不動産の知識・税金の知識

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不動産売買の基礎知識

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これから不動産を売却または購入をされる方のための不動産売買に関するさまざまな情報を掲載しています。

6.調査─最小限のチェックポイントとその方法

 不動産はその現況だけでなく、法律による制限や権利関係についても十分に調査して取引に臨むことが必要です。周辺の売り物件と比べて格安だということで購入したところ、思わぬ法令上、権利上の落とし穴があって、希望していた建物が建築できない等のトラブルが生じることがあります。このような事態を防ぐために、不動産を取引する際にこれだけはチェックしておきたい事項について説明します。

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これだけはチェックしておきたいこと

 不動産の購入にあたっては、現地へ行き対象不動産の状況を確認するほか、周辺の環境、境界等いくつかのチェックしておくべきポイントがあります。ここでは、そのポイントとチェック上の留意点について説明します。

1.環境、交通、利便施設、嫌悪施設の有無など

 これらは物件の購入後、そこで新しい生活を始めるうえできわめて重要な事項です。現地へ何度も足を運び、状況を確認することが必要です。その場合も、平日・祝祭日、晴天・雨天、昼・夜など条件の異なった状態での確認も大切です。平日と祝祭日とでは、騒音、車の交通量がだいぶ異なっていたり、昼間は気づかなかったが夜に歩いてみると防犯上不安が残ったりすることも起こりえます。

 なお、不動産広告などで「駅より徒歩10分」といった表示を見かけることがありますが、これは規約で80mを1分として計算されています。この場合、坂道や信号の待ち時間は考慮されていませんので、実際に自分で歩いて確認することが必要でしょう。

 また、案外見落としがちなこととして、電柱の位置やごみ置き場の問題などもあります。これらの状況によっては思ったようなプランで建物が建てられない場合がありますので注意が必要です。

2.地形、方位、日照、眺望など

 広い面積の土地と思っても、その地形のため思うような規模の建物が建てられなかったり、南側に道路が接しているため日当たりが良いと思ってもその向かい側に高い建物が建っていたりすることがあります。このように、地形と方位および現地周辺の建物の確認が必要です。

 地形と方位は図面でも確認することができますが、不動産業者が作成した図面は概略図面であることが多く、方位等が正確でない場合もありますので土地家屋調査士が作成した図面を入手して確認するか、方位磁石を持参して現地で確認した方が良いでしょう。また、建物の建築を依頼したり、工事完成前の物件(いわゆる青田売物件)を購入する場合は、日照や眺望について、設計図、日照図などに基づいた詳しい説明を受けることが大切です。

 周囲に広い空地がある場合は、そこに高層の建物が建築される可能性もありますので、その利用計画についても事前に確認しておくことが必要です。

3.面積

 土地を登記面積で売買する場合(公簿売買については7-1 2 参照)は、実測面積と差異があっても売買代金の清算は行われませんので、実測面積が登記面積と大きく違っていないか事前に確認することが必要です。


 傾斜地を含んだ土地の場合は、傾斜地部分は利用が困難なことから、傾斜地部分を除いた平坦な部分の面積がどのくらいあるか、有効に利用できる平坦地部分で見た場合、取引価格は妥当であるかについても検討しておく必要があります。

 マンションの場合、分譲会社が作成するパンフレットでは各住戸(専有部分)の床面積は壁芯(壁の中心線で測った面積)で記載されているのに対し、登記簿では内法(壁の内側で測った面積)計算と測定方法が異なるので注意が必要です。

4.境界

 隣地との境界がどのようになっているかは、土地の取引においてきわめて重要です。土地の購入にあたっては地積測量図の有無を確認することが必要です。実測図があっても、隣地所有者の立会いに関する署名捺印がないと、境界の合意があったか不明確ですので必ず署名捺印の入った地積測量図を入手しましょう。また、そのような測量図がない場合は売主の責任と負担で立会い済みの測量図を作成してもらい、境界には境界石やプレートをいれてもらうように依頼しましょう。

 また、建物のひさし、樹木、電線、塀等が越境していないか、逆に越境されていないかについても確認する必要があります。

〈参考〉筆界特定制度

 筆界とは登記された土地の境界「公法上の境界」のことをいいます。筆界特定制度が導入されたことにより、これまで長期間かかっていた境界の紛争を短期間で処理できるものとされています。土地の境界には「私法上の境界」(所有権の及ぶ範囲であり、当事者同士の合意で変更できるもの)と、「公法上の境界」(分筆や合筆といった登記申請手続きによってのみ変更できるもの)とが存在します。

 「公法上の境界」をめぐる紛争について迅速に解決する為に創設されたのが「筆界特定制度」です。したがって、「筆界特定制度」は過去(はじめに登記された時点)に定められたもともとの筆界を明示するものであり、新たに筆界の位置を設定するものではなく、確定させるための法的な効力もありません。

