のんびり過ごすノルウェー、
アクティブに楽しむ中国

一日の過ごし方
中国では家事メン・イクメンが当たり前

それぞれの国や地域で分野によって同じところ、違うところがあり、それがさまざまに組み合わされてひとつの共同体が形づくられているのはとても興味深いですよね。それでは、日々の過ごし方についてはどうでしょうか? レポートを届けてくれる皆さんの平日・休日の過ごし方や、お住いの地域のシニア層の暮らしぶりからは、お国柄やそこに住んでいる人々の生き生きとした様子が伝わってきます。

中国の男性は“家事メン”“イクメン”が当たり前!

それぞれの国や地域に住む人々は、日々どのように過ごしているのでしょうか? まずは、「大人未来ラボ」のシーズン2にレポートを届けてくださる皆さんに、「平日の過ごし方」を尋ねてみました。

「午前中は、オスロのカフェで焙煎されたスペシャルティコーヒーを飲みながら、家で原稿を書く仕事などをします。昼以降は、外出して、取材やインタビューで人に会います。カフェで読書をすることも多いですね。物価が高いので、外食はあまりしません。夜は家でのんびり過ごすか、原稿を書いたり、写真を編集したりする仕事をしています」(ノルウェー)

「朝は7時に起床。朝食をとって、その後は執筆、通訳などの仕事をします。ランチは外食。午後は、スーパーで買い物をするなどして、過します。夕食は、自宅でとったり、外食したりです」(ドバイ)

「朝は5時40分に起床。朝食の準備をし、朝食をとって、6時40分に子どもをスクールバスのバス停へ送ります。その後、8時に出勤し、15時半に退勤。15時50分に子どもをピックアップして、16時10分に帰宅します。夕食は18時半から。23時ごろに就寝します。以上は、特別な用事のない日のパターンです。仕事が立て込んだときや、子どもの塾がある日などは、やや違う動きになります。

一般的な中国の働く女性も、私同様、「仕事」と「子ども」がメインの生活を送っています。中国では男性が家事や育児をするのが当たり前だという感覚があり(そのため、“家事メン”や“イクメン”などという言葉はありません)、おじいさん・おばあさん世代も「女性が働くのは当たり前」ととらえているので、積極的に家事や育児のサポートもしてくれて、日本の女性より精神的にも体力的にも働きやすいです。ただし、最近では、都市部の富裕層を中心に、専業主婦に憧れる女性もいます。また、子どもの教育を考え、子どもが小学校に上がると同時に専業主婦になる女性も増えてきました」(中国)

「私はフリーランスのライターで、家庭では二児の母です。 取材などをはじめ、ソウル、あるいはその他の地域に出張する際には朝から夜遅くまで1日不在にすることもありますが、普段は朝に子どもたちを学校に送り出してから、子どもたちが帰宅する15時ごろまで自宅で原稿を書いていることが多いです 。曜日によって異なるものの、午後(夕方)は子どもたちの塾の送り迎えなどで忙しくなります。夜22時ごろに子どもが就寝後、再び仕事をするか、読書などをするかして、0時頃には就寝します」(韓国)

皆さん、仕事をされていて、お子さんのいる方は育児と両立しながら過ごされているよう。中国では、男性が家事や育児をするのが当たり前、女性が働くのも当たり前なんですね!

週末は自然の中でのんびり過ごすのがノルウェー流

週末は自然の中でのんびり過ごすノルウェー流

次は、休日の過ごし方についても聞いてみました。それぞれの国や地域には、どんな楽しみがあるのでしょうか?

「執筆・撮影をする仕事なので、週末はイベントの取材に出かけていることが多いですね。趣味を仕事としていることもあり、ノルウェー人らしい休日はあまりとれていないかもしれません。

仕事をしていないときは、カフェで友だちと会ったり、読書をしたりしています。オスロ、ベルゲン、トロンハイムなどには、スペシャルティコーヒーが飲めるカフェがたくさんあるので、そうした場所でよく過ごしています。浅煎りで酸味のあるコーヒーは、ノルウェーのグルメです!

