大学通りの桜や銀杏並木が美しい、緑豊かな学園都市
東京都国立市の防災情報

地形で見る国立市

国立市の土地条件図（凡例はこちら）
出典：国土交通省 不動産情報ライブラリ

国立市は、台地と低地に大別されます。概ね市内の北部から南部に向かって、武蔵野台地の立川面、青柳面、低地、と順に高さが低くなっています。土地条件図にて、市内の多くを占めるオレンジ色が台地（「台地・段丘」）です。地形の境は崖線となっており、土地条件図では緑色の「山地斜面等」で表されています。崖線の下に沿って、ママ下湧水など多くの湧水もみられます。
南部の低地には、薄い緑色の「谷底平野・氾濫平野」、また、白地に斜線で表された、低地に土を盛って造成された「人工地形（盛土地・埋立地）」が確認できます。

一般的には、「台地・段丘」は地盤は良く、地震の揺れや液状化のリスクは小さいものの縁辺部の斜面近くでは崖崩れに注意が必要とされています。「山地斜面等」は崖崩れや土石流、地すべりなどへの注意が必要、「谷底平野・氾濫平野」は河川の氾濫に注意、また、「人工地形（盛土地・埋立地）」は低地においては浸水や液状化のリスクがあるとされています。市の西部には立川断層が通っています。

現在の国立市内では、水が得やすい谷保付近で人の営みが始まりました。この周辺は、平安時代創建と伝わる谷保天満宮があり、古道（古甲州道）や江戸時代に整備された甲州街道も通るなど、現在の国立市の中でも特に深い歴史がある場所です。今の谷保天満宮は甲州街道から石段を下って境内に入る「下り宮」という珍しい構造をしています。かつての甲州街道（古甲州道）が谷保天満宮の南側を通っており、社殿はこれに面していました。しかし、度重なる洪水を受けて、甲州街道は段丘上に移されため、このような構造になりました。

国立市防災マップ

「多摩川洪水ハザードマップ（外水氾濫）」（国立市ホームページより引用）

国立市では国土交通省が公表した「多摩川水系（多摩川）の浸水想定区域図」を基に「洪水ハザードマップ」を作成しています。これによると、多摩川周辺で3.0～5.0ｍ、場所によっては5.0m以上の浸水が予想されています。さらに、青柳面にあたるエリアの一部でも0.5m以下、ところにより0.5～３.0mの浸水が想定されます。このため、大雨の際は浸水が想定されていない立川面上にあたるエリアへ向かうよう避難方向が示されています。また、「土砂災害ハザードマップ」によると、東三丁目や谷保、青柳の崖線沿いが土砂災害警戒区域になっています。

国立市では、災害への備えや避難の際の行動などをまとめた「くにたちの災害対策」も作成しています。まず最初に、大地震による国立市の被害想定について触れられており、立川断層帯地震は市内ほぼ全域で震度6強、多摩直下地震で震度6強（一部、震度6弱）が想定されています。国立市内には立川断層が通過していますが、立川断層は約5,000年間隔で活動するとされ、最新の活動は1,000～1,400年前です。そのため、立川断層に近いことだけをとって、災害リスクが高いとは言えませんが、地震への備えは大切です。
冊子内では、水害に影響のある、雨の降り方と気象予報の関係や、注意報と警報の意味も解説されています。災害発生時の行動や日頃の備え、避難場所などの情報も記載されているため、日頃より確認しておくとよいでしょう。

国立市の取組み

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国立市では「国立市総合防災訓練（防災フェスタ）」を毎年開催しています。2025（令和7）年は国立市谷保第四公園とFSXアリーナ（くにたち市民総合体育館）を会場として、国立市や消防、警察、自衛隊、インフラ関係機関、地域の防災組織などが参加します。市民が楽しめるプログラムも用意されています。VRを使った災害疑似体験や初期消火訓練、AEDによる応急手当訓練といった訓練を体験してスタンプを集め、防災グッズとの交換ができます。アルファ化米を使った非常食の炊き出しでは様々な味のご飯が用意されます。

また、国立市では地域の防災力を高めるための「防災出前講座」を随時依頼を受け付けています。国立市民や在勤、在学者5名以上のグループで申し込むと、防災安全課の職員が派遣され、防災マップやハザードマップ、避難所、備蓄品などの解説を受けることができます。

国立市の地域別概要

地域区分図（「国立市都市計画マスタープラン」より引用）

国立市では、都市計画上のマスタープランにおいて、市を4つの地域に区分しています。

国立駅

「北地域」は「国立駅」の北側に位置し、閑静な住宅街が広がります。「東・中・西地域」は「国立駅」の南側にあり、学園都市のシンボルである大学通りなど整った街並みが形成されています。地形は立川面にあたり、北東には国分寺崖線が伸びています。「国立駅」周辺ではJR中央線の高架化が完了し、南北の行き来が容易になったことから、北地域と東・中・西地域と一体的な街づくりが進められています。また、広域避難場所に指定されている一橋大学周辺を中心に、避難路の安全性の確保への取り組みも推進されています。

立川断層の断層崖を走るJR南武線

「富士見台地域」はJR南武線の北側に位置し、1960年代に大規模団地の整備に伴い、都市インフラが整えられました。現在も国立市役所など公共施設が集まり、国立市の行政の中心として機能しています。大部分は立川面上にありますが、一部は青柳面となり、その境は崖線になっています。近年は大規模団地の老朽化が進んできました。そこで、これらの再生計画に合わせ、広域避難機能の充実が推進されています。

谷保天満宮

「南部地域」はJR南武線の南側にあたる、谷保天満宮などもあるエリアです。地形は青柳面と多摩川沿いの平野で構成され、その境界にある崖線の下では、ママ下湧水など湧水が見られます。市内の農地の多くは南部地域にあるなど、緑も豊かです。一方で水害リスクが想定されていることから、多摩川沿いを中心に治水対策が進められています。