三井住友トラスト不動産

用語集からキーワードを検索する
土地再評価法
読み:とちさいひょうかほう

金融機関・一定の要件を満たす株式会社・上場会社について、棚卸資産を除く事業用の土地の全部(建物は対象外)を再評価し、その土地評価益(または土地評価損)を貸借対照表に計上することを可能にした法律。正式名称は「土地の再評価に関する法律」。

土地再評価法は、1998(平成10)年3月に議員立法で3年間の時限立法として成立し、2001(平成13)年3月に期限を約1年延長され、2002(平成14)年3月31日まで適用されていた。

この土地再評価法では、金融機関や会社が所有する事業用の土地を「すべて」再評価することが必要とされており、個々の土地の評価損・評価益を合計したものが、貸借対照表に計上される。

その際、全体を合計した評価益(または評価損)は、当期利益には計上されない。従って、仮に多額の評価益が発生したとしても、再評価を行なった年度については評価益にかかる実際の税負担は発生しない。

このように土地再評価法は、主に金融機関や事業会社の資本を貸借対照表上で増強することに狙いがあり、金融機関や業歴の長い上場事業会社・上場不動産会社を中心に、1,000社以上がこの法律にもとづく土地再評価を実施し、資本の増強を実現した。

この法律にもとづき、事業用土地の全体について評価益が発生した場合、貸借対照表では、資産の部では「土地」の価額を増額し、資本の部には「再評価差額金」を計上する。
また、負債の部には「繰延税金負債」が計上される。この「繰延税金負債」とは、事業用土地を将来売却した場合に発生するであろう税負担の見込み額のことであり、将来の土地売却に備えて先取りして計上するものである。

例えば、ある会社の事業用土地全部の過去の取得価額の合計が100億円、再評価した場合の事業用土地全部の評価額が150億円、評価益に対する税率(見込み)が40%であるとすると、次の項目が貸借対照表に新たに計上されることとなる。

資産の部:土地50億円(土地の再評価による評価益)
負債の部:繰延税金負債20億円(50億円×40%)
資本の部:再評価差額金30億円(50億円×60%)

このようにして再評価による評価益のうち30億円が資本に計上され、資本が増強されるのである。

土地再評価法において土地を再評価する場合には、土地の「時価」をどのように算出するかが問題となるが、再評価の方法は政令により各金融機関・会社が次のいずれかのうちから選択できるものとされていた。

1.近隣の地価公示価格に合理的な調整を行なって算定する方法
2.近隣の都道府県基準地価格に合理的な調整を行なって算定する方法
3.固定資産税評価額に合理的な調整を行なって算定する方法
4.路線価(地価税法の時価)に合理的な調整を行なって算定する方法
5.不動産鑑定士等が行なう鑑定評価による方法

なお、土地再評価を行なった金融機関・会社についても、2005年度から減損会計が適用される予定であるので、減損会計により事業用土地の評価額の切下げが必要となった場合には、再評価後の土地価額を基準として評価額の切下げが実施されることとなる(「減損会計」「投資不動産」参照)。

建物

民法では、土地の上に定着した物(定着物)であって、建物として使用が可能な物のことを「建物」という。 具体的には、建築中の建物は原則的に民法上の「建物」とは呼べないが、建物の使用目的から見て使用に適する構造部分を具備する程度になれば、建築途中であっても民法上の「建物」となり、不動産登記が可能になる。

貸借対照表

企業の一定時点での財務状態を明らかにする書類をいう。 英語でBalance Sheetといわれることから、BS(またはB/S)と略されることもある。 貸借対照表は、ある時点における、企業または企業グループの資産、負債、純資産の状態を表示している。 資産には、現金、設備、不動産など企業が保有する経済的な価値が、負債と純資産は資産を保有するための資金調達の状態が計上される。 他者から借入した資金(買掛金、借入金等)が負債であり、企業所有者の出資金(資本金)および企業に帰属する利益剰余金等が純資産である。そして、資産と、負債および純資産の合計とは常に一致する。 貸借対照表からは、当該企業の企業価値、負債負担能力、資金活用状況など、企業財政の状態等を分析するための基礎的なデータを得ることができる。

地価公示

最も代表的な土地評価である地価公示は、地価公示法にもとづき、国土交通省土地鑑定委員会が毎年3月下旬に公表する土地評価である。 地価公示では全国で選定された2万6,000地点(令和5年)の「標準地」について、毎年1月1日時点を基準日として各標準地につき2名以上の不動産鑑定士等の鑑定評価を求め、その正常な価格を土地鑑定委員会が判定し、毎年3月下旬に公示する。この公示された価格を「公示地価」という。 地価公示によって評価された公示地価は、一般の土地取引価格の指標となるだけでなく、公共用地の取得価格の算定基準ともなっている。 ◆関連サイト: 「国土交通省地価公示/都道府県地価調査」

