスタープランにおいて、区を7地域に区分しています。

練馬駅前
練馬駅前

「第1地域」は東武東上線および東京メトロ有楽町線・副都心線沿線地域です。地域の南には石神井川が流れており、城北中央公園や高稲荷公園付近を通る川沿いの道では、桜を愛でることができます。「第2地域」は西武池袋線・豊島線、西武有楽町線、東京メトロ有楽町線・副都心線沿線および都営地下鉄大江戸線沿線地域です。区役所や消防署、警察署、練馬文化センターなどの公共施設が集まっています。「第3地域」は西武池袋線・豊島線および都営地下鉄大江戸線沿線地域です。これらの地域内では、建物の密集や、狭い生活道路が多い場所もあり、消防活動困難区域の解消が課題となっています。

光が丘公園
光が丘公園

「第4地域」は、市街地として独立している光が丘地区を中心とした地域です。「光が丘駅」周辺には商業・業務施設、大規模店舗などが集まっています。光が丘公園は、防災公園にも指定されており、かまどベンチ、マンホール型トイレ、災害救助自動販売機、AED、非常用発電機などの設備も整っています。また、光が丘公園の地下には巨大な配水池があり、公園内には、災害給水ステーションが設置されています。周辺エリアは、中高層団地からなり、災害時の危険性は比較的低いものの、さらなる安全性の確保として、ゆとりある住宅地の形成が推進されています。

大泉学園駅前
大泉学園駅前

「第5地域」は、都営地下鉄大江戸線の延伸予定地域です。大泉学園町地区に、落ち着いた戸建住宅地が広がっています。「第6地域」は西武池袋線沿線地域で、「石神井公園駅」周辺や「大泉学園駅」周辺は商業施設が集積し、飲食店も多く、賑わいがあります。「第7地域」は西武新宿線沿線地域です。これらの地域内においては、狭い生活道路が集まるエリアなど消防活動困難区域があり、道路の拡幅、延焼遮断帯の整備、また、建築物の耐震化・不燃化などを推進しています。


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