専門家執筆Q&A
佐川 旭

住まいづくりの心構えから
トラブルまでQ&A

住まいづくりの
心構えからトラブルまで
Q&A

一級建築士
株式会社 佐川旭建築研究所
佐川 旭

住まいづくりについて、これだけは、ぜひ、知っておいて欲しいという事項を解説しています。より分かりやすく活用しやすいように多くの写真とイラストを使いまとめてあります。

本コンテンツの内容は、平成28年2月29日現在の法令に基づき作成されております。
建築に関して施主の身近で起こりそうな疑問や問題を幅広く取り上げ、
Q&A形式で解説しています。

敷地を読み解く

Q

土地を見に行く

販売担当者の車に乗って土地を見に行ってきました。土地はもちろん街の印象も良かったので、今度は家族も連れて見に行く予定です。

見に行く際のアドバイスをお願いします。

A

見に行くなら車ではなく普段利用する交通機関を使って行くと良いでしょう。

通勤・通学の事情、さらに周辺環境など、まずは多くの情報を集めることです。

日常生活をイメージして街を歩く

 もし普段電車を使って通勤・通学をするなら、まず駅を出たら街の雰囲気を感じてみて下さい。そして学校、市役所、銀行などの公共機関、スーパーや商店街などの買い物施設などを確認しておくことです。

 近年はインターネットでその街のイベントや文化施設について調べることができます。しかし、商店街まで歩道はあるのか、公園・緑地帯の環境は、街灯、信号の数、交通量、ガードレールなど安心安全かどうかは、実際に歩いてみなければ分かりません。大人の目線、子どもの目線も考慮しながら街を見てみることです。

平日、休日、朝、夕と実際の日常生活を家族それぞれの目線でイメージしてみるということです。

Q

土地選びのチェックポイント

土地選びで基本的なチェックポイントを教えて下さい。

A

すべての条件を満たした土地を見つけるのは至難のワザでしょう。土地の価格も含め、生活の利便性や住環境、地域性などあらゆる条件に優先順位をつけながら選ぶことです。

基本のチェックポイントは

土地探しはそこでの生活を具体的にイメージして必要な条件を整理し、そして実際に周辺を歩いてみるなど、自分の目で確かめるということです。

Q

土地と道路の関係①

不動産の広告のチラシに「建築基準法42条2項道路、セットバックあり」と書かれています。詳しく教えて下さい。

A

前面道路の幅員が4m 未満のため、敷地後退(セットバック)により将来的に4mの幅員を確保することを前提に、建築基準法上の道路として認められているという意味です。

敷地後退(セットバック)の基本

 建築基準法の42 条2項で定められたことから「2項道路」または「みなし道路」と呼ばれ、敷地の前面道路の幅員が4m未満の場合、住宅などの建物を建てる際には原則、道路の中心線から水平距離で2m(6m 指定区域の場合は、水平距離で3m)の位置まで敷地を後退させなくてはなりません。

 この後退が「敷地のセットバック」と言われるものです。

たとえ個人の所有地であっても、敷地後退部分は建ぺい率や容積率を算定する際、敷地面積には含まれないということです。

Q

土地と道路の関係②

購入しようとしている土地が北側道路です。間取りにどんな影響が考えられますか?それとも日当りを考えて南側道路の土地を探した方が良いのでしょうか?

A

北側道路であれば、リビング・ダイニングを南側に配置して南側のスペースを有効に使うことができます。南側にあまり敷地の余裕がなく、1階に採光が期待できない場合は2階にL・D・Kを配置することも考えられます。

道路の方角で配置が変わります

 一般的には、南側に道路があるとその分日当りが良く開放感が得られると言われています。しかし、当然玄関や駐車場も道路から近い南側に配置されるため、日当りのよい南側の庭スペースが狭められることもあります。一概に南側道路の敷地は良いとも限らないのです。

敷地の道路付けが悪く、隣家の位置などとの関係で不利な条件が重なったとしても、快適に住める解決策は必ずあるということです。

Q

土地の形や特性を見る

旗竿のような形で、あまり採光も期待できない土地です。

周辺環境は気に入っているので、購入するかどうか迷っています。

A

不利な敷地条件であっても、土地の特徴をしっかりと調べ把握することで、その中から最大限の良さを引き出すことはできるものです。判断が難しい場合は専門家に診断してもらう方法もあります。

自分でも敷地の状況をチェックしてみる

 現地で次の5つのポイントを確認してみて下さい。

  ① 正しい方位、日当りや日照時間のチェック

  ② 敷地に高低差はあるか

  ③ 接する道路の幅員と敷地の間口の広さはどのくらいか

  ④ 隣家の状況と眺望方向はあるか

  ⑤ 周辺環境の景観や高低差を確認する

 特に日当りと日照時間はとても大切です。隣家と隣家の間からどのように日差しが入ってくるのかを把握しておきましょう。さらに、敷地に高低差がある場合は、それを活かす方法を考えます。

不利な敷地条件の土地であっても、アイデアや工夫次第で魅力的な土地に変わるということです。

Q

土地を求める-建てられない土地

家を建てられない土地があるのですか?

