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補償基準(用地補償における~)
読み:ほしょうきじゅん(ようちほしょうにおける)

公共事業に必要な土地等を取得・使用することに伴って生じる損失に対して補償する場合の基準をいう。「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」(1962(昭和37)年6月29日閣議決定)として明文化されている。
その基本的な原則は、補償の対象は財産権の損失に限定する、補償は損失を被る者に対して個別に行なう、金銭で補償する(代替地提供などの現物補償は原則的として行なわない)の3つである。

補償基準では、土地を取得する場合は正常な取引価格によって補償することとし、その価格は、近傍類地の取引価格を基準として価格形成上の諸要素を比較考量して算定するとされる。そのほか、移転料等、立木補償、営業補償、農業補償、漁業権等の補償、残地補償など各種の損失補償について、その算定基準を規定している。

この基準はすべての公共事業について適用される。また、補償基準によって補償額を算定するのは、用地交渉によって契約で土地等を取得・使用する場合であるが、土地収用法による収用裁決で土地等を取得・使用する場合の損失補償に当たっても、補償基準とほぼ同様の考え方が採用されている。

補償基準は、公的な土地取引などに当たっての価格算定基準等として機能しているが、私的な不動産取引においても参考となるほか、補償額の算定手法などにおいて不動産鑑定基準と共通するところが多い。

残地補償

同一の土地所有者に属する一団の土地の一部を収用し、または使用することによって、残地の価格が減少、その他残地に関して損失が生ずるときは、起業者はその損失補償を行なわなければならない。これを「残地補償」という(土地収用法第74条)。

損失補償(土地収用法における~)

収用により、土地や物件を収用された場合、土地や物件に関する従前の権利は消滅する。この経済的損失に対する対価として支払われるものを「損失補償」という。 損失補償は、土地に対する補償(土地収用法第71条)、土地に関する所有権以外の権利に対する補償(同法第71条)、残地補償(同法第74条)、みぞかき補償(同法第75条)、土地上の物件の(同法第77条)、物件の補償(同法第80条)、その他の通常損失(同法第88条)などに大きく分けられる。 損失補償を受けることができるのは、土地所有者と関係人である(土地収用法第68条)。(ただし、収用した土地の隣地等が損失を受ける場合がある。この場合は土地所有者・関係人以外の者が損失補償を受けることができる(土地収用法第93条))。 手続き面では、収用委員会による収用の裁決で、損失補償の内容と、権利取得の時期を決定する(土地収用法第48条、第49条)。この裁決に従い、収用者(起業者)が、権利取得の時期までに金銭払い等を行なうことにより、権利取得の時期において、土地や物件に関する従前の権利が消滅することになる。 損失補償では、「個別払いの原則」が設けられている。損失補償は土地所有者や関係人の各人に個別に別々に支払わなければならないが、例外として各人別に見積もることが困難であるときは、複数人をまとめて支払うことも許される(土地収用法第69条)。 また、損失補償は金銭で支払うことが必要である(金銭払いの原則)。しかし替地による補償、耕地の造成、工事の代行による補償、移転先の代行による補償、宅地の造成といういわゆる現物補償が行なわれる場合もある。これらの現物補償は、収用委員会の裁決によって行なう(土地収用法第70条、第82条から第86条まで)。 なお、土地収用を行なう事業が変更・廃止された場合には、それによって損失を被った土地所有者・関係人が損失補償を受けることができる(土地収用法第92条)。

不動産鑑定

不動産の鑑定評価に関する法律(昭和38年法律第152号)に基づき、不動産鑑定士が不動産の経済価値を判定することをいう。 不動産の経済価値を判定する方法としては、金融機関による担保評価や、不動産会社による簡易査定などがあるが、不動産鑑定は公式かつ最も信頼性の高い方法であるといえる。 地価公示における標準地の評価や、都道府県地価調査における基準地の評価は、不動産鑑定によって行なわれる。 また民事裁判において、相続された不動産の評価や、金融機関が担保とする不動産の評価が問題になるケースでは、不動産鑑定士または不動産鑑定士補に依頼し、不動産鑑定を行なうのが一般的である。