電車の運賃が安い国は?
ガソリンが安い国って?

生活費・物価
電車の運賃が安い国は? ガソリンが安い国って?

海外に暮らす皆さんに取材・アンケートを行い、さまざまな国や地域の事情をお届けする「大人未来ラボ」のシーズン4がスタート! 「大人未来ラボ」初登場の国もいっぱいです。第1回目のテーマは、「生活費・物価」についてです。あの国の生活費・物価は、日本よりも高い? 安い? 早速、見ていきましょう!

鶏卵が安価なのは、東南アジアの2カ国!

まずは、日本では60年以上小売価格がほとんど変わらないために「物価の優等生」ともいわれる鶏卵です。一口に鶏卵といっても、最近は飼料や飼育環境にこだわった高価なオーガニック卵など、さまざまな価格帯のものがありますが、購入数が多そうなリーズナブルな鶏卵で比較しました。

オーストリアでは10個入りで約203円(1.69ユーロ)、フィンランドでは6個入りで約192円(1.6ユーロ)です。アメリカでは、12個入りが約428円(3.99USドル)。中国では、6個入りが約120円(7.9中国人民元)。インドネシアでは10個入りで約125円(16,700インドネシアルピア)、マレーシアでは10個入りで約150円でした。参考までに、日本では、2020年6月の時点で、10個入りが225円(*1)となっています。

それぞれ販売時の個数が異なるので、比較しやすいように、1個あたりの価格に換算してみましょう。

鶏卵1個あたりの価格

価格帯は、大きく3つに分かれました。安価なグループは東南アジアの2カ国で、鶏卵1個を15円以下で買うことができます。鶏卵1個を20円前後で買うことができるのは、中国、オーストリア。日本も、この中間の価格帯のグループに含まれました。もっとも、卵をとる鶏のほとんどがケージ飼いされている日本と違って、オーストリアでは鶏のケージ飼いは禁止、平飼いだということなので、オーストリアのほうが同じぐらいの価格でより良質な卵を食べられるのかもしれません。鶏卵1個を買うのに30円以上かかる、高価なグループの2カ国は、フィンランドとアメリカです。物価が高いことで世界的に有名な北欧の国と、アメリカのなかでも今回の調査地は特に物価が高いといわれるニューヨークなので、この結果についても、さもありなんといったところでしょうか。

鶏卵とは逆! 牛乳の価格は、欧米<アジア

次は、牛乳です。こちらもさまざまな種類がありますが、なかでも安価な製品同士で比較しました。

すべて1リットルパックで、オーストリアが約126円(1.05ユーロ)、フィンランドが約119円(0.99ユーロ)、アメリカが約106円(0.99USドル)、中国が約212円(14中国人民元)、インドネシアが約158円(21,000インドネシアルピア)、マレーシアが約250円でした。ちなみに、日本では、1リットルパックの価格は216円(*1)です。

価格順に、並べてみましょう。

牛乳1リットルあたりの価格

なんと! 最安値のアメリカにフィンランドが続き、鶏卵が高価な国ほど牛乳は安価だということがわかりました。オーストリア、インドネシアでも、牛乳1リットルパックは100円台で買うことができます。200円台には中国、日本、マレーシアが並び、アジア諸国では牛乳は少々割高なようです。

国内での生産量によるのか、それとも冷蔵や輸送にかかる費用の問題なのか、この価格差がどうして生じているのかが気になりますね!

おいしい日本の果物も、価格は少し高め?

そのほかのものの価格も知りたいですね。お住いの国・地域では、どんなものが安く買えますか?

「オーストリアでは、国内産のワインは、赤、白、ロゼ、スパークリングのどれもが安くて、おいしいです。赤ワインは、1リットルが約215円(1.79ユーロ)で買えます。また、オーガニック(有機農法)の食品、特にフルーツが安くて、最初は驚きました。 オーガニックのイチゴは、250グラム1パックで約299円(2.49ユーロ)です。

それから、オーストリアは動物福祉先進国で、ペットショップが法律で禁止されています。そのため、認可されたブリーダーから直接犬や猫を購入するのですが、血統書付きの子猫1匹を約84,000円(700ユーロ)ほどで譲り受けることができます」(オーストリア)

