三井住友トラスト不動産

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住宅トップランナー基準
読み:じゅうたくとっぷらんなーきじゅん

一戸建て住宅についてのエネルギー消費性能の向上促進のための基準で、住宅供給事業において適合すべきとされる。建築物省エネ法に基づいて定められている。

基準は、(1)外皮熱性能について省エネ基準に適合すること、(2)一次エネルギー消費量省エネ基準に比べて一定割合(建売戸建住宅は15%、注文戸建住宅は20%(将来は25%)、賃貸アパートは10%)を削減することとされている。

また、年間供給量が一定数(建売戸建住宅は150戸、注文戸建住宅は300戸、賃貸アパートは1,000戸)以上の建築主であって住宅トップランナー基準に適合しない者に対しては、必要がある場合には、国土交通大臣は省エネ性能の向上を勧告することができ、その勧告に従わなかった場合にはその旨を公表できるとされている。 

一戸建て

独立した一軒の家屋がひとつの住戸となっている住宅。「戸建て」も同じ意味である。これに対して、複数の住戸で構成される建物を「集合住宅」「共同住宅」という。

建築物省エネ法

建築物の省エネルギー性能を向上するための措置を定めた法律。正式名は「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」で、2015年7月8日に公布され、施行日は2017年4月1日である(一部は2016年4月1日施行)。 同法に規定されている主な措置は、次の通りである。 1 建築主に対する規制措置 (1)一定規模以上の非住宅建築物について、その新築時等に、省エネ基準(一次エネルギー消費量に関する基準)に適合していることを義務づける。 (2)一定規模以上の建築物について、その新増改築などを為す場合に、エネルギー消費性能の確保のための構造および設備に関する計画を届け出ることを義務づける。また、その計画が省エネ基準に適合しない場合には、必要に応じて、省エネ性能の向上のための措置を指示・命令することができることとする。 (3)住宅事業建築主が供給する建売戸建住宅に関する省エネ性能の向上のための基準(住宅トップランナー基準)を定め、一定数以上の住宅を新築する事業主に対して、必要に応じて、省エネ性能の向上を勧告することができることとする。法改正により、分譲型住宅のトップランナー制度の対象を、分譲マンションにも拡大することとなった。 2 省エネ性能向上計画の認定 建物の新築および省エネ性能向上のための改修等に当たって、省エネ性能向上計画を作成し、誘導基準に適合するなどの認定を受ける制度を定める。また、認定を受けた場合には、容積率の特例を適用することとする。 3 エネルギー消費性能の表示 建築物の所有者が、その所有する建築物について省エネ基準に適合する旨の認定を受け、エネルギー消費性能を表示する制度を定める。法改正により、2024年より販売・賃貸の広告に省エネ性能を表示する制度がスタートすることになった。 4 建築物エネルギー消費性能判定機関等の登録 建築物の省エネ基準等への適合を判定する業務を実施する機関または建築物のエネルギー消費性能を評価する業務を実施する機関が、それぞれ、国土交通大臣の登録を受ける制度を定める。登録を受けた機関は、それぞれ、「登録建築物エネルギー消費性能評価判定機関」または「登録建築物エネルギー消費性能評価機関」として、建築物省エネ法に基づく判定または評価の業務を実施できることとする。

外皮熱性能

建築物のエネルギー消費性能を評価するときの評価指標のひとつで、室内外の温度差による熱損失量をいう。この数値が小さいほど省エネの程度は大きい。 非住宅建築物については、屋内周囲空間(外気に接する壁から5m以内の屋内空間、屋根直下階の屋内空間および外気に接する床直上の屋内空間、「ペリメータゾーン」という)の単位ペリメータゾーン床面積当たり年間熱負荷(単位は、メガジュール/平方メートル・年、「PAL*」という)を算定する。これを基準として用いる場合には、用途および地域区分に応じて基準とする数値を調整する。 住宅については、外壁や窓の外皮平均熱貫流率(外皮面積・単位温度当たりの熱損失量で、単位は、ワット/平方メートル・度、「UA値」という)および冷房期(一日の最高気温が32度以上となる期間)の平均日射熱取得率(単位外皮面積当たりの日射量に対する日射熱取得量の割合で、「ηA値」という)を算定する。これを基準として用いる場合には、地域の区分に応じて基準とする数値を調整する。 その具体的な算定方法は、国土交通大臣が定めるとされている。 なお、エネルギー消費性能の基準として外皮熱性能が用いられるのは、(1)住宅に関する省エネ基準、および、(2)全ての建物に関する誘導基準においてである。

