不動産の知識・税金の知識

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税金の基礎知識

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不動産の購入・売却時にかかる税金のポイントを、わかりやすくまとめました。

4.財産の贈与を受けたときにかかる税金(贈与税)

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相続時精算課税制度

(1)制度の概要

 父母や祖父母からの生前贈与について、受贈者(その贈与を受ける人)の選択により、従来の贈与税制度に代えて贈与時に贈与財産に対して特別控除額2,500万円を控除(累積で2,500万円を超える場合は、超える部分についてのみ一律20%で贈与税を課税)し、相続発生時にその贈与財産と相続財産とを合計した価額をもとに相続税額を計算する(贈与時に支払った贈与税額は控除される)ことにより最終的に精算する制度です。

(2)適用対象者

 この制度の適用対象となる贈与者は、贈与の年の1月1日現在で60歳以上の父母・祖父母、受贈者は贈与の年の1月1日現在で18歳以上の子や孫です。
 また、自己の居住の用に供する一定の家屋の新築または取得(家屋と共にする土地等の取得を含みます)をするための資金の贈与を受ける場合、または自己の居住の用に供する家屋の一定の増改築等のための資金の贈与を受ける場合は、令和5年12月31日までの贈与に限り60歳未満の親からの贈与についても適用を受けることができます。

(3)適用対象財産

 贈与財産の種類、金額、贈与回数に制限はありません。

(4)税額の計算
①贈与税額の計算

 この制度を選択した受贈者(子や孫)は、この制度に係る贈与者(父母や祖父母)からの贈与財産については、他の贈与財産と区別して申告を行います。
 贈与税の額は、選択をした年以後については基礎控除110万円を控除せず、贈与財産の価額の合計額が特別控除額2,500万円(前年までに特別控除額を使用した場合には、その残額)に達するまでは贈与税はかかりません。また、2,500万円を超えた部分に対しては、一律に20%で贈与税が課税されます。

②相続税額の計算

 この制度の選択をした受贈者(子や孫)は、この制度にかかる贈与者(父母や祖父母)の相続時に、それまでの贈与財産と相続財産を合算して通常の課税方式(詳細は、相続税の項を参照)により計算した相続税額から、すでに支払ったこの制度に係る贈与税相当額を控除し、その差額を相続税として納付します。
 なお、支払った贈与税額が相続税額を超えるときは、その超える部分の還付を受けることができます。
 これらの場合、相続財産と合算する贈与財産の価額は、贈与が行われたときの時価となります。

(5)申告手続き

 この特例を受けるためには、贈与を受けた人が贈与税の申告期限内に一定の書類を添付して、贈与税の申告を行うことが必要です。

 ※令和5年度税制改正
  • 基礎控除の導入
    令和6年1月1日以後に行う贈与については、相続時精算課税制度を選択している場合でも110万円の基礎控除を適用できるようになります。
  • 災害を受けた場合の特例
    相続時精算課税制度により贈与を受けた財産が、その贈与者の相続開始までに災害等(令和6年1月1日以後に生じたもの)による一定の被害を受けた場合には、被害額を控除した価額をもって相続税の課税価格に算入することになります。