ノルウェー人とのんびり過ごす時間には、おいしいコーヒーとワッフル、シナモンのパン、手作りケーキなどが欠かせません。ノルウェー人は、日本人と比べて、週末は忙しくせず、ゆっくりと過ごすことが多いです。ノルウェー人は自然の中でのんびりと『何もしない』時間を過ごす天才だと思います。忙しくすることに慣れている日本人とは、ある意味で、真逆のライフスタイルを持っているともいえるでしょう」(ノルウェー)

「まずは、ショッピングモールでの買い物でしょうか。まとめ買いをすることが多いですね。それから、自宅にも会員の市内のジムにもサウナがあるので、よく利用します。あとは、ホームパーティーやお茶会など。季節のイベントに合わせたり、日本食をメインにしたりして、開催します」(ドバイ)

「塾への送り迎え、子どもの集まりに参加するなど、子どもの面倒をみています。中国では子どもの誘拐が多いため、子どもが一人で通学したり、塾へ行ったりすることはなく、子どもだけで外で遊ぶことはほぼ皆無です。子どもが遊ぶ場合には、親が同伴しなければなりません。ほかには、平日に終わらなかった翻訳などの仕事をします。仕事関係の集まり、出張者との食事、友人との集まり、仕事関係のコンサートや試写会、舞台などの見学に出かけることも」(中国)

「まだ小さな子どもがいて、子育てをしながら自宅で仕事をするというスタイルのため、やはり時間が不足気味で平日だけでは終えられないこともあり、繁忙期には休日にも仕事をすることが少なくありません。仕事をしなくてもよいときには、家族または友人家族とイベントに参加したり、観光地などに遊びに行ったりして、子どもと一緒に過ごします。子どもが外出して不在であれば、普段やり残した家事や読書、写真撮影、散策などをして、自分の時間をもつこともあります」(韓国)

なんと! 皆さん、休日も仕事と育児で忙しくしているようです。それでも、時間のとれるときは、読書をしたり、友人と会ったりして過ごしています。前回の調査では多数派だったホームパーティーを開く人が少ないのは、今回調査した国・地域がアジア中心だからでしょうか。

郷に入っては郷に従え?各国のコミュニティー

異国に住もうとするとき、気になることのひとつが人付き合いです。お住いの地域にかかわるものからその他のものまで、コミュニティー活動についても、皆さんに聞きました。

「ノルウェー人は優しいですが、初対面の人にはシャイなところもあります。そこで友だちづくりに役立つのが、共通のネットワークに入ることです。自分で待っていても、ネットワークも友だちの輪も広がりません。自分からがんがんと行動していくことが重要です。ノルウェー語がわからないと現地のコミュニティーは探しにくいかもしれませんが、音楽、コーヒー、ダンス、絵画、スキー、サッカー、フェスなどのイベントへのボランティアとしての参加や社会貢献活動などを通じて、周囲の人に聞いたり、Facebookで探したりして、自分と同じ趣味を持つ人が集まるグループを見つけましょう」(ノルウェー)

「日本人会などが充実しています。日本人会の婦人会に所属し、役員をしたこともあるのですが、その際には各種イベントが開かれ、多くの日本人が集まって交流していました。日本に限らず、それぞれの国ごとのコミュニティーがしっかり確立されているように思います」(ドバイ)

「中国の地域コミュニティーはとても活発です。マンションの庭で音楽を流してダンスをしたり、みんなで太極拳をしたり、子どもから高齢者まで元気に参加しています」(中国)

「居住者を対象にしたショートトリップなどを行うマンションが多くあり、住民同士の交流に役立っています。子どもを持つ家庭であれば、学校行事に関連して親が出席するボランティア活動やイベントなどでの交流もあります」(韓国)

ノルウェーでは趣味、外国人の多いドバイでは国ごと、韓国や中国では地域と、活動が特に目立つコミュニティーは、それぞれの国や地域で異なっているようです。もちろん、そのほかにも、世界中にさまざまなコミュニティーがあります。そんなコミュニティーのひとつについて、オセアニアのニュージーランドから現地レポートを届けてもらいました。

ママ友との交流が楽しい!ニュージーランドでの子育て

女性首相が任期中に産休を取ったことが世界的にニュースになったニュージーランド。男性議員が赤ちゃんを連れて議会に出席するなど、子育てに理解があることで知られていますが、実際にニュージーランドで妊娠、出産、育児をするとそれを実感します。

ママ友がつくりやすい環境でもあるんです。ニュージーランドでは、出産後、「プランケット」という団体が育児支援をしてくれます。24時間健康相談できる無料ダイアルがあったり、検診を行ったり、育児の情報をくれたり。「プランケット」には地元のお母さん同士をつなげる役割もあって、「初めてお母さんになったばかりの人を対象にしたワークショップ」を開催しています。赤ちゃんの発達について学ぶだけではなく、コーヒー片手にお母さん同士が交流するのも大きな目的。私もここで地元のママ友がたくさんできました! 私一人だけが外国人でも、そんなことは関係ありません。初めてのお母さん同士で共通の話題が多く、時にはお父さんも一緒に親子で集まるのは何よりの息抜きです。ニュージーランド人はいい意味で他人のことを気にしないので、どんな仕事をしているのかなど、相手のことを詮索することもなく、みんな化粧もせずに普段着でリラックスしており、居心地よく感じられます。

