地形や歴史からひもとく防災情報

吉祥寺、三鷹、武蔵境。3駅を中心とした個性豊かな街、
東京都武蔵野市の防災情報

吉祥寺駅

住みたい街として人気の高い、吉祥寺を擁する武蔵野市。賑わいあふれる商業地と共に、豊かな緑、文化施設や教育施設も集積しています。市のほぼ全域が武蔵野台地上にあり、地盤は比較的安定していますが、一部エリアは谷地となっており、水害に注意が必要です。市では、地震への対策や、台風などによる風水害から身を守れるよう、防災イベントの実施、防災意識向上のための動画配信などを行なっています。

INDEX

地形で見る武蔵野市

武蔵野市の土地条件図(凡例はこちら
出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ

武蔵野市は東京都のほぼ中央、多摩地域の東部に位置し、市のほぼ全域が武蔵野台地で占められています。土地条件図でも、全体的に「台地・段丘」を表すオレンジ色が広がっていることがわかります。比較的海抜高度が高く起伏の少ない平坦面であること、比較的強度の高い関東ローム層で覆われていることなどから、地震が発生した際に揺れが増幅されにくいという特徴を持つ地域です。地理的条件に恵まれているため、商業・情報・金融・文化など各種機能が集積する都市として発展を続けています。また、緑豊かな住環境が広がっていることも特徴です。

市内を流れる仙川や、神田川および小さな水路などに沿って谷地が存在しています。土地条件図を見ると、「武蔵境駅」の東や亜細亜大学など、白地に赤い破線で覆われたエリアです。これは「盛土地・埋立地」で、低地に土を盛って造成した平坦地や、水部を埋めた平坦地を表しています。

オレンジ色の「台地・段丘」と赤い破線の「盛土地・埋立地」の境に沿って、緑色のエリアあります。これは「山地斜面等」で、台地の緑などの傾斜地を表しています。武蔵川公園や第2しろがね公園など、薄い茶色で塗られたエリアは「凹地・浅い谷」です。台地などの表面に形成された浅い流路跡や侵食谷で、豪雨時に地表水が集中しやすい特徴があります。武蔵野中央公園や東京都水道局境浄水場などは、白地に青い破線で表現されています。これは造成地のうち、切取りによる平坦地や傾斜地である「切土地」です。

武蔵野市防災マップ

防災情報マップ(武蔵野市ホームページより引用)
防災情報マップ(武蔵野市ホームページより引用)

武蔵野市には大きな河川や急傾斜地はありません。しかし、地震や大雨、台風などによる風水害への備えは必要です。これら自然災害から身を守るために「防災情報マップ」、そして「浸水ハザードマップ」を公表しています。

「防災情報マップ」には、大地震発生時の対応、災害時の避難場所などが記されています。一時集合場所・避難所、広域避難場所、防災公園、災害用トイレ設置公園、防災備蓄倉庫、非常災害給水施設(学校避難場所)、飲料水兼用耐震性貯水槽、災害対策用井戸(民間)などの場所も掲載されているので、自宅周辺の情報を確認しておくと良いでしょう。武蔵野市には防災協力農地があります。東京むさし農業協同組合と協定を締結し、災害時に一時集合場所・避難所へ避難する際の、緊急待避場所として利用可能です。また、状況によっては農家が生産する農産物を提供いただくこともあります。

「浸水ハザードマップ」は、予想し得る最大規模降雨時の浸水シミュレーション結果を示した地図です。想定降雨量は総雨量690mm、時間最大雨量153mmで算出されています。浸水予想区域における水害時の注意、警戒レベルと取るべき行動、防災情報などが掲載されています。吉祥寺北町1丁目、吉祥寺東町4丁目、境1丁目、桜堤2丁目は低地にあたり、浸水のリスクが示されています。台地でも浸水可能性のあるエリアが点在しているため、該当区域に暮らしている場合は確認が必要です。

武蔵野市の取組み

「はらっぱ水防・防災フェスタむさしの」が開催される都立武蔵野中央公園

武蔵野市では、市民の防災意識向上を目的として、「はらっぱ水防・防災フェスタむさしの」を開催しています。会場は、市のほぼ中央に位置する都立武蔵野中央公園です。初期消火体験、煙体験、放水体験、VR防災体験、起震車体験など、さまざまな体験イベントが開催されます。また、水防訓練をはじめ、消防団の放水実演や自衛隊の炊き出し訓練の見学もできます。ガス・電気の安全対策や、ペットの災害対策を学べたり、防災グッズを手に入るスタンプラリーが実施されたりと、子どもから大人まで楽しみながら防災への理解が深まる内容となっています。
武蔵野市が開設するYouTubeの公式チャンネルもおすすめです。市の防災課が開設する災害への対策情報を閲覧することができます。

武蔵野市の地域別概要

広域案内図(「都市計画上のマスタープラン」より引用)

武蔵野市では、都市計画上のマスタープランにおいて、市を3地域に区分しています。

ハーモニカ横丁
ハーモニカ横丁

「吉祥寺地域」は、郊外住宅地として発展を続けてきたエリアです。都内でも有数の賑わい空間であり、大規模店舗により生まれる回遊性と個性的な小規模店舗が集まっています。また、閑静な住宅街、多様な生物が生息する自然を享受できる環境がそろう人気のエリアです。ハーモニカ横丁はエリアの歴史を紡ぐ象徴的な商店街である一方で、高経年化が課題となっています。リノベーションなど適切な手法による、耐震性や耐火性の高い建物への改装が検討されています。女子大通りや五日市街道などの都市計画道路の整備も進められています。

都立武蔵野中央公園
都立武蔵野中央公園

「三鷹駅」を中心とする「中央地域」は、中央通りや市役所周辺、伏見通りの桜並木などの美しい並木道が道ゆく人々を癒し、都立武蔵野中央公園やグリーンパーク緑地などにも豊かな緑のあるエリアです。総合体育館や武蔵野クリーンセンター、中央図書館、文化会館など公共施設が集積していることも特徴です。防災面では狭あい道路の拡幅整備、西久保2・3丁目における密集住宅地の改善、石神井川排水区の雨水幹線の切替えなどが進められています。

武蔵境駅
武蔵境駅

「武蔵境地域」は玉川上水、千川上水、仙川の貴重な水辺や、のどかな景観を醸す農地や雑木林など、多様で緑豊かな自然空間が残されています。神社・寺院や国木田独歩の文学碑、境南町の庚申塔など歴史的・文化的資源が多く残っているのも特徴です。武蔵野プレイスや境南ふれあい広場公園では、さまざまな地域活動が実施され、賑わいを創出しています。防災面の問題としては、境南町3・5丁目など木造住宅が密集する場所があります。緊急車両の通行に支障が生じる、狭あい道路の整備が喫緊の課題です。雨水の流出を抑制し、浸水被害を軽減するため、桜野小学校に雨水貯留浸透施設を設置するなどの対応も進められています。


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