外食費が高い国はどこ? 
乳製品が高価な国って?

生活費・物価
外食費が高い国はどこ? 乳製品が高価な国って?

海外で実際に暮らす皆さんに取材やアンケートを行って、さまざまな国や地域の事情をお届けする「大人未来ラボ」。いよいよシーズン3に突入です! シーズン3では、南アメリカや南アジアなど、「大人未来ラボ」で初めてご紹介する地域・国々も登場します。第1回目のテーマは、恒例の「生活費・物価」についてです。気になるあの国の物価は高い? それとも安い?

台湾の牛乳の価格は、スペインの4倍以上!

まずは、食品について比較してみます。牛乳は、ハウ・マッチ?

1リットルでの報告は、スペインが約69円(0.59ユーロ)、カナダが約214円(2.70CAドル)、ブラジルが約97円(3.8レアル)、パキスタンが約110~150円。ただし、パキスタンでは、現地の人がパック売りと併用している量り売りなら、約70円で買えるそう。ちなみに、日本は、1リットルパックの価格が221円(*1)です。台湾は、930ミリリットルで約285円(85台湾元)。シンガポールは、2リットルで約456円(約6Sドル)。アメリカでは容量の単位も変わって、1ガロン(約3.8リットル)で約369円(3.5USドル)。

比較しやすいように、1リットルベースでグラフにしてみましょう。パキスタンの数値は、1リットルパック売りの中間値約130円を採用します。

牛乳1リットルあたりの価格

日本とほぼ同じ価格帯にあるのは、カナダ、シンガポールの2カ国。4カ国がそれよりも安く、唯一高くなっているのが台湾です。

牛乳の価格に関しては、アジア諸国で割高な傾向が見られます。国土が広く、農業も盛んなアメリカ、ブラジルを差し置いて、最も安価だったのは、今回唯一ヨーロッパからエントリーしているスペイン。最高値の台湾の4分の1以下の価格です。これも、ユーロ経済圏の恩恵なのでしょうか?

ブラジルの「ビッグマック」は500円超え!

食品からもう1品、今回は、世界的に展開するファストフードチェーン、マクドナルドの大型サイズのハンバーガー「ビッグマック」単品の価格を比較してみました。

スペインで約493円(4.20ユーロ)、カナダで約499円(6.29CAドル)、アメリカで約421円(3.99USドル)。ブラジルでは、通常約535円(20.9レアル)のところ、現在はキャンペーン中で水曜日に限り約202円(7.9レアル)で買えるのだとか。週1日とはいえ、普段の半額以下の価格で買えるなんて、ずいぶん太っ腹のキャンペーンですね! パキスタンで約335円(500パキスタン・ルピー)、台湾で約241円(72台湾元)、シンガポールで約441円(5.8Sドル)。ちなみに、日本では390円(*2)。こちらは、すべて税込み価格となっています。

その差がひと目でわかるように、価格順に並べてみましょう。

ブラジルの「ビッグマック」は500円超え!

牛乳とは反対に、「ビッグマック」については、アジア諸国での方がお手ごろ価格で求められます。日本よりも100円以上高いのが、スペイン、カナダ、ブラジル。ブラジルのキャンペーンは確かにおトクであるものの、元の価格が他国に比べてかなり高めに設定されていたんですね。

コーヒー好きなら、カナダを目指せ?

そのほかにも、各国の食品の価格を見ていきましょう。それぞれの国・地域で、安く買えるのはどんなものなのでしょうか?

「果物や野菜は安いですね。トマトやりんごなどは約116円(0.99ユーロ)/1Kgからあります」(スペイン)

「有機野菜、フルーツ全般、肉などは特に安く感じられます。一例を挙げると、オーガニックのベビーリーフ(サラダ)詰め合わせが454gで約527円(5USドル)、ラズベリーが340gで約527円(5USドル)、ニューヨークストリップステーキカットが1ブロックで約1,370円(13USドル )などです」(アメリカ)

「ドリップコーヒーの値段は、日本の半分ほど。スターバックスのドリップコーヒーのトールサイズが約160円で、ほかのカフェでも似たようなものです。しかも、カナダのスモール=日本のラージといってもよいくらい、カップのサイズが大きいので、さらにおトク感が増します」(カナダ)

