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長期生活支援資金貸付制度
読み:ちょうきせいかつしえんしきんかしつけせいど

高齢者世帯の生活を支援するために、厚生労働省社会援護局が平成14年12月に創設した貸付制度のこと。日本初の全国的かつ公的なリバースモーゲージとして注目されている。

厚生労働省社会援護局地域福祉課では、従来から低所得世帯等を支援するため「生活福祉資金貸付制度」を実施しており、都道府県・市町村の社会福祉協議会がその融資主体および窓口となっていた。この「生活福祉資金貸付制度」を改訂することにより、平成14年12月24日に創設されたのが「長期生活支援資金貸付制度」である。

「長期生活支援資金貸付制度」は、土地資産を持ちながら低所得であるような65歳以上の高齢者世帯を対象として、生活資金や医療費等の貸付けを行なうという制度であり、平成15年4月以降、全国の各都道府県社会福祉協議会において順次導入・実施されている。

その具体的な内容は、およそ次の通りである(「平成14年12月24日厚生労働省発社援第1224001号厚生労働事務次官通知」などを参考とした)。

1.貸付けの仕組み
都道府県社会福祉協議会が融資主体となり、区市町村社会福祉協議会が融資申込みの受付窓口となる。また民生委員は、融資の相談業務を行なうほか、融資を受ける高齢者世帯に関する調査等を社会福祉協議会の要請により行なうものとされている。なお民間金融機関は一切関与しない。

2.融資を受けるための資格
融資を受けるためには次の1)から5)のすべての条件に当てはまることが必要である。
1)原則として65歳以上の高齢者世帯で、高齢者以外の同居人(子などの同居人)がいないこと
2)市町村民税が非課税となる程度の低所得世帯であること
3)現に居住し所有する土地および建物を担保にすること(ただしマンションおよびその敷地は不可)
4)土地および建物が配偶者との共有であるときは、配偶者を連帯債務者とすること
5)土地および建物に、借家権借地権・先順位の抵当権などの権利が付着していないこと

3.貸付けの方法
融資限度額は、現に居住している建物の敷地である土地の評価額のおおむね7割を基準として決定される。
土地評価に当たっては不動産鑑定士による簡易な評価が行なわれる。ただし評価額が1,000万円以上であることを一応の目安として、融資を実行することとされている(具体的な評価額の下限は都道府県社会福祉協議会が決定する)。
1ヵ月当たりの融資額は、原則として30万円以内である(ただし医療費等のための臨時増額が可能)。
貸付金の利率は、長期プライムレートを基準として都道府県社会福祉協議会の会長が定める。
貸付金の元金および利息は、融資契約期間中は返済する必要がなく、融資契約の終了時(高齢者の死亡時など)に一括返済する。

4.担保設定など
現に居住し所有する土地および建物に、根抵当権を設定する。さらに当該土地および建物について代物弁済予約を行なうことが必要とされている。さらに人的保証として、推定される相続人の中から1名を、融資の連帯保証人としなければならない。また融資を受ける者は、融資契約に関して推定相続人全員の同意を取得するように努めなければならない(同意を得られない推定相続人に対しては融資契約の締結を告知する)。
なお融資を受けた者が、子またはその他の者を当該不動産に新たに同居させようとする場合には、都道府県社会福祉協議会の会長の承認を受ける必要がある。

5.資金の回収
融資契約が終了した際に、金銭による返済が行なわれない場合には、都道府県社会福祉協議会の会長は、根抵当権の実行と代物弁済とのどちらかを選択し、貸付金を回収することができる(ただし融資を受けた者(またはその相続人)は代物弁済を選ぶことを会長に要請することができない)。

6.費用負担
土地の評価の費用、根抵当権の登記等の費用、不動産の処分にかかる費用は、融資を受ける者が負担する。

リバースモーゲージ

持家を担保に生活資金を融資し、所有者の死亡もしくは契約終了時に一括返済する仕組みをいう。 時間の経過とともに融資残高が増加していき、最終的に一括して返済されることが特徴である。一括返済のための資金は、一般的に、持家を処分して確保されることとなる。その間の利息も、最後に一括して支払うことが多い。 持家を所有するが収入が少ない高齢者等が生活資金を確保する仕組みとして工夫されたもので、欧米で発達した。日本では、地方公共団体が生活支援方策の一つとして活用する例があるほか(最も早い例は、1981(昭和56)年の(財)武蔵野市福祉公社(東京都武蔵野市)による「福祉資金貸付サービス」であるとされる)、金融手法の一つとしていくつかの金融機関等が導入している。 なお、契約期間終了時に持家を処分する場合にも、その後もその住宅に住み続けることのできる特約を伴うことが一般的である。