「電車の運賃が安いです。早割制なので、同じ区間でも買うタイミングや便によって価格が変わりますが、半月前ぐらいまでに予約すれば、ヘルシンキ-ユヴァスキュラ間(約350キロメートル・3時間半)の長距離列車の指定席券が約1,598円(13.3ユーロ)です。直前や当日購入で高くなっても、4,800円(40ユーロ)前後で買えます」(フィンランド)

「果物が安く、マンゴーが1個約107円(1USドル)、バナナが1本約20円(0.19USドル)などです。また、小麦粉も、1キログラムを約107円(1USドル)で買うことができます。たいていの食品や家電などは、日本に比べて安いです」(アメリカ)

「外食や飲み物には、安いものがあります。たとえば、小籠包は8個で200円、肉まん・あんまんなどは1個20円、国産のミネラルウォーターは30円、コーラ500mlは70円ほどです。美容関連も、安いところでは、シャンプー&ブローが400円、ジェルネイルも1,500円くらいからあります。 タクシーも、初乗りが3キロメートルで250円ほどなので、安いですね」(中国)

「日本と比べて安いのは、果物ではないでしょうか。100グラムの価格でいうと、バナナが約14円(1,900インドネシアルピア)、マンゴーが約22円(2,960インドネシアルピア)、パパイヤが約7円(890インドネシアルピア)、パッションフルーツが約28円(3,790インドネシアルピア)スイカが約70円(9,300インドネシアルピア)です」(インドネシア)

「マレーシアは産油国なので、ガソリン(当地ではペトロと呼びます)は日本に比べて半値以下です。車で通勤する人も多く、ガソリンの価格は日常生活を送るうえでの重大な関心事項になっています」(マレーシア)

世界のどこでも、輸入ものはやっぱりお高い?

やはり、国や地域によって、安価で手に入れられるものは異なるようです。それでは、日本のものよりも高価になりがちなのは、どんなものなのでしょう?

「入手しづらいアジア系の食材は、高額です。 たとえば、季節にもよりますが、大根は1本で180~312円(1.5~2.6ユーロ)ぐらいです。同様に、日本車も高額です。 トヨタのプリウスアクティブは、約384万3,600円(31,990ユーロ)もします。

また、日本のように充実したハイクオリティな100円ショップのような存在がないので(ひなびた1ユーロショップはありますが)、100円ショップにあるようなグッズは普通のお店でたいてい高く売られています。たとえば、ランジェリー用洗濯ネット(小2枚組)が、約949円(7.9ユーロ)といった具合です」(オーストリア)

「消費税に加えて、酒税の税率もかなり高いので、お酒類は高価になります。一例を挙げると、500ミリリットルの缶ビールが約421円( 3.5ユーロ)です。それから、民営化以降、サービスには問題があるのに、切手や郵送料がどんどん値上がりして、国民の不満が高じています。今は、国内へのハガキ1枚分の切手代が約210円(1.75ユーロ)です」(フィンランド)

「外食は、ファストフードでも1,000円前後はします。カジュアルなレストランのランチでも、チップ込みで約2,146円(20USドル)は必要です。そのほかでは、紙類が高く、トイレットペーパー6ロールを買うのに約750円(6.99USドル)かかります」(アメリカ)

「スーパーなどでは、国産品や、地産の野菜や豆腐などは日本よりも安いですが、チーズやチョコレートなどの輸入品は日本以上に高くなります。たとえば、韓国製の牛乳は1リットルで1,000円超え、日本で1,000円のワインは1,800円ぐらい、1.5リットルのミネラルウォーター(コントレックス)が350円ぐらいです。

基本的に水道水が飲めないので、浄水器をつけているのですが、そのメンテナンス費がキッチンの蛇口1つで5,000円ほどかかり、シャワーや洗濯機にもつけると1万円を超えます。もちろん、水道代は別です。また、海外製の化粧品は、日本の1.3〜2倍ぐらいの価格になります。

さらに、幼稚園から高校生までのインターナショナルスクールの学費は、バス代、ランチ代が別で、年間450万円程度かかります……」(中国)