A

家を建てられない土地とは、市街化調整区域、接する道路の幅が狭い土地、そして敷地と道路が2m以上の幅で接していない土地です。

家を建てられない土地

●市街化調整区域

 農家住宅や既に開発許可がある場合などを除いて原則として宅地造成などの開発も含め、住宅建築はできません。

●接する道路の幅が狭い

 土地は幅4m以上の道路に接する義務があります。ただし、それ以下でも建築基準法上の道路(建築基準法42条2項等道路)なら条件付きで可能です。

●敷地と道路が2m以上の幅で接していない

 土地が有効幅2m以上で接道していなければ家を建てることはできません。

市街化調整区域の他、交通などの安全上、狭い道路に面した土地には、使用に関しての制限があるということです。

Q

土地を求める-用途地域とは

用途地域って何ですか?

A

一定のエリアごとに建てられる建物の種類や用途などを規制したものです。用途地域を見ることで、現在の土地の利用状況や将来の街並みも予測できます。

用途地域には12 区分あり、住居系は7 区分に分けられています

 一般に住居系の用途地域は今ある住環境を守ることを目指しており、建物の規模や用途が厳しく制限されています。

土地を購入する場合、必ず用途地域を確認し、良好な住環境を重視するなら規制の厳しい低層住居専用地域を選ぶということです。

Q

建てられる家の広さを知る

建ぺい率と容積率について教えて下さい。

A

建ぺい率とは敷地の広さに対する建築面積の割合のことです。

容積率は敷地の広さに対する延床面積の割合のことです。

建築面積・延床面積を知る

 建築面積と延床面積は次のように定義されています。

  ●建築面積 : 建物の真上から光を当ててできる「水平投影面積」で求められる面積です。

  ●延床面積 : 各階の床面積を合計したもので、屋内用途に用いられる空間の床面積が対象です。

建てられる家の広さを知るには、まずはじめに建ぺい率と容積率の確認をするということです。

Q

容積率の制限

容積率が200%の敷地です。単純に敷地の2倍の延床面積の家が建てられると思ったのですが、建てられないと言われました。どうしてですか?

A

前面道路の幅員が4mと狭くないですか?

その時は4m×0.4で求めた160%の容積率になります。

都市計画と前面道路の幅員で決まる容積率

 敷地に対して適用される容積率の限度は2 種類あります。都市計画によって定められた「指定容積率」と「前面道路による容積率」とがあり、そのどちらか厳しい方の数値により制限されることになります。

 一般に、敷地に接する道路の幅員が12m未満の場合は「前面道路による制限」が適用されます。原則として住居系の用途地域では「道路幅員×0.4」となります。前面道路の幅員が12m以上の場合は、指定容積率がそのまま適用される限度の数値となります。

前面道路の幅員が狭いと、指定されている容積率では建てられないということです。

Q

北側斜線に気をつける

気に入った土地があったのですが、ここは北側斜線が厳しいですよと言われました。北側斜線って何ですか?

A

北側隣地の日照の悪化を防ぐため、建物の北側に課せられる制限で、最も気をつけなければならない制限のひとつです。

3種の斜線制限のひとつ

 建築物には面積だけでなく高さにも制限があります。それによって建物の形や階数が決まってくる場合も少なくありません。第1種・第2種低層住居専用地域には、最高高さ10mまたは12mを超えてはならないという絶対高さの規定があります。高さ制限には絶対高さ以外に「道路斜線」「北側斜線」「隣地斜線」という3種の斜線制限があります。

 中でも北側斜線は厳しい制限を持った建築基準法なのです。

●北側斜線制限とは…

 南側にある建物の高さを制限して良好な環境を守るため、北側に斜線が設定されています。北側斜線は自分の敷地と隣地との境界線(隣地境界線)の上で、地盤面から5m(第1種・第2種低層住居専用地域)の位置を基準とし、真北方向から高さ1.25 対奥行1 の勾配が設定されたものです。この北側斜線内に建物を納めることになり、はみ出して建てることはできません。