ママ友とは、子育てワークショップやベビーマッサージに一緒に参加するほか、週1で公園の芝生に集まり、ピクニックシートを敷いておしゃべりします。子どもが小さいと昼寝の時間や体調の都合で行けないこともありますが、その時に来たい人だけが来ればよく、集まらなければならないというプレッシャーがないので、気軽なもの。天気が悪ければ、誰かの家やカフェに集合します。

そんな楽しい交流も、子どもが1歳を過ぎたころから集まるのが難しくなってきました。キャリアのあるママが多く、週数日からでも仕事に復帰する人が増え、時間が合わなくなってきたんです。それでも、事前に日にちを調整し、パパに子どもを預けて、バーで女子会を開催したことも。いつものラフな感じとは違い、みんな少しドレスアップして集まり、ますます仲良くなりました! 子どもが2歳を過ぎた今では、みんなとさらに集まりにくくなってきていますが、Facebookでグループをつくって、そこでやりとりしています。

「プランケット」で知り合うグループのほかにも、ニュージーランドでは図書館で無料の読み聞かせをするグループや歌を楽しむグループ、教会(地域の公民館のような役割も果たしています)の子ども音楽にかかわるグループなどの多くの集会が開かれているので、ママ友をつくるチャンスは多そうです。

出産するまでは「ママ友」や「公園デビュー」という言葉に漠然とした恐れ?を感じていましたが、ニュージーランドではごく自然な友だち関係が築けて、何も心配するようなことはありませんでした。お互い、初めて子どもが生まれ、まだまだわからないことだらけですが、ママ友と協力して楽しみながら子育てをしていきたいです。

老後にのんびり過ごすなら、アウトドア?インドア?

次は、それぞれの国や地域でシニア層がどんな過ごし方をしているのかを聞いてみました。日本での過ごし方とあまり変わらないのでしょうか? それとも、全然違うのでしょうか?

「ノルウェーのシニア層は、のんびりと家族との時間を過ごしています。 夏は日差しを浴びながらの日光浴、自然の中で散歩、秋はキノコ狩り、冬は日本でも流行りつつあるノルディックウォーキングやクロスカントリースキーを楽しむ人が増えます。年齢を問わず、『デゥグナード(Dugnad)』と呼ばれる無償奉仕のボランティア活動に参加する人も多いです」(ノルウェー)

「日本と違って、ドバイではシニア層を見かけることはめったにありません。住民の多くが海外からの駐在員を含む出稼ぎ組で、シニアライフをドバイで満喫しようという方はまれなのでしょう。ローカル(自国民)のシニアの方々は、あまり外出せず、自宅や親戚のおうちなどでゆったりと過ごされているようです」(ドバイ)

「中国のシニア層は、とてもアクティブ! 見ていて、すがすがしくなるほどです。平日も休日も、朝からマンションの敷地や公園に集まり、健康のためにダンスや太極拳などで体を動かしています。天壇公園、日壇公園、朝陽公園などの大型の公園では高齢者割引(無料)サービスがあり、大勢のシニアでにぎわいます。午後からは、カードゲームや麻雀、中国将棋をしたり、背丈ほどもある筆と水でコンクリートに習字をしたり、たこをあげたりしています。

『黄昏恋』という言葉があるように、恋愛においてもこちらのシニア層は積極的。ちょっと色っぽく社交ダンスをするシニアの方を見かけることも珍しくありません。娯楽以外の面でも現役で、多くのシニアの方が家族のための買い物をしたり、孫の送り迎えをし、面倒をみたりしています。スマホも難なく使いこなし、キャッシュレスの生活にもすっかり慣れている様子です。

中国のよいところのひとつが、シニア層の地位が高いことです。バスや地下鉄でもシニアの方は堂々と席を譲ってもらい、若者も当然のこととして(子どもや妊婦にも)席を譲ります」(中国)

「友人同士でカラオケ教室に出かけたり、喫茶店に行ったり、活発に外出される方も多いようです。シニアの方々が広場や公園などで友人と囲碁を打ったり、おしゃべりを楽しんだりしている光景もよく目にします。私の義母(韓国人)は、友人たちと旅行に出かけることもあります」(韓国)

韓国のシニア層の方の過ごし方は、日本のシニア層の過ごし方と通ずるところが多そうです。同じ家族とのんびり、ゆったり過ごすのでも、ノルウェーのシニア層はアウトドア派、ドバイのシニア層はインドア派ということでしょうか。一方、中国のシニアの方々は本当にアクティブ。今後、さらに少子高齢化が進む日本でも、シニア層のこのバイタリティーは見習いたいですね!