「日本と比べて断トツで高いと感じられるのは、輸入されたお酒類です。税金のかけすぎだと思います。「いいちこ」が700ミリリットルで約7,425円(990,000インドネシアルピア)、チョーヤの梅酒が650ミリリットルで約6,713円(895,000インドネシアルピア)、ジョニー・ウォーカーの黒ラベルが750ミリリットルで約11,678円 (1,557,000インドネシアルピア)です。輸入もののワインは一番安いものでも4,000円以上、ローカルブランドのワインなら1,500円ぐらいのものもあります。お酒が好きな人は、日本から来る友人に持ってきてもらったりしているようです。

そのほかでは、輸入もののチーズもとても値段が張ります。モッツァレラチーズが200グラムで約659円(87,800インドネシアルピア)、チェダーチーズが200gグラムで約551円(73,500インドネシアルピア)です。最近ではローカルブランドのチーズも登場して、価格は比較的お手ごろですが、あまりおいしくありません」(インドネシア)

車のナンバー取得で150万円以上!?
世界の物価あれこれ

最後に、お住いの国・地域の物価・生活費について、感じていることを率直に語っていただきましょう。

「特に食べ物に関しては、オーストリアや近隣のヨーロッパ諸国産のものを選んで購入すれば、品質がよく、安くておいしいものが手に入ります。でも、和食にこだわると、外食でも自炊でも、かなり割高になりがちです」(オーストリア)

「高納税・高福祉で知られる国なので、物価は高いといえますが、ユーロを採用していることもあり、それでも北欧諸国のなかでは比較的安いほうです。消費税ではなく付加価値税を導入しているため、商品カテゴリーによって税率が違いますが、交通機関や日用品に関してはそれほど高くはなく、むしろ日本より安いものも結構あります。最高税率の24%がかかるサービス業全般や地価などは、やはり高めです。お店ではすべて税込み表示なので、日本のように外国人が会計時に戸惑うことはありません」(フィンランド)

「外食では、はやりチップがネックになります。テーブルサービスでは会計の20%、立ち飲みのバーカウンターでもビール1杯につき約107円(1USドル)を置くのが、マナーです」(アメリカ)

「すべてをローカル(地元の)レベルに合わせれば、費用はかなり抑えられるものの、日本と同等、または少しぜいたくをしようと思うと、たちまちハードルが上がります。『安かろう悪かろう』という考えがあるためか、野菜にしても、電化製品にしても、驚くほど高価なものがあります。といっても、高価でも粗悪なものがあるので、そこは経験をしながら、自分の目で確かめるしかありません。

車を購入する際にはナンバープレートを購入する必要がありますが、上海ナンバーに関してはプレートを取得するだけで約151万6,000円(10万元)かかるといわれています」(中国)

「近年、バリ島も近代化が進み、スーパーマーケットなどでは定価売りが増え、必要なものは大体何でも購入できるようになりました。市場ならさらに安く購入することができるのですが、外国人は言葉や、商品の適正な価格がわからないこともあり、値切って購入するシステムの市場はかなり敷居が高いといえます。

観光地の市場などでは、売り子の言い値を信じて購入すると、それはいわゆる『お客さん価格』で、法外な値段で買わされていたということもあります。スーパーにしても、お店によって同じ商品でも価格がバラバラなので、よく調べてから購入すると、無駄にお金を使わずに済むでしょう。 自分でよく確認して、いったん納得したら、それがその商品の価格だと受け入れ、あとで『だまされた』などと言わないのがスマートです。

バリ島はとても物価が安く、暮らしやすいと思われがちですが、日本人は海外で暮らす場合でもそれなりの質を求めるので、現地の人とまったく同じ感覚で過ごすのは難しいかもしれません」(インドネシア)

それぞれの国・地域によって、安価なもの、高価なものが違っているのは、とても興味深いですよね。旅行や移住でどこの国に行くかを検討する際には、自分がお金をかけそうなものが安価な国・地域を選ぶのも1つの方法かもしれません。

※ 為替レートは2020年6月26日時点のものです。
掲載される情報は、ガイドおよび在住者の居住する国や地域の中でも居住地や関係する自治体等によって異なる場合があります。

<取材協力>
オーストリア(ウィーン)ライジンガー真樹、フィンランド(ユヴァスキュラ)こばやしあやな、アメリカ(ニューヨーク)小松優美、中国(上海)ヒキタミワ、インドネシア(バリ島)プトゥ ヒロミ、マレーシア(クアラルンプール)古川音
*1 小売物価統計調査「主要品目の東京都区部小売価格」2020年6月分(総務省統計局)

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