地形や歴史からひもとく防災情報

聖徳太子の創建といわれる四天王寺が区名の由来、
大阪市天王寺区の防災情報

天王寺七坂(口縄坂)

大阪市天王寺区は、聖徳太子の創建と伝わる四天王寺をはじめ、深い歴史の上に都市基盤が形成されてきた地域です。現在はショッピング施設やオフィスの集積とともに、教育機関も多く、文教地区としての特徴も備えています。地形は上町台地上にあり、大阪市の中では比較的水害リスクが低いといえます。上町断層帯地震が発生した場合は、大きな被害が想定されています。こうした特性を踏まえ、地域防災力の向上に取り組んでいます。

INDEX

地形で見る大阪市天王寺区

大阪市天王寺区の土地条件図(凡例はこちら
出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ

天王寺区の大部分は上町台地上に広がります。上町台地は西が相対的に高く、東へ向かって緩やかに低くなる地形が特徴です。台地の西縁には上町断層の存在が推定されており、東側が西側へ押し上げられる逆断層構造を持つとされています。長い年月をかけてこの断層活動により東側が相対的に隆起し、現在の上町台地が形成されたと考えられています。

土地条件図を見ると、区の多くはオレンジ色の「台地・段丘」で占められています。これは上町台地の範囲を示します。上町台地では標高が低い東に向かって水が流れ下り、谷が形成されました。この谷は土地条件図で薄茶色の「凹地・浅い谷」として表されています。赤色の斜線の部分は「人工地形(盛土地・埋立地)」で、このような谷に盛土された土地であることがわかります。

縄文時代の一時期には海面が現在より高く、上町台地は海に突き出す半島のような地形でした。この頃から台地上には人々の生活の痕跡が見られ、長い歴史の中で継続的に居住が行われてきたと考えられています。細工谷遺跡からは飛鳥時代から奈良時代の遺物が多数確認されており、当時この地に集落が形成されていたことを示しています。飛鳥時代には、聖徳太子が創建したと伝えられる四天王寺が建立され、日本初の官寺とされたことから、この地域が古代国家の中心の一つであったことがうかがえます。現在の「天王寺」という区名も四天王寺に由来します。

西の方角を望める上町台地は、四天王寺を中心に信仰の地としても発展、大坂城築城の際は南側を防御する役割も担う寺町が形成され、大坂冬の陣・夏の陣では真田丸・茶臼山などが決戦の舞台となりました。明治期に鉄道が相次いで開通すると、上本町や天王寺・阿倍野周辺は交通の要衝として発展します。駅前には商業施設が整備され、周辺には教育施設も進出していきました。こうした変遷を経て、現在のショッピングタウンとしてのにぎわいと、文教地区としての特色が形成されていきました。

大阪市天王寺区防災マップ

「水害ハザードマップ(天王寺区)」(大阪市ホームページより引用)
「水害ハザードマップ(天王寺区)」(大阪市ホームページより引用)

上町台地の西側には上町断層が並行して延びており、この断層の活動により起きる地震は上町断層帯地震と呼ばれ、今後30年間に発生する可能性は2~3%と評価されています。規模はマグニチュード7.5~7.8と想定され、区内では震度6弱から震度7の揺れが予想されます。

大阪市周辺には、上町断層帯のほかにも生駒断層帯、有馬高槻断層帯、中央構造線断層帯など、広域に大きな被害を及ぼす可能性のある活断層が存在します。たとえば生駒断層帯が活動した場合、想定規模はマグニチュード7.3〜7.7で、天王寺区では震度5強から6強の揺れになると見込まれています。

さらに日本の南側では、フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込むことでひずみが蓄積しており、その解放によって発生する巨大地震が南海トラフ巨大地震です。今後30年以内に発生する確率は70〜80%とされ、発生時には区内全域で震度6弱の揺れが予測されています。また、こうしたプレート型地震では液状化が発生しやすい特徴があり、天王寺区の一部では液状化危険度を示すPL値が15以上とされるなど、液状化の可能性が高い地域もあります。

天王寺区の「水害ハザードマップ」では、大和川の氾濫、寝屋川流域(寝屋川・第二寝屋川・平野川・平野川分水路・古川)の氾濫、高潮、内水氾濫による浸水が想定されています。区の大部分は上町台地上に位置し標高が比較的高いため、大和川の氾濫や高潮、内水氾濫による浸水は、ごく一部の低地に限られると見込まれています。

一方で、24時間総雨量683mmという1,000年に1度程度とされる想定最大規模の大雨が発生し、寝屋川流域(寝屋川・第二寝屋川・平野川・平野川分水路・古川)が氾濫した場合には、区の広い範囲で浸水が予測されています。ただし、その浸水深のほとんどは1m未満にとどまると想定され、総じて水害リスクは比較的低いと評価できます。

大阪市天王寺区の取組み

天王寺区役所

天王寺区内の上町台地には多くの寺院があります。上町台地上では南海トラフ巨大地震発生時の津波による浸水が想定されていません。そこで、上町台地にある寺院の一部が協力し、境内などを一時避難場所に指定しています。これらの一時避難場所は、上町台地の西側で津波が想定される地域から避難する人の収容などに活用されます。

また、区では防災を身近に感じてもらうため、区内で行われるイベントなどを活用して体験型防災講座「学ボーサイ」が行われています。内容はイベントごとに異なりますが、家庭で用意しておきたいローリングストックできる食料品の紹介、災害時簡易トイレの展示や簡易トイレで使う凝固剤の体験、乳幼児用備蓄品の紹介など、実践的で日常に取り入れやすいプログラムになっています。

大阪市天王寺区の地域別概要

天王寺駅

天王寺区には、大きなターミナル駅である「大阪上本町駅」周辺、「天王寺駅」周辺、そして、四天王寺をはじめ200余りの社寺がある四天王寺周辺、といったエリアがあります。

大阪上本町駅(近鉄百貨店 上本町店)
大阪上本町駅(近鉄百貨店 上本町店)

「大阪上本町駅」は近鉄有数のターミナルで、Osaka metro「谷町九丁目駅」が隣接しています。「大阪上本町駅」には駅ビル「近鉄百貨店 上本町店」があります。大規模災害発生時には多くの帰宅困難者発生が予想されるため、周辺のショッピング施設やオフィスなどと連携して、帰宅困難者対策が行われています。

てんしば
てんしば

「天王寺駅」周辺は、近年、大阪市立美術館のリニューアルオープンや天王寺公園のリニューアルによる「てんしば」の誕生など注目を集めるエリアになりました。このエリアでは地域ごとの防災計画として『天王寺地域天王寺小学校区防災計画』があり、住民と連携した防災対策が行われています。

四天王寺
四天王寺

四天王寺周辺エリアには四天王寺の他にも寺院が多く、落ち着いた街並みが広がります。近年はマンションが増えてきたことから、マンションに災害対策物資を保管するほか、マンションと地域のつながりを深める取り組みなどが進められています。


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