ドバイは外国人が老後に住むには向いていない?

さて、それぞれの国や地域にお住いの皆さんは、将来もその地で暮らし続けていくつもりなのでしょうか?

「ノルウェーに住んで10年がたち、こちらでのゆったりとした時間の流れやライフスタイルに慣れてしまいました。2018年の年末年始に一時帰国したのですが、その際に「私の居場所はオスロなのかもしれない」と初めて強く思いました。これからもノルウェーに住み続けて、北欧各国の情報や写真を日本へ届ける仕事をしていきたいと考えています」(ノルウェー)

「人がよく入れ替わる都市で、友人ができても、別れが早くやってきます。常に新しいものを取り入れようという好奇心旺盛な都市といえるため、観光やビジネスには面白い場所ですが、長期間シニアになってまでも住みたい国とは思いません」(ドバイ)

「北京で生活して25年、これからもずっと住み続けたいですが、子どものことを考えて、日本への帰国も検討しています。

ずっと住み続けたいと思う理由は、中国のいい加減さというか、脱力感というか、無理しなくていいところに惹かれるからです。日本の清潔さやルールを重んじる点は素晴らしいですが、全体のバランスや他人のことを気にかけるあまり、生きていくのが少々窮屈に感じられるところも。もちろん、中国のいい加減さが多くの環境汚染や交通事故を招いていることも承知しています。それでも、自然体というか、無理がないところはやっぱり魅力です。

そして、中国の勢いも見逃せません。一時期に比べるとやや失速気味ではあるものの、数年で町がガラリと変わるようなスピード感にはわくわくします。あまり細かいことを気にしないせいか、行き当たりばったりで新しいサービスがどんどん生まれて、気がつけばデリバリーやキャッシュレスのサービスなどは日本よりも一歩先んじています。

ただ、教育に関しては、地方戸籍や外国籍の子どもをもっている親は大変です。北京戸籍の子どもは無料で小中学校に通える一方、地方戸籍や外国籍の子どもは別枠で進学しなければならず、かなり高額の教育費がかかります」(中国)

「韓国は、日本から近く、インフラもしっかり整っているので、暮らしやすい国です。さまざまな面で合理的なシステムが採用されている点にも、暮らしやすさを感じます。多文化家庭の支援なども最近は積極的に行われており、日本人が心配するような“日本人であるがゆえの危険”などはひんぱんに直面するものではありません。たとえば、私は10年以上韓国に住んでいますが、そうした理由から危険な思いをしたことは一度もなく、韓国に長期滞在する日本人は少なくありません。

現在、主に居住している大邱広域市は、日本でいえば、名古屋のような都市です。都市には間違いありませんが、ソウルほど大規模でない点に住みやすさを感じます。インフラは整っていて便利で、ショッピングや観光なども楽しめます。私の場合は、仕事でソウルやその他の地域によく出かけていることもあり、プライベートではむしろ首都圏ではない大邱広域市のほうが過ごしやすいです」(韓国)

今お住いの国・地域を気に入っていて、ずっと住み続けたいと考えている人が多いようです。ドバイについては、老後を過ごすよりも、観光や仕事のために訪れる場所と考えたほうがよいかもしれません。海外旅行や海外移住のご予定のある方は、現地からの率直な意見、感想を参考にしてみてはいかがでしょうか。

※ 本記事は各国または地域に在住のガイドおよび在住者個人の見解であり、掲載される情報の内容を保証するものではありません。掲載される情報は、ガイドおよび在住者の居住する国や地域の中でも居住地や関係する自治体等によって異なる場合があります。

※ 掲載される情報は2019年3月時点のものです。

<取材協力>
ノルウェー(オスロ)鐙 麻樹、アラブ首長国連邦(ドバイ)西田 麻紀、中国(北京)鈴木 晶子、韓国(大邸)松田 カノン、ニュージーランド(クライストチャーチ)晝間 尚子

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