気に入った土地が、第1種・第2種低層住居専用地域であれば、北側斜線をよく理解し、検討した上で土地の購入を決めるということです。

Q

建築条件の付いている土地

土地に建築条件が付いています。

建築条件付土地の取引について教えて下さい。

A

建築条件付土地は土地の売主または指定業者に建物の工事を頼むことが売買の条件であり、工法やプランに制約があります。

土地を手に入れる

 新築の住宅を初めて手に入れようとする場合、一般には次の3つの方法があります。

 ① 土地を購入し、それから建築家、ハウスメーカー、工務店を探して家を建てる方法

 ② 間取りの決まった分譲住宅を買う方法

 ③ 建築条件付きの土地を購入し、そのまま建物をつくる方法

 建築条件付きの土地を購入したいけれど、何らかの事情によって、どうしてもその建築条件をはずしたい場合、販売会社によっては相談にのってくれることもあります。ただし、その場合は土地価格のアップが考えられます。

建築条件付きの土地は土地契約と建築契約をセットで取引するものです。

建物にこだわりがある場合は、建築条件をはずすか、建築条件の付いていない土地を探す必要がある、ということです。

Q

角敷地の建築制限

角の敷地は建てられる建物面積が広くなると聞きましたが、本当ですか?

A

建ぺい率の緩和規定により10%の割増が受けられます。

すみ切りを設けることで割増

 幅員6m未満の道路が交わる角に接する敷地では、一辺を2mとする二等辺三角形の部分を空地としなければならないことが決められています。

 この6m未満の幅員は「接する道路がいずれも6m未満のとき」とする自治体が多いものの、各自治体により条件が違う場合もあります。

すみ切り部分についての細かい規定は自治体によって異なります。

土地購入前に仲介業者へ確認の依頼をしておくということです。

Q

私道に接する土地

私道に接する敷地の購入を考えています。

どのような点に注意すべきかを教えて下さい。

A

まずは現地の私道の種類、権利関係をしっかりと確認することが必要です。

注意するポイント

●私道の種類

 前面の私道が建築基準法による道路として認定されることを前提に造られた、位置指定道路や開発道路。

 さらに、建築基準法が適用される以前から存在する、既存道路や建築基準法42 条2項道路などもあります。

●私道の権利関係

 私道部分が関係者の共有、もしくは分有で、それぞれが権利を持つ場合は問題ないでしょう。しかし昔からの地主が個人で所有する土地の場合では、代価を支払うか、許可を受けた上で使用という形になることもあります。

 また、通行承諾などが必要な時には、売買契約に先立ってその承諾をもらうか、内諾を得ておくべきです。

売買対象に含まれる私道の地番、位置、面積持分、負担金などの有無やその内容の他、関係する私道部分の権利関係など、しっかりと説明を受け確認するということです。

Q

地盤の性質

新しく造成された土地できれいに区画されています。土をかさ上げし盛土を行ったと説明を受けました。

購入にあたりやや不安です。大丈夫でしょうか?

A

地盤が悪い例として盛土が代表的ですが、確かな資料やデータに基づいて事前にきちんとチェックして、適切な対策をすれば大丈夫です。

欠陥住宅で一番怖いのは不同沈下

 いくら建物をしっかりつくっても、それを支える地盤が良くなければどうにもなりません。

 床が傾いたとか、基礎にひびが入ったという場合、原因としてまず考えられるのが不同沈下です。これは地盤が悪いのに十分な対策がとられていなかったため建物が不均等に沈む現象を言います。

地盤が悪ければ地盤改良など適切な対策をすれば良いのです。

大切なことは、地質の問題を軽くみてはいけないということです。

Q

地盤のチェック

地盤の調査方法にはどんなものがあるのですか?

A

ボーリング調査(標準貫入試験)とスウェーデン式サウンディング試験(SS試験)の2通りあります。

木造3階建てまでならスウェーデン式サウンディング試験(SS試験)でも◎

 ボーリング調査は土地の硬軟や締り具合を調べる方法で、スウェーデン式サウンディング試験は地盤の硬さを表すN値を算出して地盤の地耐力を求める方法です。一般に軟弱地盤判定の合格の目安は、N値3以上です。N値が大きいほど硬くて良い地盤、小さいとやわらかく弱い地盤となります。地盤調査から得られた数値(N値)をもとに基礎の形式や大きさを決めていきます。

●住宅で一般的な地盤調査は、スウェーデン式サウンディング調査

 先端にスクリュー状のものをつけた棒(ロッド)に重量を加えて静かに地面に沈めていき、1mもぐるまでに先端のスクリューが何回転するかを見て、地盤の硬さを測定するものです。

スウェーデン式サウンディング試験は地耐力を直接測るわけではありません。

地耐力を調べるにはボーリング調査をすることです。不安であれば、セットで行うとより確実ということです。

Q

地盤の改良方法

建替えにあたり地盤を調査したら、あまり良い地盤ではないことが分かりびっくりしました。

どんな地盤の補強方法があるのですか?