建物

民法では、土地の上に定着した物(定着物)であって、建物として使用が可能な物のことを「建物」という。 具体的には、建築中の建物は原則的に民法上の「建物」とは呼べないが、建物の使用目的から見て使用に適する構造部分を具備する程度になれば、建築途中であっても民法上の「建物」となり、不動産登記が可能になる。

敷地

建築物のある土地のことを「敷地」という。 なお、同一の敷地の上に2つの建築物がある場合には、建築基準法では、2つの建築物が用途上分けられないときは、同一敷地にあるものとみなすことになっている(建築基準法施行令1条)。 例えば、ある人の所有地の上に「住宅」と「物置」が別々に建っている場合は、この2つは用途上不可分であるので、別々の敷地上に建てたと主張することはできない、ということである。 ところで、建築基準法では「敷地」が衛生的で安全であるように、次のようなルールを設定しているので注意したい(建築基準法19条)。 1.敷地は、道より高くなければならない(ただし排水や防湿の措置を取れば可) 2.敷地が、湿潤な土地や出水の多い土地であるときは、盛り土や地盤の改良を行なう。 3.敷地には、雨水と汚水を外部に排出する仕組み(下水道など)をしなければならない。 4.崖崩れの被害にあう恐れがあるときは、擁壁(ようへき)の設置などをしなければならない。

借家権

建物の賃借権をいう。 建物の賃借権は、通常の賃借権と異なって、借家人を保護するために特別の取扱いを受ける。 主要な保護措置として、 1.登記がなくても家屋の引渡しを受ければ第三者に対抗できること 2.家主の解約や契約更新拒絶には正当事由がなければならないこと 3.契約終了時の造作買取請求権が認められること 4.内縁の妻など同居者による借家権の継承が認められること などがある。 なお、定期借家権については、原則としてこのような保護の対象とはならない。

借地権

借地権とは次の2つの権利のどちらかのことである(借地借家法第2条)。 1.建物を所有する目的で設定された地上権 2.建物を所有する目的で設定された土地賃借権 従って、資材置場にする目的で設定された土地賃借権は「借地権」ではない。 また、青空駐車場とする目的で設定された土地賃借権も「借地権」ではないことになる。

抵当権

債権を保全するために、債務者(または物上保証人)が、その所有する不動産に設定する担保権のこと。債務者(または物上保証人)がその不動産の使用収益を継続できる点が不動産質と異なっている。 債権が弁済されない場合には、債権者は抵当権に基づいて、担保である不動産を競売に付して、その競売の代金を自己の債権の弁済にあてることができる。

不動産鑑定士

国土交通省が毎年実施する不動産鑑定士試験のすべてに合格し、国土交通大臣への登録を受けた者を不動産鑑定士という。 不動産鑑定士の登録を受けるには、不動産鑑定士試験に合格し、実務講習を受けることが必要である。 不動産鑑定士は職務上高度な倫理が求められるので、法律(不動産の鑑定評価に関する法律)の規定により、故意に不当な鑑定評価をした場合には、登録抹消などの厳しい懲戒処分が行なわれる。 また不当な鑑定評価をした疑いが生じた場合には、誰でも知事または国土交通大臣に対して資料を添えてその事実を報告し、適当な措置をとることを要求することができる(不動産の鑑定評価に関する法律第42条)。

代物弁済予約

代物弁済とは、金銭債権を返済できないときに、物をもって弁済に代えるということである。 この代物弁済をあらかじめ予約しておくことで、その物を担保に入れたのと同じ状態に置くという方法が、代物弁済予約である。このような代物弁済予約に対しては、仮登記担保法が適用される。 (詳しくは仮登記担保へ)

連帯保証人

保証人(債務者が債務を履行しない場合に、その債務を債務者に代わって履行する義務を負う人)のうち、債務者とまったく同じ義務を負う保証人をいう。 通常の保証人には、催告の抗弁権(債務の履行を請求されたときに、まず主たる債務者に催告をなすべき旨を請求する権利)および検索の抗弁権(債務者の財産について執行するまで自己の保証債務の履行を拒むことができる権利)が認められるが、連帯保証人にはこれらの権利がない。つまり、債権者はいきなり連帯保証人の財産対して執行することができる。一般的に、銀行融資や消費者金融からの融資の際に求められる保証人は連帯保証人である。