不動産売却・購入の三井住友トラスト不動産:TOPお役立ち情報土地の境界・筆界アドバイスADR(裁判外紛争解決手続)による境界紛争解決とは(2023年9月号)

土地の境界・筆界アドバイス

専門家のアドバイス
中里 優

土地の境界・筆界アドバイス

土地の境界・筆界
アドバイス

土地家屋調査士
中里 優

2023年9月号

土地の境界がわからない、調べてもはっきりしない。現地でも、机の上でも、わかりづらい土地の境界について、具体例を交えて、できる限りわかりやすく伝える(ことを目的とした)、土地家屋調査士が解説したアドバイスです。

ADR(裁判外紛争解決手続)による境界紛争解決とは

ADR(裁判外紛争解決手続)とは

ADR手続の流れ

ADRにかかる費用

申立費用 40,000円(税別)
事前調査費用
(登記所等での資料の収集・調査等)
30,000円(税別)
期日費用
(期日ごとに申立人・相手方各自負担)
10,000円(税別)
成立費用 紛争の価額 250 万円までは一律30万円。これを越えるときは別途規定により加算。
算定不能の場合は、紛争の価額は300万円とされる。成立費用は、申立人と相手方とで按分することになり、負担割合は解決委員が定める。
調査・測量費用
鑑定費用
必要に応じて実施
(見積額を提示)
その他の立て替え費用 必要に応じて実費を負担(公租公課等)

ADRのデメリット

境界紛争解決手段の比較

特徴・メリット デメリット
筆界特定 ・法務局又は地方法務局の筆界特定登記官に筆界特定の申請をする。
・公法上の境界である「筆界」の位置について、筆界特定登記官の認識を示すものである。
・裁判に比べ時間がかからず費用も廉価である。
・登記所の資料等公的資料を有効に活用できる。
・特定された結果は、登記に反映することができるように登記手続との連携が図られている。
・「所有権界」は扱わないため、所有権に関する争いが残ることがある。
・筆界特定がされたこと及びその内容について公示される。
境界確定訴訟 ・裁判所に訴えの提起をする。
・公法上の境界である「筆界」の確定を求める「筆界確定訴訟」と、私法上の「所有権界」を扱う、所有権の範囲の確認を求める「所有権確認訴訟」がある。
・「筆界確定訴訟」と「所有権確認訴訟」は、併合して提起することができ、境界に関する紛争をまとめて解決することが可能。
・相手の都合に関係なく手続を進めることができる。
・時間と費用がかかる。
・手続が公開される。
・判決は、それをもって直ちに登記に反映することがで きる形に必ずしもなっていない。
ADR ・民間の紛争解決機関に境界に関する紛争の調停を申し立てる。
・「筆界」「所有権界」の両方が扱えるので 、境界に関する紛争をまとめて解決することができる。
・裁判に比べ時間がかからず費用も廉価である。
・手続は非公開で行われ、秘密が守られる。
・境界に関する専門家の弁護士と土地家屋調査士が調停にあたる。そのため、登記に反映することができる内容の調停がされる。
・手続をするためには、相手方の同意が必要である
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