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2012年12月号

不動産市況や業界動向などの旬な情報を記載したコラムです。

全国中古マンション価格上昇行政区ベスト10(2012年・秋の商戦期版)

~秋の商戦も終盤に! 9→10月に中古マンション70m² 価格が上昇した行政区は!?

 2012年もいよいよ師走。早いもので今年も残すところわずか、9月から年末まで続く秋のマンション商戦期も最終盤となりました。マンション業界では新築マンションも中古マンションも秋に流通が多くなります。そこで東京カンテイのデータ協力を得て、市場が活性化するこの時期に、価格がどこで上昇したのかを中古マンションの直近データを使って調べてみました。中古マンションの平均価格は首都圏、近畿圏、中部圏ともに概ね下落基調で推移する中にあって、上昇している行政区はどのエリアにあるのでしょうか。2012年の秋の商戦期における価格動向と傾向を「おさらい」して見ましょう。

首都圏:郊外が上昇、東京23区は小幅な上昇にとどまる区がほとんど

 9月から10月にかけて首都圏で最も上昇した行政区は埼玉県上尾市で11.11%と調査対象行政区で唯一2桁の上昇を示しました。首都圏のベスト10の顔ぶれを見てみると、郊外都市で、70m² 換算価格が2,000万円を切る価格の安いエリアが並んでいます。

【首都圏 価格上昇行政区ベスト10】

順位 都道府県名 市区名 9月 10月 前月比(%)
事例数 70m² 価格 事例数 70m² 価格
1  埼玉県  上尾市 57 1,491 55 1,657 +11.11
2  千葉県  千葉市花見川区 154 1,338 142 1,436 +7.32
3  神奈川県  小田原市 61 2,019 68 2,139 +5.91
4  神奈川県  秦野市 67 993 74 1,050 +5.71
5  埼玉県  川越市 239 1,331 238 1,407 +5.65
6  千葉県  千葉市緑区 54 1,306 51 1,379 +5.54
7  神奈川県  相模原市緑区 80 2,043 85 2,155 +5.49
8  埼玉県  さいたま市西区 42 938 41 981 +4.54
9  千葉県  習志野市 152 1,491 174 1,558 +4.50
10  神奈川県  川崎市幸区 141 3,191 150 3,331 +4.38

【東京23区 価格上昇行政区ベスト10】

順位 都道府県名 市区名 9月 10月 前月比(%)
事例数 70m² 価格 事例数 70m² 価格
1  東京都  荒川区 303 3,090 313 3,213 +3.97
2  東京都  墨田区 517 3,342 502 3,391 +1.45
3  東京都  目黒区 596 4,840 623 4,906 +1.35
4  東京都  足立区 864 2,277 864 2,292 +0.66
5  東京都  江東区 1312 3,631 1325 3,652 +0.58
6  東京都  葛飾区 494 2,489 512 2,503 +0.54
7  東京都  江戸川区 597 2,832 619 2,842 +0.36
8  東京都  板橋区 891 2,722 944 2,731 +0.33
9  東京都  港区 1477 6,649 1493 6,661 +0.18
10  東京都  新宿区 939 4,432 993 4,436 +0.10

 今年の秋の商戦は、割安感が得られる郊外エリアで価格が概ね2,000万円以下の物件が多く流通し、価格がやや強含んだことがわかります。平均築年数が若返ったなどの価格上昇要因もないため、安価な物件にニーズがシフトしていることの表れと考えられます。
 このような状況は東京23区を対象にしたランキングでも明らかです。2012年10月には荒川区で3.97%上昇していますが、他の区はいずれも1.5%以下の上昇に留まっています。23区で9月から上昇したのは12区で約半数の11区は下落しています。
東京23区のベスト10でも上位は荒川区、墨田区、足立区など城北・城東の比較的流通価格の安いところが多くなっています。これらでは70m² 換算価格で2,500~3,500万円と都心の港区や千代田区と比べるとかなり「お手頃価格」となっています。首都圏では、この秋の商戦期に比較的価格の安い中古マンションにニーズが集まって郊外エリアの流通価格がやや押し上げられましたが、高額物件および高額エリアの価格は軟調で、全体としては市場価格の弱含みが続いています。

近畿圏&中部圏:首都圏と同様に比較的価格の割安なエリアで価格上昇が見られる

 下表の近畿圏と中部圏のベスト10も首都圏と同様に、中古流通価格が割安感を持った行政区が上位を占めています。近畿圏では京都府宇治市、滋賀県草津市、奈良県大和高田市など、70m² 換算で1,500万円を下回る価格で流通している行政区が入っています。
 中部圏も愛知県半田市、豊田市、三重県志摩市など、1,500万円以下の行政区で流通価格の上昇が見られます。このように価格の割安な地域の中古マンション価格が上向いたのは、リーマン・ショック以降の長引く景気後退と、急速に進展した円高によって製造業を中心に業績が悪化した影響と考えられます。
 マンション購入希望者は、収入の減少と先行きの不透明感から購入予算の縮小を余儀なくされており、高額な都心部の物件の購入者が相対的に減少し、低価格の物件に集中しているのです。そのため安価で比較的条件の良い物件には人気が出ることにより、流通価格が上昇傾向になります。
 このような動きが今後も続くかは不透明ですが、消費増税を控えてその影響が出てくる可能性があることから、駆け込み需要の高まりによって価格も強含むのではないかと考えられています。しかし、このデータを見ると、現在の景況感から脱して所得が拡大する方向に行かない限り、低予算を前提としたマンション購入が今後も主流となりそうです。

【近畿圏 価格上昇行政区ベスト10】

順位 都道府県名 市区名 9月 10月 前月比(%)
事例数 70m² 価格 事例数 70m² 価格
1  京都府  宇治市 78 1,431 81 1,531 +6.95
2  滋賀県  草津市 50 1,683 58 1,799 +6.90
3  大阪府  大阪市東住吉区 84 1,685 89 1,785 +5.91
4  奈良県  大和高田市 51 857 59 907 +5.88
5  奈良県  橿原市 51 922 54 973 +5.52
6  大阪府  大阪市平野区 87 1,645 96 1,717 +4.37
7  京都府  京都市左京区 67 2,555 65 2,657 +4.01
8  兵庫県  神戸市長田区 88 1,336 91 1,383 +3.50
9  大阪府  大阪市住吉区 124 2,100 108 2,170 +3.35
10  大阪府  大阪市阿倍野区 168 2,161 191 2,230 +3.23

【中部圏 価格上昇行政区ベスト10】

順位 都道府県名 市区名 9月 10月 前月比(%)
事例数 70m² 価格 事例数 70m² 価格
1  愛知県  半田市 74 1,069 75 1,138 +6.48
2  愛知県  豊田市 127 1,417 123 1,484 +4.67
3  三重県  志摩市 62 558 59 580 +4.00
4  愛知県  名古屋市北区 92 1,530 81 1,590 +3.88
5  愛知県  名古屋市南区 81 1,233 79 1,277 +3.61
6  静岡県  静岡市駿河区 65 1,720 72 1,770 +2.93
7  静岡県  浜松市北区 58 646 58 660 +2.28
8  愛知県  名古屋市熱田区 64 2,178 64 2,223 +2.04
9  静岡県  浜松市中区 140 1,481 158 1,510 +1.93
10  愛知県  尾張旭市 68 1,133 72 1,154 +1.88
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