固定資産税評価額

固定資産税評価額とは、固定資産課税台帳に記載された土地・家屋の評価額のことである。 この固定資産税評価額は、毎年度の初めに市町村から送付されてくる固定資産税の「納税通知書」に添付されている「課税資産明細」に記載されている。 また、毎年の一定期間内において所有者等は、固定資産課税台帳を市町村の窓口で縦覧して、固定資産税評価額を確認することができる(詳しくは固定資産課税台帳の縦覧制度へ)。 なお、土地・家屋の固定資産税評価額については3年に1度「評価替え」が実施されており、この評価替えの年度を「基準年度」という。 この固定資産税評価額は、基準年度の評価額が次年度および次々年度にそのまま引き継がれるのが原則である。 ただし、次の1.または2.の事情等があるときは、基準年度以外の年度であっても、土地の固定資産税評価額を変更するものとされている。 1.分筆、合筆、地目の変更により土地の区画・形質が変化したこと 2.著しい地価の下落があったこと

路線価

宅地の価額がおおむね同一と認められる一連の宅地が面している路線(公衆が通行する道路のこと)について、その路線に面する宅地の1平方メートル当たりの価額を1,000円単位で表示したものを「路線価」という。 宅地の価格水準が基本的にはその宅地が面する道路によって決定されるという発想にもとづいて、宅地の価格水準を道路ごとに表示したものと考えることができる。 公的な土地評価では、相続財産評価および固定資産税評価においてこの路線価が使用されている。 相続財産評価では市街地の宅地については路線ごとに「路線価」を定め、この路線価を基準として各種の補正率を適用し、宅地の財産評価を行なう。 この相続財産評価の路線価は、地価公示価格・売買実例価額・鑑定評価額・精通者意見価格などを参考として各国税局の局長が評定する。評定の基礎となる「標準宅地」としては全国で約40万地点が定められている。 この相続財産評価の路線価は、毎年1月1日を評価時点として評定され、毎年7、8月ごろに一般に公開されている。 なお、相続財産評価の路線価は、1992(平成4)年以降は地価公示の8割程度となるように評定されている。 ◆関連サイト: 「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」

不動産鑑定士

国土交通省が毎年実施する不動産鑑定士試験のすべてに合格し、国土交通大臣への登録を受けた者を不動産鑑定士という。 不動産鑑定士の登録を受けるには、不動産鑑定士試験に合格し、実務講習を受けることが必要である。 不動産鑑定士は職務上高度な倫理が求められるので、法律(不動産の鑑定評価に関する法律)の規定により、故意に不当な鑑定評価をした場合には、登録抹消などの厳しい懲戒処分が行なわれる。 また不当な鑑定評価をした疑いが生じた場合には、誰でも知事または国土交通大臣に対して資料を添えてその事実を報告し、適当な措置をとることを要求することができる(不動産の鑑定評価に関する法律第42条)。

減損会計

資産を収益性にもとづいて評価し、その結果認識された損失を当該資産の帳簿価額に反映させる手続きをいう。回収の見込みがない投資額は、損失として処理すべきであるという考え方(時価主義)にもとづく会計上の仕組みである。 資産評価によって把握した損失を処理する会計手法には、資産の帳簿価額自体を減額する方法と、損益計算において当該損失を計上する手法とがある。前者が減損会計であり、後者が時価会計である。減損会計においては評価価額の増加は計上できないが、時価会計では評価益を計上することができるなどの違いがある。資産の性格や会計の目的に応じて適切な手法を選択すべきとされている。 減損会計の対象となる資産は固定資産、および投資資産であるが、金融商品など時価会計を適用すべきとされている資産は除外される。減損会計の手続きは、 1.対象資産の確定、2.グルーピング(一体的に収益を生む複数の資産を単位化する)、3.減損の兆候の認識、4.減損損失の認識(資産から得られるであろう割引前将来キャッシュ・フローと帳簿価額を比較する)、5.減損損失の測定(帳簿価額を回収可能価額まで減額する、回収可能価額は、資産の使用価値、または正味売却価額のいずれか高い金額) という順に進められる。 減損会計は、国際会計基準の一部として欧米で早くから取り入れられていたが、日本でも、2005(平成17)年4月1日以後に開始する事業年度からは全面的に適用されることとなった。

減損会計

資産を収益性にもとづいて評価し、その結果認識された損失を当該資産の帳簿価額に反映させる手続きをいう。回収の見込みがない投資額は、損失として処理すべきであるという考え方(時価主義)にもとづく会計上の仕組みである。 資産評価によって把握した損失を処理する会計手法には、資産の帳簿価額自体を減額する方法と、損益計算において当該損失を計上する手法とがある。前者が減損会計であり、後者が時価会計である。減損会計においては評価価額の増加は計上できないが、時価会計では評価益を計上することができるなどの違いがある。資産の性格や会計の目的に応じて適切な手法を選択すべきとされている。 減損会計の対象となる資産は固定資産、および投資資産であるが、金融商品など時価会計を適用すべきとされている資産は除外される。減損会計の手続きは、 1.対象資産の確定、2.グルーピング(一体的に収益を生む複数の資産を単位化する)、3.減損の兆候の認識、4.減損損失の認識(資産から得られるであろう割引前将来キャッシュ・フローと帳簿価額を比較する)、5.減損損失の測定(帳簿価額を回収可能価額まで減額する、回収可能価額は、資産の使用価値、または正味売却価額のいずれか高い金額) という順に進められる。 減損会計は、国際会計基準の一部として欧米で早くから取り入れられていたが、日本でも、2005(平成17)年4月1日以後に開始する事業年度からは全面的に適用されることとなった。