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流通業務市街地整備法
読み:りゅうつうぎょうむしがいちせいびほう

流通業務施設(トラックターミナル、貨物駅、倉庫など)の計画的な立地を推進することによって、流通機能の向上と道路交通の円滑化を図るための法律で、正式名称は「流通業務市街地の整備に関する法律」である。1966(昭和41)年制定。

同法が規定する主な内容は、流通業務施設の整備に関する基本方針の策定、流通業務地区を指定しその地区内では流通業務施設等以外の施設の建設を制限すること、流通業務団地造成事業の施行手続きを定めることなどである。

なお、流通業務地区は都市計画地域地区の一つとして指定され、流通業務団地は都市計画における都市施設として整備される。

流通業務地区

流通機能の向上のために都市計画で定められる地区。地域地区の一つで、地区内における建築行為等が制限される。「流通業務市街地の整備に関する法律」に基づく制度である。 流通業務地区は、流通業務市街地を整備する必要があるとして都道府県知事が定める都市の区域のうち、交通施設の整備の状況に照らして流通業務市街地として整備することが適当であると認められる区域を対象に、指定される。 流通業務地区内では、貨物の積卸しのための施設、荷さばき場、運送業等の用に供する事務所など一定の施設以外の新増築や用途変更が禁止される。ただし、機能を害する恐れがないとして許可される場合がある。また、流通業務地区内の建築物については、用途地域および特別用途地区の規制は適用されない。

都市計画

土地利用、都市施設の整備、市街地開発事業に関する計画であって、都市計画の決定手続により定められた計画のこと(都市計画法第4条第1号)。 具体的には都市計画とは次の1.から11.のことである。 1.都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(都市計画法第6条の2) 2.都市再開発方針等(同法第7条の2) 3.区域区分(同法第7条) 4.地域地区(同法第8条) 5.促進区域(同法第10条の2) 6.遊休土地転換利用促進地区(同法第10条の3) 7.被災市街地復興推進地域(同法第10条の4) 8.都市施設(同法第11条) 9.市街地開発事業(同法第12条) 10.市街地開発事業等予定区域(同法第12条の2) 11.地区計画等(同法第12条の4) 注: ・上記1.から11.の都市計画は、都市計画区域で定めることとされている。ただし上記8.の都市施設については特に必要がある場合には、都市計画区域の外で定めることができる(同法第11条第1項)。 ・上記4.の地域地区は「用途地域」「特別用途地区」「高度地区」「高度利用地区」「特定街区」「防火地域」「準防火地域」「美観地区」「風致地区」「特定用途制限地域」「高層住居誘導地区」などの多様な地域・地区・街区の総称である。 ・上記1.から11.の都市計画は都道府県または市町村が定める(詳しくは都市計画の決定主体へ)。

地域地区

都市計画において、土地利用に関して一定の規制等を適用する区域として指定された、地域、地区または街区をいう。 指定する地域地区の種類に応じて、その区域内における建築物の用途、容積率、高さなどについて一定の制限が課せられる。 地域地区の種類は、次の通りである。 1.用途地域 2.特別用途地区 3.特定用途制限地域 4.特例容積率適用地区 5.高層住居誘導地区 6.高度地区または高度利用地区 7.特定街区 8.都市再生特別措置法による都市再生特別地区、居住調整地域または特定用途誘導地区 9.防火地域または準防火地域 10.密集市街地整備法による特定防災街区整備地区 11.景観法による景観地区 12.風致地区 13.駐車場法による駐車場整備地区 14.臨港地区 15.古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法による歴史的風土特別保存地区 16.明日香村における歴史的風土の保存および生活環境の整備等に関する特別措置法による第一種歴史的風土保存地区または第二種歴史的風土保存地区 17.都市緑地法による緑地保全地域、特別緑地保全地区または緑化地域 18.流通業務市街地の整備に関する法律による流通業務地区 19.生産緑地法による生産緑地地区 20.文化財保護法による伝統的建造物群保存地区 21.特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法による航空機騒音障害防止地区または航空機騒音障害防止特別地区

都市施設

都市施設とは、道路、公園、上下水道など都市において必要となる公共的な施設のことである。 1.都市施設の種類 都市計画法では、都市施設として、次の11種類の施設を定めている(都市計画法第11条1項)。 1)道路、都市高速鉄道、駐車場、自動車ターミナルその他の交通施設 2)公園、緑地、広場、墓園その他の公共空地 3)水道、電気供給施設、ガス供給施設、下水道、汚物処理場、ごみ焼却場その他の供給施設または処理施設 4)河川、運河その他の水路 5)学校、図書館、研究施設その他の教育文化施設 6)病院、保育所その他の医療施設または社会福祉施設 7)市場、と畜場または火葬場 8)一団地(50戸以上)の住宅施設 9)一団地の官公庁施設 10)流通業務団地 11)電気通信事業用の施設その他(施行令第5条) 2.都市施設を定める基準 都市施設を都市計画で決定する際には、次の基準が設けられている。 1)市街化区域、区域区分が定められていない都市計画区域(いわゆる非線引き区域)では、必ず、道路、公園、下水道を定めなければならない(都市計画法第13条第1項第11号)。 2)住居系の用途地域内では、必ず義務教育施設を定めなければならない(都市計画法第13条第1項第11号)。ちなみに住居系の用途地域とは、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域を指す。 3)都市施設は原則として都市計画区域内で定めるが、特に必要があるときは、都市計画区域の外で定めることもできる(都市計画法第11条第1項)。 3.都市施設を定める主体 都市施設を都市計画として決定する主体は、原則として「市町村」である。ただし、広域的見地から決定すべき都市施設、根幹的都市施設については「都道府県」が決定主体となる。 具体的には、国道、都道府県道、4車線以上の道路、流域下水道、産業廃棄物処理施設等は「都道府県」が決定する(都市計画法第15条第1項第5号、同施行令第9条第2項)。 4.建築の制限 都市計画として決定された都市施設(これを「都市計画施設」という)の区域では、都市施設を実際に整備する事業が進行するので、その整備の事業の妨げになるような建物の建築は厳しく制限される(詳しくは都市計画施設の区域内の制限へ)。 5.施行予定者を定めるとき 「一団地の住宅施設(ただし面積が20ha以上のものに限る)」、「一団地の官公庁施設」、「流通業務団地」については、都市施設に関する都市計画で「施行予定者」を定めることが可能である(都市計画法第11条第5項)。 都市施設に「施行予定者」を定めた場合には、原則として2年以内に都市計画事業の認可を申請しなければならない(都市計画法第60条の2)。 また、いったん施行予定者を定めた以上は、施行予定者を定めないものへと計画を変更することは許されない(都市計画法第11条第6項)。