「一般的に、野菜や果物は、日本よりも種類が豊富で、価格も安めです。特に、イタリアンパセリやパクチー、ルッコラ、クレソンなどの葉物野菜の安さが目立ちます。例えば、ルッコラは日本では茎のついた葉が数本パックされて150円ぐらいですが、ブラジルでは250gほどの大きな束が約64~77円(2.5~3レアル)。イタリアンパセリなら、100gで約26円(1レアル)です。ほかには、チーズがおいしくて安く、高品質のゴーダチーズが市立市場なら約767円(30レアル)/1kgから買えます」(ブラジル)

「国産品は概ね安価で、なかでも果物、織物、天然石などが安いです。果物なら量り売りで、マンゴーが1kgで300円、すいかが2kg(1玉)で200円。みかんも、段ボール1箱ほどで300円くらいです。ストールは安価なもので、カシミア製が約800円、シルク製が約400円から。アフガン絨毯やペルシャ絨毯も、日本の5分の1ぐらいの値段で買えます。ただし、織物、天然石に関しては偽物も出回っているので、購入の際にはご注意を」(パキスタン)

「レストランやカフェでの食事代は日本とほとんど変わらない一方、ローカルフードのお店ではとても安く食事をとることができます。近所で人気の魯肉飯屋さんでは、魯肉飯弁当(魯肉飯+副菜3品+スープ)が187円という驚きの安さです」(台湾)
※魯肉飯(ルーローファン)=豚のバラ肉などを甘辛い煮汁で煮込み、煮汁ごとご飯の上にかけた、台湾の代表的なかけご飯。

「ホーカー(屋台)のご飯はめちゃくちゃ安いです。有名なホーカーセンター(屋台街)、マックスウェルフードセンターの人気のチキンライスは、約380円(5Sドル)で食べられます」(シンガポール)

何でもお手ごろに買える日本は物価が安い国?

日本より安価に手に入れやすいのは、果物や野菜、一部の外食のようです。それでは、高価なのはどんなもの?

「100均ショップがないこともあり、ちょっとした道具や日用品が高価な気がします。例えば、ノートの値段は、235円(2ユーロ)ぐらいします」(スペイン)

「高価だと感じるものは特にありません。しいて言うなら、外食する場合の和食やラーメンぐらいでしょうか」(アメリカ)

「外食費がどんどん高騰していて、ランチでも約1,190円(15CAドル)、さらに税金とチップを含めると1,500円近くかかってしまいます。外食、美容院、ネイルサロンなど、チップが必要なサービスを受ける場合には、とにかく高額になりがちです。そのほかでは、郵送料が高いです。A4ぐらいの印刷物を国内に郵送するのに、約1,032円(13CAドル)もかかります。郵送料込みではないものをネットで購入すると、品物の値段よりも郵送料の方が高くつくことも」(カナダ)

「特に高いのは魚です。比較的安いイワシでも、約256円(10レアル)/1kg。養殖サーモンは約1,023~1,535円(40~60レアル)/1kg、スズキやマグロも1,535円(60レアル)くらい。これらは、現地の庶民の日常食の価格としては、相当高く感じられます。外食についても近年では日本より安価だと感じられることはほとんどなく、比較的入りやすい手ごろな日本食レストランでも焼き魚定食が1,279円(50レアル)前後で、現地の感覚では安いとはいえません。また、文房具類も、品質の割には高額です。最近は、全体的に物価が上がり続けています」(ブラジル)

「輸入品はとても高価です。Lay's のポテトチップスは、パキスタン製なら100円もしませんが、輸入品では700円ぐらいにまで値段がはね上がります。ケロッグのコーンフレークも、1箱1000円程度の高級品でした。日本円に換算すると安価に思えるものでも、パキスタンルピーが暴落しているため、現地の感覚では物価がかなり高騰しています」(パキスタン)

「乳製品が非常に高く、500gのプレーンヨーグルトがスーパーマーケットで約429円(128台湾元)の値段がついているのには驚きました」(台湾)