一次エネルギー消費量

建築物のエネルギー消費性能を評価するときの評価指標のひとつで、建物の利用に伴う直接的なエネルギー消費量(エネルギー利用の効率化設備によるエネルギー消費削減量を含む)をいう。この数値が小さいほど省エネの程度は大きい。 非住宅建築物については、空気調和設備、空調設備以外の機械換気設備、照明設備、給湯設備、エレベーター、その他の一次エネルギー消費量を合計し、エネルギー利用の効率化設備によるエネルギー消費削減量を減じた消費量を算定する。 住宅については、暖房設備、冷房設備、機械換気設備、照明設備、給湯設備、その他の一次エネルギー消費量を合計し、エネルギー利用の効率化設備によるエネルギー消費削減量を減じた消費量を算定する。 その具体的な算定方法は、国土交通大臣が定めることとされているが、いずれも、一年当たりのエネルギー量(メガジュール/年)で表される。 省エネの程度を評価する場合の一次エネルギー消費量は、省エネ基準を1とすれば、誘導基準は、非住宅建築物については0.8倍、住宅については0.9倍、住宅トップランナー基準は0.85倍(建売戸建住宅)の水準に設定されている。

省エネ基準

建築物の使用によって消費されるエネルギー量に基づいて性能を評価する場合に、その基準となる性能をいう。「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(建築物省エネ法)に基づいて定められている。法令上の用語は「建築物エネルギー消費性能基準」である。 省エネ基準は、(A)一次エネルギー消費量に関する基準、(B)外皮熱性能に関する基準の二つから構成されている。 (A)一次エネルギー消費量に関する基準 すべての建物についての基準で、一定の条件のもとで算出した、空調、照明、換気、給湯等の諸設備のエネルギー消費量および太陽光発電設備等によるエネルギーの創出量 (B)外皮熱性能に関する基準 住宅についての基準で、一定の条件のもとで算出した、外壁や窓の外皮平均熱貫流率(単位外皮面積・単位温度当たりの熱損失量)および冷房期の平均日射熱取得率(単位外皮面積当たりの単位日射強度に対する日射熱取得量の割合)であって、地域の区分に応じて定める (注:非住宅建築物についても外皮熱性能に関する基準が定められているが、これは、建築物省エネ法上の「建築物エネルギー消費性能基準(省エネ基準)」とはされていない。) 省エネ基準は、建築物省エネ法による次のような規制、指導、表示などにおいて、その判定、指示、認定等の基準となっている。 (1)適合義務 一定規模以上の非住宅建築物は、新築時等に、一次エネルギー消費量に関する省エネ基準に適合しなければならず、基準不適合の場合には、建築確認を受けることができない。 (2)届出義務 一定規模以上の建築物(住宅、非住宅建築物)について、新増改築時に、エネルギー消費性能の確保のための構造および設備に関する計画を届け出なければならず、省エネ基準に適合しない場合には、必要に応じて指示・命令がなされる。 (3)エネルギー消費性能の表示 建築物の所有者は、その建築物が省エネ基準に適合することの認定を受け、その旨を表示することができる。 なお、建築物のエネルギー消費性能に関する基準には、省エネ基準のほか、次のものがある。 ア)住宅トップランナー基準 住宅事業建築主に対して、その供給する建売戸建住宅の省エネ性能を誘導する際に適用する基準 イ)誘導基準 省エネ性能向上計画の認定を受けて容積率の特例を受ける際の基準