「黄金に値する豊富な水」が地名の由来とされる街、
東京都小金井市の防災情報
小金井市は、小金井公園や国分寺崖線(「はけ」と呼ばれる)の湧水など豊かな自然に恵まれた街です。
地形は大部分が武蔵野台地で、台地上を流れる仙川や野川により浅い谷が形成されています。川沿いでは浸水リスクが予想されるほか、「はけ」の一部では土砂災害も懸念されます。小金井市ではこれらの災害対策を進めるほか、緊急輸送道路や災害対策拠点の整備にも取り組んでいます。
地形で見る小金井市
出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ
土地条件図で小金井市をみると、多くが「台地・段丘」を表すオレンジ色になっています。これは、武蔵野台地と呼ばれる台地です。図の中心あたりに位置するJR中央線の線路の南北には、白地に赤い斜線の「人工地形(盛土地・埋立地)」が概ね東西に延びています。線路の北側の該当部分は、武蔵野台地の間を流れる仙川の谷、線路南側の該当部分は、野川が作った谷で、それぞれそこに盛土した地形になっています。
小金井市付近の武蔵野台地は、高さが2種類あります。「武蔵小金井駅」の北側の高い台地が武蔵野面、南側の低い台地は立川面といいます。この2つの台地の間には「はけ」と呼ばれる崖があり、土地条件図では緑色(「山地斜面等」)で示されています。「武蔵小金井駅」から小金井街道を南に向かうとすぐに前原坂を下りますが、ここが武蔵野面と立川面の境です。
「はけ」の下では多くの湧水がみられます。この湧水は「黄金に値する豊富な水」と呼ばれ、「黄金井」から「小金井」という地名が誕生したといわれています。また、小金井市の市章に桜があしらわれているように、桜は小金井のシンボルです。江戸時代、玉川上水沿いに桜が植樹され、小金井桜が名所になりました。玉川上水は台地に農業用水を供給する目的もあり、武蔵野台地上の周辺より標高が高い所を選んで水路が引かれており、小金井市では市域の北側を通っています。
「武蔵小金井駅」は花見客用の臨時駅として開設され、その後、常時開設されるようになりました。交通の利便性が高まった小金井周辺には別荘や邸宅も設けられ、郊外の住宅地として発展しました。滄浪泉園もこうしてできた別荘の一つで、現在も湧水を活かした庭園の一部が残っています。
小金井市防災マップ
小金井市では「小金井市浸水予想区域図」を作成し、「小金井市防災マップ」に掲載しています。「小金井市浸水予想区域図」は、想定し得る最大降雨(総雨量690mm、時間最大雨量153mm)があった場合をシミュレーションした浸水深等を掲載しており、河川からの氾濫(外水)および下水道等による内水氾濫のそれぞれの影響を合わせて表示しています。
濃い色で示された比較的深い浸水が予想されているエリアは、北部の仙川沿いや南部の野川沿いに広がっており、川沿いなどでは注意が必要です。「武蔵小金井駅」周辺や玉川上水周辺にも浸水予想0.5m以下のエリアが点在しています。ここは土地条件図によるとオレンジ色の台地上にあたります。高台で浸水する理由は、下水の処理能力を上回る大雨で排水が追い付かなくなって水があふれる内水氾濫と考えられます。
台地でもわずかな地形の起伏が存在しています。例えば、0.5m以下の浸水が予想されている「武蔵小金井駅」北口付近の標高は68.6m、浸水が予想されていない本町三丁目のけやき通り沿いの標高は69.3mです。このような高さの違いが、災害時の被害の有無にも影響します。
「はけ」沿いの斜面の一部では、がけ崩れなど土砂災害も想定されています。地形によって起こる可能性のある災害は異なるため、その土地の条件に応じて必要な準備をしておくことが大切です。
小金井市の取組み
小金井市では市民の防災意識を高めるため、様々な催しを行っています。全市を対象とした「こがねい防災フェスタ(総合防災訓練)」のほか、地域住民と協力して行う「梶野公園減災フェスタ」などがあります。
東京農工大学 小金井キャンパスで実施された「令和5年度小金井市総合防災訓練」では炊き出し訓練や応急給水訓練など実践的な内容に加え、近年のペット同伴避難の増加を受けて動物救護対策本部避難所開設訓練も行われました。
また、「梶野公園防災フェスタ2025」は、マンホールトイレの設置やかまど体験など、梶野公園が防災公園であるという特徴を活かした内容で実施されました。梶野公園は、小金井市内で唯一の防災公園です。起震車体験、けむり体験、AED体験、初期消火体験、給水体験、車いす体験、防災グッズ手作り体験、バケツリレーなど多くの体験ができ、会場を回りスタンプを集めると備蓄食料がもらえるイベントでした。
小金井市の地域別概要
小金井市では、都市計画上のマスタープランにおいて、市を3地域に区分しています。
「武蔵小金井地域」は市の北西、「武蔵小金井駅」周辺に広がり、小金井市役所がある市の中心部となっています。地形は、武蔵野台地の武蔵野面と立川面、その間の「はけ」、仙川や野川沿いの谷間と多彩です。「はけ」の一部は土砂災害警戒区域に指定されており、避難体制の整備などが進められています。また、緊急輸送道路となっている小金井街道などで無電柱化や道路沿いの建物の耐震化、小金井公園や東京学芸大学などでは防災拠点の機能を維持、強化が推進されています。
「東小金井地域」は市の東にあたり、大部分は武蔵野台地の武蔵野面上に位置しています。地域の北側には仙川が流れ、川沿いには浅い谷地が形成されています。地域の南側には土砂災害警戒区域があり、避難体制などの強化が推進されています。また、一部に木造住宅が密集したエリアがあり、土地区画整理事業などで、防災性に優れた街づくりを進めています。梶野公園の拡大など防災機能を併せ持つ公園を整備するとともに、東京農業大学など既存の防災拠点の維持が図られています。
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