 具体的な手続きですが、まず、土地の所有者がその土地を管轄する法務局の筆界特定登記官に筆界特定の申請をします。法務局から任命された筆界調査委員(土地家屋調査士等)が必要な作業(実地調査、測量、関係者からの事情徴収等)を行い、その意見が筆界特定登記官に報告され、筆界が特定されることになります。

コラム 「境界を巡るトラブル」

 土地は本来一続きですが、土地の境界は、その上に人為的に定めたものに過ぎませんし、境界線そのものは土地の上に明確に表示されません。過去には、単なる石や木を境界標としていたこともあり、それでは明確に境界を画することはできません。また、境界を確認する図面として公図が多く使われていますが、公図は、地租の徴収を目的とした土地課税台帳に基づいて作成されたもので、土地の大まかな位置や形状を表しているものであり、現況と異なる場合が多いのです。

 このように、境界を画する手がかりがあいまいであることが、境界をめぐるトラブルになる原因です。中には、数十センチの土地を巡って、深刻な紛争になる場合もあります。また、境界が不明確であると、その土地の利用に支障が生じますし、売却する際の足かせにもなりかねません。

 そこで、境界が不明確である場合は、土地家屋調査士に土地境界確定測量を依頼したり、実測図を作成するなどした上で、永続性のあるコンクリート杭、石杭、金属標などの境界標を設置することが大切です。

5.柱・梁の位置、設備などの調査

 建物の間取り図で確認しても立体的にどのようになっているのか見落としがちです。天井の一部が斜めだったり、窓に目隠しが設置されていたり、柱や梁が思ったよりも大きく出ていたり、図面では把握が困難な事項もあります。また、テレビや電気のコンセントの位置等は家具の配置に大きな影響を及ぼします。事前に室内の状況をしっかりチェックしておきましょう。

6. 瑕疵について

 住まいが安全で快適な性能を有するべきことは当然ですが、建物やその存立の基礎である土地に欠陥があると、快適な生活を送ることができません。そこで、土地、建物を取得するまでに、土地、建物に瑕疵がないかをよく調査してみることが重要です。

(1)土地

 建物の存立の基礎となる地盤には、安定した支持機能を有することが必要であり、耐震性の観点から震度5程度の地震に対する安全性が求められるとする裁判例もあります。産業廃棄物等が地中に埋設されていたり化学薬品により土壌が汚染されている場合に瑕疵を認定した裁判例がありますので、気になるようであれば、購入前に、地盤の強度や土地の来歴を調べた方が適切です。

 さらに、土地には、建ぺい率、容積率、接道条件など様々な法令上の制限があります。当該土地にどのような法令上の制限があるかを調べる必要がありますが、調査については、宅建業者のような専門家に任せた方が確実です。

(2)建物

 中古建物については、雨漏りの有無、修理の履歴、設備の交換状況などを専門家に調査をしてもらう方が安全です。外見上分かりにくい雨漏りやぼやの痕跡を発見することもあります。

 また、建物に生物が棲み着くこと自体を防ぐことはできないものの、シロアリにより浸食されていた場合はもちろん、天井裏に多数のコウモリが生息していた場合など、建物としてのグレードや価格に応じた程度に快適に(清潔さ、美観など)起居することが困難と認められる場合も瑕疵と認められますので、購入前の調査が重要です。

 さらに、購入した建物でかつて自殺等があれば、通常、心理的に住みにくさを感じることになります。このような目的物にまつわる嫌悪すべき歴史的背景に起因する心理的欠陥も瑕疵となります。中古建物の場合、建物の来歴について、売主からだけでなく、近隣も含めて調べてみることも必要です。

7.マンション管理規約

 マンションは通常、管理規約や使用細則が定められています。事務所使用が認められているか否か、ペットの飼育は可能なのかその詳細は、リフォームにあたって防音上の規制は、管理人は常駐なのか日勤なのか等、マンション特有のチェックポイントがあります。マンションを購入しようとする場合、これらについてあらかじめ管理規約等で内容を確認しておくことが必要です。

 また、修繕積立金の積み立て状況や、大規模修繕計画の有無や内容等についてもあわせて確認しておく必要があります。

8.違法建物、既存不適格建物

 建物の中には、建築当初から(もしくはその後の増改築により)、建ぺい率や容積率を超えている等、違法なものがあります。また、建築当初の法令では適法であったが、その後の法令改正、新法の施行により現状の法令では不適格となっている建物もありますので、現行の法令に適した建物であるか、確認することが必要です。

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本コンテンツの内容について

平成29年6月1日現在の法令に基づいて作成されています。本コンテンツは不動産の売買を検討されている方々の参考となる法令等の概略を説明するものであり、本コンテンツを利用してなされた個々の取引について弊社は何ら責任を負うものではありません。