地形や歴史からひもとく防災情報

井の頭恩賜公園やジブリ美術館。公園や文化施設の充実した街、
東京都三鷹市の防災情報

三鷹駅

三鷹市は、都心へのアクセスが良好でありながら、自然豊かで落ち着いた街並みのエリアです。井の頭恩賜公園やジブリ美術館など、公園や文化施設が充実し、太宰治など多くの文学者とゆかりのある街としても知られています。
市は武蔵野台地上に位置し、大部分は関東ローム層からなります。比較的安定した地盤ですが、河川沿いなどに浸水や土砂災害の危険もあり、注意が必要です。

INDEX

地形で見る三鷹市

三鷹市の土地条件図(凡例はこちら
出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ

三鷹市は武蔵野台地の中央部南端に位置し、標高34mから65m、全体的に西が高く東が低い、比較的平坦な地形です。市の西端には、急傾斜面である国分寺崖線があります。その上の武蔵野段丘が市の大部分を占め、武蔵野段丘上には、神田川、仙川、野川といった南東へ流れる河川が浅い谷を刻んでいます。牟礼地域には、さらに一段高い下末吉段丘が島状に残されています。

市の地盤の大部分は、関東ローム層で覆われた武蔵野台地上に位置します。関東ローム層は、火山灰が積もってできた比較的密度が高く締まった赤土の層で、一般的に地震の際の揺れが比較的小さく抑えられる安定した地盤とされています。土地条件図では、これらエリアが主にオレンジ色の「台地・段丘」として示されています。

一方、市内には野川沿いの急な崖や、過去に水が流れてできた浅い谷、湧水のある窪地などが存在します。また、宅地造成などに伴って人工的に土を盛られた「盛土地」や「埋立地」といった場所もあります。これらの谷や窪地などには、沖積層と呼ばれる、主に河川や湿地に堆積した砂や泥などからなる軟らかい地盤が多く分布しています。
沖積層は、関東ローム層に比べて水分を含みやすく、締まっていないことが多いため、地震が発生した際に揺れが大きくなりやすい傾向があります。特に、谷や傾斜地に排水目的などで盛られた土などは、強度が十分でない場合が多く、軟らかい地盤と考えられます。
土地条件図では、このような沖積層の分布が多いエリアが、薄い茶色の「凹地・浅い谷」や白地に赤い破線の「人口地形(盛土地・埋立地)」として確認できます。

三鷹市防災マップ

「三鷹市浸水ハザードマップ」(三鷹市ホームページより引用)
「三鷹市浸水ハザードマップ」(三鷹市ホームページより引用)

三鷹市では「浸水ハザードマップ」「土砂災害ハザードマップ」を公表しています。
「浸水ハザードマップ」では、1時間あたりの最大雨量153mm、24時間総雨量690mmの想定最大規模時の降雨の際、三鷹市を南北に縦断する形で(市役所から中央線三鷹駅付近にかけて)最大3mほどの浸水深が予想されています。三鷹市は大部分が台地に位置するものの、河川周辺など、短時間に集まる多量の雨水に対し、下水道や河川の処理能力が不足して出水が発生するため、浸水区域の解消は課題となっています。
「土砂災害ハザードマップ」では、玉川上水と野川の河川沿いに危険度が挙げられています。三鷹市は東京都の近郊都市として急速に都市化が進行したことにより、崖地や切土・盛土を施した、人工改変地の宅地開発のケースも多くあります。これらの場所では集中豪雨時の地盤崩壊や土砂崩れなどのリスクも高くなるため、注意が必要です。

三鷹市では、都立井の頭恩賜公園、国立天文台、国際基督教大学、都立野川公園など、万が一の際の広域避難場所も指定されています。比較的規模の大きいな緑地公園が揃っていることは、平常時のみならず災害時においても、地域の強みなるでしょう。避難場所・避難所の一覧は、「防災マップ」に掲載されています。

三鷹市の取組み

広域避難場所でもある都立井の頭恩賜公園

災害発生直後に火災などの二次被害を避けるため、一時的に逃げ込む「避難場所」について、三鷹市では、東京むさし農業協同組合と協定を結んでおり、災害発生時に避難場所として使用できる農地が指定されています。組合員の協力により9箇所の農地が避難場所協力農地となっており、該当地には看板が設置されています。
一定期間の避難生活を送るための屋内施設である「避難所」の中には、「福祉避難所」も定めています。福祉避難所は、通常の避難所での避難生活が困難な医療や介護を要する高齢者、障がい者などの要配慮者の方々を受入れるための施設です。
また、三鷹市では避難所の開設情報や混雑情報などをリアルタイムで確認することができる、「VACAN Maps」も公開しています。平常時には近隣の避難所の位置の確認などができます。

三鷹市の地域別概要

7つの住区(「三鷹市緑と水の基本計画2027」より引用)

三鷹市では、「三鷹市緑と水の基本計画2027」において、市を7つの住区に区分しています。

国立天文台
国立天文台

市の西部に位置する「大沢住区」「西部住区」には、国際基督教大学、国立天文台、調布飛行場や都立野川公園などがあります。豊かな自然環境を擁する一方、野川沿いの水害に注意が必要です。2019(令和元)年10月12日から13日にかけて関東地方に接近した台風第19号では、野川の水位が氾濫危険水位を超過し、その時間は約3時間50分にわたりました。三鷹市は初めてとなる避難勧告を発令し、避難所を開設。約600人の避難者を収容し、対応しています。

三鷹中央通り商店会
三鷹中央通り商店会

市の中央部に位置する「三鷹駅周辺住区」「連雀住区」は、市の玄関口である「三鷹駅」や市役所などの公共施設も集中しています。中央通りなどを中心に、建物の協同化・不燃化が進んだエリアであるものの、密集した住宅地が広がるゾーンもあります。狭あい道路の拡幅整備などの対応、また、オープンスペースの確保などにより、駅利用の帰宅困難者も想定した防災拠点整備が推進されています。

玉川上水緑道(三鷹台児童遊園付近)
玉川上水緑道(三鷹台児童遊園付近)

市の東部に位置する「東部住区」「井の頭住区」「新川中原住区」は、緑地や農地などが多く残るエリアや「吉祥寺駅」に近く利便性の高いエリアなどを含みます。玉川上水と神田川に挟まれた住区は閑静な住宅街です。道路幅が狭いため、災害時の適切な避難路確保や不燃化促進などが必要です。また、玉川上水沿いに土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域があり、周知などの対策を行っています。


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