不動産の知識・税金の知識

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不動産売買の基礎知識

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これから不動産を売却または購入をされる方のための不動産売買に関するさまざまな情報を掲載しています。

7.契約─手抜かりなくサインするコツ

 取引の内容を書面にしたものが売買契約書です。売買契約書には、売買価格、売買代金の支払方法、物件の引渡し、危険負担や瑕疵担保責任など、不動産取引において定めておくべき事項が記載されています。
 売買契約の締結にあたっては、それまで相手方と打ち合わせしてきた事項が正しく契約書に記載されているか、契約書の内容を十分確認することが必要です。契約の内容に不備があったり、内容を十分に把握しないまま調印すると、後に大きなトラブルになりかねないので注意が必要です。

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基本的に確認しておくこと

 売買契約を締結するにあたり、次の事項はいずれも重要ですので十分に確認や注意をする必要があります。

1.売買する対象物件の範囲

 登記簿、建物図面、測量図などと、実際に現地の状況などを照らしあわせて確認して、売買の対象となる土地・建物を明確に特定することが必要です。土地については、登記簿、測量図に基づく記録と実際の利用範囲に違いはないか、建物についても登記簿、建物図面どおりの建物であるかについて確認することが必要です。

 付帯物については庭木、庭石、エアコン、じゅうたん、照明器具、物置等について、売買対象に含めるのか否かも、確定しておくことが必要です。また、売買対象物件ではありませんがマンションの駐車場や、近隣で契約している駐車場を使用する権利を引き継ぐことができるのかについても、必要に応じて確認しておいた方が良いでしょう。

2.公簿取引・実測取引

 公簿取引とは、登記簿面積を基準とした価格で取引を行い、実測した面積がその登記簿面積と相違していても価格の清算を行わないというものです。

 実測取引とは、土地家屋調査士等に依頼して実際に測量を行いその面積で価格を決定して取引を行うというものです。

 契約締結時に、実測面積が確定しなければ概算面積とそれに基づく売買価格(単価)で売買契約を締結します。その後引渡しまでの間に土地家屋調査士等に依頼して隣地、道路等との境界を確定し、実測面積を算出して、その面積に基づいて契約時にとりきめた単価をベースに売買代金の清算を行うことになります。

3.売買代金、手付金、内入金の額および支払方法

 売買代金の総額、手付金、内入金、残代金の額およびその支払時期についても、明確に取り決めておくことが必要です。取り決めの時期にその金額の支払いができないと、債務不履行となり相手から損害賠償請求をされたり契約を解除されたりすることになりますので、無理のない支払いスケジュールを立てることが大切です。また、売買の形態によっては建物に消費税等が課税される場合がありますので、消費税等を含んだ金額なのか否かも確認しておく必要があります。

 手付金は、売買などの契約の締結の際に、買主から売主へ支払われる金銭のことをいいます。民法では、手付金が交付された場合は解約手付と推定しています。解約手付が交付された場合は、相手方が契約の履行に着手するまでは、買主は交付した手付金を放棄して、売主は手付金の倍額を償還(受領した手付金を返還し、さらに同額を買主に提供)して契約を解除することができます。手付による解除の場合は特約がない限り損害賠償の請求はできません。契約書上で手付解除ができる期限を定め、その期限以降は手付解除はできないとする場合もあります。

4.所有権の移転時期

 物件の所有権がいつ移転するか、明確に定め、契約書に記載しておくことが必要です。

 法律面では、所有権の移転日をもって所有者としての権利義務が移転することとなります。また税金面では、所有権の移転日をもって取得の日とすることができ、その日から所有期間の計算が始まることになります。

5.引渡しおよび登記の時期

 不動産取引において不動産の買主は、その物件の引渡しを受け、かつ、買主名義への所有権移転登記が完了してはじめて、その不動産を確実に取得したことになります。このため、所有権の移転時期に加えて、物件の引渡し時期と、所有権移転登記申請の時期についても契約で定めておくことが必要です。
 なお、その不動産に売主の抵当権が設定されている場合は、どのタイミングでその抵当権を抹消するかについても取り決めておくことが必要です。

