深大寺そばや「映画のまち」誕生の背景となった地形、
東京都調布市の防災情報
調布市は東京都のほぼ中央、多摩地域の東部に位置します。東京都心から約15kmと利便性に恵まれながらも、深大寺などの深い歴史を擁し、自然も身近な地域です。地形は、多摩川沿いの沖積低地と武蔵野台地に大別でき、台地上には野川・仙川などが刻んだ谷が見られます。川の恵みは調布市の発展に貢献しましたが、水害というリスクもあります。市では、防災に関するイベントの開催など、市民の防災意識向上にも努めています。
地形で見る調布市
出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ
調布市の土地条件図を見ると、オレンジ色の「台地・段丘」が大きな面積を占めていることが分かります。北西から南東に延びる赤色の斜線は、台地の間を流れる野川や仙川の谷地に盛土した「人工地形(盛土地・埋立地)」で、住宅地の開発などにより作られたものです。台地の縁や谷沿いは緑色の斜面(「山地斜面等」)になっており、ここでは湧水がみられます。
調布市付近での人の営みは、縄文時代にこの湧水付近で始まりました。古刹として知られる深大寺は水神信仰とも結びついており、水と深い関係が伺えます。台地の土壌はそば栽培に適しており、近隣の湧水でそばを水にさらすことができました。やがて、このそばが深大寺の参拝客に提供されるようになります。今も名物として知られる深大寺そばは、この地の地形が生み出したものといえます。
多摩川沿いにも赤色の斜線が広がっています。ここは多摩川が生み出した低地に盛土された「人工地形(盛土地・埋立地)」を示します。「京王多摩川駅」周辺の黄色の部分は、多摩川が運んできた土砂が堆積してできた「低地の微高地」です。
多摩川沿いでは、古代から布の生産が盛んで、川でさらした後「調」として朝廷に納めていました。多摩川は「調布(たつくり)の玉川」として和歌の歌枕としても知られるようになり、1889(明治22)年に、この「調布」の言葉を採って調布町(現・調布市)が誕生しました。また、昭和初期には多摩川沿いに広大な敷地の映画撮影所が開設されました。フィルム現像に欠かせないきれいな湧水があり、多摩川の土手など時代劇のロケ地にも恵まれ、都心近郊で現代劇の撮影もしやすい地であったことが、調布に開設された理由でした。戦後は市内3か所に撮影所ができ「東洋のハリウッド」とも呼ばれました。調布という地名や「映画のまち調布」もまた、多摩川という地形の賜物でした。
調布市防災マップ
調布市では、「洪水・内水ハザードマップ」と「土砂災害ハザードマップ」を作成しています。
「洪水ハザードマップ」による浸水予想域は、多摩川・野川・仙川沿いに広がっており、これは土地条件図の赤色の斜線(「人工地形(盛土地・埋立地)」)と黄色(「低地の微高地」)のエリアに概ね一致します。河川が増水し氾濫すると、比較的深い浸水が広範囲で起こります。
「内水ハザードマップ」で浸水が予想されている地域は、野川・仙川沿いのほか、多摩川沿いの低地の用水沿い、台地上でも若干低地になっている部分などに見られます。内水氾濫は排水能力が追い付かなくなったり、排水を流す川が増水して排水できなくなったりする場合に起きる浸水です。この時の浸水深は洪水ほど深くないため、わずかな地形の高低差で被害が異なります。一方で、排水能力によっては台地など標高が高い場所でも起きる可能性があります。
「土砂災害ハザードマップ」は、市内を5地区に分けて作成されています。急傾斜地崩壊危険箇所や警戒区域、避難場所などが記されています。それぞれの地区で、「土砂災害が発生した場合に、建築物の損壊が生じ住民等の生命又は身体に著しい 危害が生ずるおそれがあると認められる」とされる土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)があり、日頃からの確認により該当区域の把握が重要です。
調布市の取組み
調布市では、市民の防災意識を高めるイベントも数多く行われています。そのひとつが「調布市総合防災訓練・防災フェア」です。2024(令和6)年は「秋のボーサイ祭り」として、味の素スタジアムで開催されました。
メインとなる防災訓練は防災関係者だけでなく、地域住民も参加する訓練も用意されました。例えば、シェイクアウト訓練では参加者が一斉に身を守る行動を取り、災害時の対応を学んだほか、災害時の給水拠点を使って実際に給水を受ける訓練も行われていました。
「はたらく車の展示」では、消防車両や警察車両、自衛隊車両などの車両が並び、はしご車乗車体験も開催。ほかにも、起震車での地震体験なども行われました。消防団員が栽培した野菜販売、携帯トイレのあっせん販売などもあり、楽しみながら防災を学べる催しになりました。
調布市の地域別概要
調布市では、都市計画上のマスタープランにおいて、市を4地域に区分しています。
「南部地域」は「調布駅」や調布市役所を含む地域で、調布市の中心機能が集まっています。北側は台地、南側は多摩川沿いの低地で、その間に崖線が延びます。多摩川沿いでは水害対策進められているほか、河川敷(第2区及び第3区周辺)では、広域避難場所として防災拠点機能の強化が推進されています。「調布駅」周辺などでは京王線地下化をきっかけとした道路拡幅などにより、防災性の向上が図られています。
「西部地域」は野川公園や武蔵野の森公園、味の素スタジアムなど、大規模施設が多くあり、特にイベント開催時などは、遠方からも人々が訪れます。北側は台地で、市域の北端には野川が流れ、南側は多摩川沿いの低地となります。川沿いでは水害対策を進められるとともに、大規模施設の緑地を保全して、災害時の広域避難場所機能の確保、また、避難路となる道路の拡幅など整備が進められています。
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