大阪の港町としての歴史を有する、
大阪市西区の防災情報
大阪市西区は大阪市のほぼ中央、都心部に隣接する区域です。現在の西区を含む一帯は、かつては淀川・大和川の河口付近の浅瀬で、散在した大小の島々や洲は八十島(やそしま)と呼ばれていました。堆積などにて陸地化が進み、大坂城の築城以降は、城下町拡大のための埋め立てが進行、河川の改修や運河の築造が行われました。こうした歴史から、標高は総じて低く、平坦な地形が広がり、水害への備えが防災対策の中心となっています。
地形で見る大阪市西区
出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ
約7,000年前の縄文時代には、現在よりも海面が高く、上町台地を除く現在の大阪市域の大半が海に覆われていました。その後、海面が低下するとともに、淀川・大和川が運んだ土砂が堆積し浅瀬となり、多くの島(八十島(やそしま))が形成されました。現在西区に残る江之子島という地名も、かつての八十島の一つといわれています。「土地条件図」を見ると、西区の東端、中央区との境には黄緑色で示される「低地の微高地(砂州・砂堆・砂丘)」が分布しています。ここは上町台地の際(きわ)に海流などで形成された砂堆となります。
現在の西区を含む一帯には、多くの島が点在する浅瀬・湿地が広がっていましたが、安土桃山時代に豊臣秀吉が大坂城を築いた際、城下町の整備に伴い、堀(運河)を多数掘削するとともに、低湿地の盛土も進めました。土地条件図では、西区の大半が赤色の斜線で示される「人工地形(盛土地・埋立地)」となっており、城下町整備以降に人工的に造成された土地であることがわかります。太平洋戦争後は戦災復興計画により運河の埋め立てが進み、幅の広い道路や公園が整備され、現在の近代的な市街地が形成されました。
海や湿地を埋め立てた地域では、一般に浸水や液状化のリスクが高く注意が必要です。西区では地震による津波浸水や、河川氾濫などの災害リスクに備えるよう注意を呼び掛けています。
大阪市西区防災マップ
西区で想定される浸水被害として、高潮、内水氾濫、そして南海トラフ巨大地震による津波があります。大阪市ではこれらを踏まえた「水害ハザードマップ」を公表しています。
高潮は、1934(昭和9)年の室戸台風と同等クラスの中心気圧910hPaの台風が発生し、室戸台風と同じような経路で進んだ場合を想定しています。木津川の西側では3階床上から4階天井に達する5~10m、東側でも2階床上から2階天井まで及ぶ3~5mの浸水が想定されています。24時間の総雨量が549mmという、1,000年に一度程度の確率で起きると推定される規模の大雨で内水氾濫が起きると、一部で0.1~1.0mの浸水が想定されます。
また、南海トラフでマグニチュード9.1の巨大地震が発生し、満潮時に最大クラスの津波が起きた場合は、区のほぼ全域で1階床上から1階天井付近に達する0.5~3m、木津川西側の一部では2階床上から2階天井まで及ぶ3~5mの浸水が予想されます。
地震についても注意が必要です。隣接する中央区には上町断層帯が延びており、西区内にも桜川撓曲と呼ばれる地盤構造が推定されています。これらが活動した場合、大きな被害が想定されます。生駒断層帯、有馬-高槻構造線、中央構造線、南海トラフなど周辺の地震源による影響も想定されています。
上町断層帯の地震では、西区内の揺れは震度6強~6弱、区東部の一部では震度7が見込まれます。また、南海トラフ巨大地震では震度6弱の揺れが想定され、西区のほぼ全域で液状化の危険度が高いとされています。
大阪市西区の取組み
大阪市西区は、標高が低く平坦な地形が広がり、周囲を複数の河川に囲まれています。津波や河川の氾濫による浸水から安全を確保するためには、速やかに高い建物に避難することが重要です。そのため、区内には災害時に避難先となる「津波避難ビル」が指定されています。これは、大阪市立の小・中学校や市営住宅などの公共施設に加え、協力を得られた民間のオフィスビルやマンションなども対象になっています。
また、地域の津波リスクを分かりやすく伝えるため、南海トラフ巨大地震で想定される津波の浸水深を示す「浸水深サイン」が設置されています。西区では子どもにも理解しやすいよう、キリンなど7種類の動物の高さで浸水深を表す独自のデザインを採用しています。
大阪市西区の地域別概要
大阪市西区は、中央を流れる木津川を境に、東側地域と西側地域に分けられます。
東側地域にはオフィスビルや商業施設が集まり、堀江周辺では個性的なショップやカフェが増え、おしゃれな街として知られるようになりました。靭公園は戦災復興の区画整理事業の中で整備された約9.7ヘクタールの大規模公園で、広域避難場所にも指定されています。園内にはバラ園やテニスコートが整備され、幅広い世代の市民に親しまれています。
西区の北側中央付近に位置する川口周辺は、古くからの大阪の港として発展した地域で、大坂築城以前から魚市場「雑喉場(ざこば)」も設けられ賑わってきました。幕末から明治期には川口居留地が設けられ海外との文化交流の最前線となり、江之子島には大阪府庁舎も置かれました。
川口の南西の地域、九条には、戦前は映画館や百貨店が軒を連ねていたといいます。現在もナインモール九条商店街は、大阪市内でも活気あふれる商店街として知られています。
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