「アルコール類は高価です。コンビニエンスストアで日本の缶ビールが1本で約304円(4Sドル)、地元のタイガービールの瓶(663ml)でも1本で約441円(5.8Sドル)します。ホテルのバーなどでビールを頼むと、1,140円(15Sドル)くらい支払わなければいけません」(シンガポール)

値上がりが止まらない? 世界の物価あれこれ

最後に、お住いの国・地域の物価について思うところ、感じるところを皆さんにフリースタイルで語っていただきました。

「地下鉄の回数券などがほぼ毎年年始に値上がりするのが信じられません。持ち越しになるのは数年に一度ぐらい。基本的に値上がりして当然で、それが続くのはある意味すごいと思います」(スペイン)

「オレゴン州には、消費税がありません。ですから、買い物は、できるだけオレゴン州内で済ませるようにしています。消費税がないぶん、州の予算は、所得税やほかの財源でまかなわれることになります。そのため、高所得者にとっては、オレゴン州の税制はメリットよりデメリットの方が大きいかもしれません。アメリカでは州により税制が異なるので、それが住む場所(州)を選ぶ際の検討要素の一つになっていると考えられます」(アメリカ)

「外食費が高くて、本当に困ります。もともと高いうえに15~25%のチップが上乗せされるので、『4人家族分のご飯をつくるのは大変だから、今日は外食にしたい』と思っても、気軽に出かけることはできません。もちろんコンビニ弁当などもなく、結局自分でつくるしかないんですよね……」(カナダ)

「ここ数年は目に見えてインフレが進んでおり、物価の値上がりが止まりません。日本人にとっては為替レートの影響もありますが、インフレによってぜいたく品でないものまで確実に値上がりしているので、日本人、現地人を問わず、物価に関しては一般庶民が暮らしにくくなってきています」(ブラジル)

「ほとんどが個人商店のため、定価があっても、割引してくれます。『外国人=お金持ち』とお店の人は思っているので、現地人でないと適正価格で買えないことも。スーパーやドラッグストアは、人によって価格変動することはありませんが、為替相場の影響を受けやすく、突然値上がりすることがあります」(パキスタン)

「台湾の労働者の平均年収を考えても、不動産の価格が高すぎる!!!と思います。大卒初任給は平均で85,000円ぐらい、台湾人全体の平均年収は200万円前後のようですが、不動産屋の店先に張り出されているマンションの売買価格を見てみると、一坪3,350,000~〜6,700,000円(100万〜200万台湾元)と驚くような数字が並んでいます。まったくきれいでも新しくもないのに『億ション』というケースも珍しくありません。みんな、どうやって家を買っているの!? 本当に謎です」(台湾)

「物価は、日本並みか、それ以上です。特に、外食・アルコール類の高さは、普通ではありません。観光地のとてもおしゃれなお店に入って、4人でビールやカクテルをそれぞれ1杯ずつ頼んだら、それだけで約6,078円(80Sドル)を超えていたこともあります。スーパーマーケットで売られているものも安くないので、自炊をしてもお金がかかります。むしろ、ホーカーセンター(屋台街)を利用する方が出費は少なくて済むほどです」(シンガポール)

皆さんのお話を聞く限り、それぞれの国によって理由は異なるのかもしれませんが、過去2シーズンに比べて、世界中で物価高が進んでいるよう。必ずしも物価高=悪いことだとは限らないものの、旅行や移住を考える際にはあらかじめ現地の物価をチェックしておいた方がよさそうです。

※ 為替レートは2019年8月24日時点のものです。

<取材協力>
スペイン(バルセロナ)秦 真紀子、アメリカ(ポートランド)東 リカ、カナダ(バンクーバー)ハインリクス 可奈子、ブラジル(サンパウロ)大浦 智子、パキスタン(イスラマバード)篠原 尚子、台湾(台北)酒井 裕子、シンガポール(シンガポール)稲嶺 恭子

*1 東京都区部での2017年の12カ月間の平均価格。小売物価統計調査年報 平成29年(総務省統計局)

*2 2019年8月24日時点。

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