6.違約金

 契約の当事者(売主・買主等)がその契約に定めた条項を履行しない場合、売主または買主はその相手方に対し損害賠償の請求をすることができます。この場合、損害の額がどのくらいであるかお互いに確認する手間や時間を省くため、あらかじめ契約で損害賠償の額ないし違約金の額を定めておくことが多く行われています。

7.条件付売買契約

 売買契約には一定の条件によって契約の効力を発生、消滅させる条件付契約があります。

(1)停止条件付契約

 一定の事実が生じた場合に契約の効力が生じる契約のことを停止条件付契約といいます。したがって、その売買契約に停止条項が盛り込まれている場合は、その条件が成就しない限り売買契約の効力は発生しないことになります。

 例えば建物建築条件付の土地を購入する契約では、その土地の購入者が建物発注者となり、その土地を売却した者あるいは売主が指定する者を請負者とする建物建築の請負契約が一定期間内に締結されたときに、その効力が発生するというものです(平成15年の規則改正により建物建築条件付売買については、解除条件とすることもできるようになりました)。

(2)解除条件付契約

 一定の事実が生じた場合に契約の効力が消滅する契約のことを解除条件付契約といいます。したがって、その売買契約に解除条項が盛り込まれている場合は、その条件が成就しない限り売買契約の効力は有効です。

 解除条件付特約のなかで代表的なものに、住宅ローン特約と買換え特約があります。住宅ローン特約とは、買主が支払うべき売買代金について、住宅ローンによる融資の不成立が確定したときは、その売買契約の効力が失われるというものです。また、買換え特約とは、買主が別の不動産の売却代金をその不動産の購入代金に充当する場合、売却の不成立が確定したときは、購入する売買契約の効力が失われるというものです。

 したがって、解除条件付特約条項のある売買契約書は、その契約が締結されても、解除条件が成就すると契約日にさかのぼって効力が失われることとなるため、条件不成就が確定するまでは契約の効力が確定的でないことになります。

8.危険負担

 例えば、戸建住宅の売買契約を締結し、その引渡しの前に建物が近隣の火事の影響で焼失してしまった場合、売主は契約どおり買主に建物の引渡しをすることができなくなります。このような危険をどちらが負担するかというのが危険負担です。

 民法では、買主が売買代金全額を支払い、建物が焼失した敷地を引き取るよう規定しています。しかしこれでは、取引の公平性から問題ですので、通常は特約で、危険負担は買主ではなく売主が負い、修復可能で売主の負担で修復できるときは契約を継続し、修復不可能の場合や修復に多大な費用を要する場合は契約を解除するように定める場合が多いようです。

 もちろん、危険負担は売主の責任でも、買主の責任でもない場合のことであり、売主が火事を出してしまった場合は、売主の債務不履行となります。

9.瑕疵担保責任

 瑕疵(かし)とは法律用語で、欠陥などを意味します。売買した目的物に、取引時に発見できなかった瑕疵(隠れた瑕疵)があった場合に、売主はそのような隠れた瑕疵があったことを知らなかった場合でも、その責任を負わなければなりません。これを売主の瑕疵担保責任といいます。

 目的物の隠れた瑕疵としては、次のようなものがあげられます。
 ①雨漏りがしたり、土台がシロアリの被害でかなり傷んでいる。
 ②建物を建築するためには相当の費用を要するような障害物が地中に埋まっている。
 ③高台の土地などで建物の建築に擁壁が持ちこたえられない。
 瑕疵には土地や建物そのものに対するもの以外に、土地が都市計画道路に決定されていて建物を建築することができない、などの法律的な欠陥も含まれるとされています。

 このような瑕疵の存在を知らなかった買主は、売主に損害賠償を請求することができます。さらにこれが原因で契約の目的を達することができないときは、契約を解除することができます。民法では、買主がこれらの権利を行使することができるのは、瑕疵を知ったときから1年以内と規定しています。また、瑕疵担保責任は任意規定ですので、特約により民法と異なって売主の責任を免除したり、内容を変更したりすることができます。

 しかし、宅地建物取引業者が売主の場合は、瑕疵担保責任につき買主が権利行使することができる期間を、物件の引渡し日から2年以上の期間と定めること以外は、民法の規定より買主に不利となる契約をしてはならないことになっています。