A

地盤の補強方法は「表層改良工事」「柱状改良工事」「鋼管杭工事」の3つの方法があります。

地盤改良工事は主に3つ

地耐力に応じて適切な地質改良を行うことが重要だということです。

Q

土地と建物の配置

南側に2階建ての家が建っている細長い土地を見つけました。

南側の隣家から、どのくらい離せば1階に光が入ってきますか?

A

太陽高度の低い冬至では、南側を約6m空けないと1階まで日差しは入ってきません。

首都圏の太陽高度は冬至で31.6 度です

 東京では夏至(6月22日頃)の時太陽の南中高度は約78.4 度ですが、冬至(12 月22日頃)では約31.6 度と約2分の1以下の高度になります。

 ちなみに正午の影の長さは建物の高さの1.6 倍にもなります。

四季の変化に応じた太陽高度をチェックし、間取りにどう影響するかを把握しながらプランニングをするということです。

Q

建築基準法の緩和を知る

土地を購入しました。もう少し広い土地が欲しかったのですが…。

建築基準法で床面積の緩和を受けられると聞きましたが、それはどんな箇所ですか?

A

ロフト、インナーガレージ、地下室は条件を満たせば緩和を受けられる所です。

床面積の緩和を受ける

 たいていの人は「家はできるだけ広い方がいいな」と思うでしょう。

 しかし、実際には予算の都合で敷地面積が希望通りにはならないこともあります。だからといってがっかりする必要はありません。

 ある一定の条件を満たせば床面積の緩和を受けられるからです。

敷地が狭ければ、緩和の受けられるスペースを活かしながら住み心地を高めていくということです。

Q

都市計画道路とは

都市計画道路のある土地を購入する予定です。

検討するポイントを教えて下さい。

A

建物に一定の制限を受けることになります。

自分の土地はもちろん、近隣エリアも確認しておこう

「都市計画道路」とは既存の道路を拡幅したり、新たに道路を造る計画の立てられている道路で一般的にみられます。しかし、現在まで長期間にわたり実現されない部分もたくさんあります。また、購入する土地に都市計画道路が重なっていなくても、近隣エリアにその計画があれば将来新設道路により周辺環境が大きく変化する可能性もあるので、十分検討しておくことです。

〔建物の制限を受けるところは?〕

 次のいずれにも該当するものは原則として許可されますが、それ以外は許可されません。

 □
階数が2階以下、かつ地階を有していないこと
 □
主要構造部(壁、柱、梁、床、屋根、階段)が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造、その他これらに類する構造であること
 □
容易に移転し、または除却することができること

都市計画道路のある土地に建物を建てる場合は、容易に移転し、または除却することができる構造を選択することです。

仮に将来事業が実施された際、補償費などを増大させないことも目的のひとつになっているからです。

Q

借地権って何ですか?

不動産広告にときどき「借地権付き」という建物を目にすることがあります。メリットと注意点を教えてください。

A

いくつか注意点はありますが、もし借地権付き住宅で条件に合う物件を見つけたら検討することをおすすめします。

借地権は大きく分けて3種類

 借地権とは「土地を借りる権利」のことです。

 旧借地権、普通借地権、定期借地権の3種類があります。旧借地権は借地期間が満了しても地主側に正当な理由がない限り借地権が更新されるというもので、大正時代に制定されています。

 これに対し、普通借地権と定期借地権は1992 年に施行された、比較的新しい借地権です。

 普通借地権は当初の借地期間が30 年ですが、希望すればずっと住み続けられるので土地を所有する場合とさほど変わりません。

 一方、定期借地権は普通借地権と違い契約の更新はなく、期間満了時には土地を更地に戻して地主に返還することが原則です。その期間は、50 年以上がひとつの目安です。

借地権付き住宅を買うときの価格は、所有権付き物件に比べて安くなる点が最大のメリットです。

注意点は借地期間と住宅ローンということです。