 なお、新築住宅に関する瑕疵担保責任の取扱いについては、11.住宅の品質確保の促進に関する法律をご参照ください。

10.消費者契約法

 消費者契約法は、情報の質および量ならびに交渉力において、事業者よりも劣る消費者の利益を保護するために定められた法律で、平成13年4月に施行されました。また、平成19年6月7日には、改正法が施行され、適格消費者団体が事業者に対し、消費者の被害発生または拡大を防止するため事業者が行う不当な行為に対する差止請求をすることができるようになりました。さらに、平成28年6月3日に公布された改正法により、消費者契約の目的となるものに関しない事項について不実の告知をした場合も消費者契約を取り消すことができるようになりました。例えば、山林の所有者が測量会社から当該山林には売却可能性があるという説明を受けて当該山林の測量契約を締結したものの、当該山林は実際には市場流通性が認められないものであったという場合にも、不実の告知による取消が認められることになります。なお、この改正法は平成29年6月3日に施行されました。

(1)申込み・承諾の取消し、差し止め請求

 事業者の次の行為により消費者が誤認し、または困惑した場合について、消費者は契約の申込みや承諾の意思表示を取り消すことができます。また、適格消費者団体は、不当勧誘行為差止請求をすることができます。

①消費者が誤認した場合

【不実の告知】
事業者が重要事項について事実と異なることを告げ消費者がこれを事実と誤認した場合

【断定的判断の提供】
将来におけるその価額や受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項について、事業者が断定的判断を提供して、消費者がその断定的判断の内容が確実であると誤認した場合

【不利益事実の不告知】
重要事項またはその関連事項について、その消費者の利益となる旨を告げて、かつ、不利益となる事実を故意に告げなかったことにより、消費者がその事実が存在しないと誤認した場合

②消費者が困惑した場合

消費者契約の締結について勧誘する際に、消費者の住居や会社等から退去するよう告げられても事業者が退去しない場合や、消費者が事業者から勧誘を受けている場所(事業者の店舗、営業所等)から退去したい旨を告げても退去させない場合。

(2)契約条項の無効

消費者契約法では、次のような条項は無効とされます。また、適格消費者団体は不当契約条項の差止請求をすることができます。

  • イ.
  • 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項
  • ロ.
  • 事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項
  • ハ.
  • 消費者契約が有償契約である場合、目的物の隠れた瑕疵により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項
  • ニ.
  • 消費者が消費者契約を解除したときに事業者に支払う損害賠償額の予定や違約金に関する条項で事業者の平均的賠償額を超える部分
  • ホ.
  • 消費者の履行遅滞の場合の損害金、違約金を予定する条項で、年14.6%を超える部分
  • ヘ.
  • 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込みまたはその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の適用に比べて、消費者の権利を制限し、または消費者の義務を過重する条項で信義誠実の原則に反する条項
  • ト.
  • 事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させる条項
  • チ.
  • 消費者契約が有償契約である場合において、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があること(当該消費者契約が請負契約である場合には、当該消費者契約の仕事の目的物に瑕疵があること)により生じた消費者の解除権を放棄させる条項

11.住宅の品質確保の促進に関する法律

 住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)は、住宅の品質の向上を目的とし、あわせて住宅建築に伴うトラブルの未然の防止および欠陥等が生じた場合の紛争解決が速やかにできるように定められた法律です。

(1)新築住宅の請負および売買契約に関する瑕疵担保制度

 住宅を新築する請負契約、および新築住宅の売買契約において、請負人・売主は住宅の構造耐力上主要な部分等(基礎、壁、柱、床版、屋根版等)については、引渡しの時から10年間の瑕疵担保責任を負うことが義務付けられています。民法の規定では、建築物の請負契約における請負人の瑕疵担保責任の期間は、構造によって5年または10年であり、当事者が合意すればこれを短縮することも可能と解されています。住宅の品質確保の促進等に関する法律は、その特則とされ、民法の規定に優先して適用されます。これにより、注文者または買主は、住宅を取得した後これまでよりも長期間にわたり保証が受けられることとなりました。

品確法の規定に基づく新築住宅の瑕疵担保責任に関する特例 品確法の規定に基づく新築住宅の瑕疵担保責任に関する特例

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対象となる部分のイメージ 対象となる部分のイメージ

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(2)住宅の性能評価と紛争処理体制

 住宅に関するいろいろな性能について、契約前に比較できるようにその表示基準を設定し、客観的にその性能を評価できる第三者機関を設置することによって、住宅の品質を確保しようというものです。

①共通ルールの設定

 構造耐力、遮音性、省エネルギー性などの住宅の性能を表示するための共通ルールを定め、住宅の性能を相互に比較し易くしています。なお、住宅性能表示のための共通ルールとして、国土交通大臣が日本住宅性能表示基準(表示すべき事項、表示の方法を内容とする基準)等を定めています。

②第三者機関の整備

 住宅の性能評価を客観的に行う第三者機関(登録住宅性能評価機関)を整備し、表示される住宅の性能についての信頼性が確保されています。なお、住宅性能表示は、任意の制度であり、これを利用するかしないかは住宅供給者または取得者の選択によります(利用する場合は、所定の費用がかかります)。また、登録住宅性能評価機関は、申請者の求めに応じて日本住宅性能表示基準等に従って住宅性能評価を行い、住宅性能評価書を交付することができます。

住宅性能表示のイメージ(共同住宅の場合) 住宅性能表示のイメージ(共同住宅の場合)

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③住宅性能の保証

 登録住宅性能評価機関により交付された住宅性能評価書を添付して住宅の請負契約や売買契約がされた場合、特段の意思表示がない限り、評価書に表示された性能を有する住宅の建築工事を行うことや引き渡すことを契約したものとみなされます。また、性能評価を受けた住宅に係るトラブルに対しては、裁判外の紛争処理体制が整備されており、万一のトラブルの場合にも紛争処理の円滑化、迅速化が図られています。

住宅性能表示制度による住宅の紛争処理のしくみ 住宅性能表示制度による住宅の紛争処理のしくみのイメージ

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12.反社会的勢力排除条項

 安全で住みよい社会を作るため、暴力団等の反社会的勢力を排除することを目的としていわゆる暴力団排除条例(暴排条例)が全ての都道府県で制定、施行されています。この暴排条例には、不動産を購入する場合、暴力団事務所として使用しない旨、暴力団事務所として使用していることが判明した場合、催告なく契約を解除等することができる旨の特約を定めるよう努めるとの条項が定められているのが一般的です。これを受け、不動産の業界団体では、警察庁や国土交通省の協力を得て、反社会的勢力排除に関するモデル条項を定めました。不動産の売買契約書、媒介契約書には、この反社条項が定められます。

(1)契約当事者が反社会的勢力ではない旨等の表明保証

 売主および買主は、それぞれ相手方に対し、相互に、自らが、暴力団等の反社会的勢力ではない旨の表明保証をするほか、相手方に対する脅迫的な言動または暴力を用いる行為等をしない旨の確約をします。この表明保証に違反した場合、無催告で契約を解除することが可能となります。

(2)反社会的勢力の事務所等に使用させない旨の確約

 買主は、売主に対し、自らまたは第三者をして購入した不動産を反社会的勢力の事務所その他の活動の拠点に供しないことを確約する必要があります。この確約に違反して、買主が目的物を反社会的勢力の事務所に使用し、あるいは使用させた場合、売主は契約を解除することができます。

13.費用の負担

 不動産取引においては、その不動産の売買価格以外に契約に伴うさまざまな費用が発生します。具体的には、契約書に貼付する印紙代、登記に要する費用、仲介手数料、固定資産税や都市計画税、電気、ガス、水道料金、公共負担金、町会費、マンションの場合は管理費・修繕積立金などです。

 これらの費用はどちらが負担するのか、また清算が必要な場合はどのタイミングでどのように清算するのかについても取り決めて、契約書に明記しておくことが大切です。

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本コンテンツの内容について

平成29年6月1日現在の法令に基づいて作成されています。本コンテンツは不動産の売買を検討されている方々の参考となる法令等の概略を説明するものであり、本コンテンツを利用してなされた個々の取引について弊社は何ら責任を負うものではありません。