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長期優良住宅に関する課税の特例
読み:ちょうきゆうりょうじゅうたくにかんするかぜいのとくれい

長期優良住宅として認定された住宅(認定長期優良住宅)を対象とした税制上の優遇措置。その内容は、次の3つである。


1 住宅ローン減税の上乗せ 
 認定長期優良住宅に対する住宅ローン減税について、控除対象借入金限度額を、一般住宅よりも優遇する。

2 所得税額の控除(投資型減税)     
 認定長期優良住宅の新築・取得等において、標準的な性能強化費用(通常の住宅よりも上乗せして必要となる費用)の10%を所得税額から控除する(居住年に応じて控除対象額および控除額に限度がある)。

3 登録免許税不動産取得税固定資産税の軽減措置
認定長期優良住宅に対する登録免許税・不動産取得税・固定資産税の課税について、次のような軽減措置を適用する。
・登録免許税:税率を一般住宅の特例よりもさらに引き下げる。
 所有権保存登記 0.15%→0.1%
 所有権移転登記 0.3%→マンション0.1%、戸建て0.2%
・不動産取得税:課税標準からの控除額を一般住宅の特例よりも増額する。
 1,200万円→1,300万円
・固定資産税:軽減期間を一般住宅特例よりも延長する。
 戸建て住宅 3年→5年、中高層住宅 5年→7年

ただし、これら1〜3の特例の適用については期限が定められているので、具体的な期限について確認が必要である。

認定長期優良住宅

長期にわたって良好な状態で使用するための措置が講じられているとして、行政庁が認定した住宅をいう。「長期優良住宅の普及の促進に関する法律(長期優良住宅普及促進法)」に基づく制度である。 長期優良住宅として認定されるためには、次の基準を満たさなければならない。1)長期使用構造等に関する基準 i)劣化対策:構造躯体が少なくとも100年程度の間継続して使用できること ii)耐震性:大規模地震力に対する変形を一定以下に抑制すること iii)可変性:ライフスタイルの変化等に応じて構造・設備の変更を容易にすること iv)維持管理・更新の容易性:内装・設備の維持管理を容易に実施できること v)省エネルギー性:断熱性能等の省エネルギー性能が確保されていること vi)バリアフリー性:バリアフリー改修に対応するためのスペースが確保されていること(共同住宅について)2)地区計画、景観計画、建築協定等と調和していること3) 自然災害による被害の発生の防止または軽減に配慮されたものであること4)良好な居住水準を確保するために必要な住戸面積が確保されていること5)維持保全計画を策定し、構造耐力上の主要部、雨水の浸入を防止する部分、給水・排水設備について、少なくとも10年ごとに点検すること 認定長期優良住宅の新築等に対しては、税制上の優遇措置(住宅ローン減税の上乗せ、性能強化費用の一部についての所得税額の特別控除、登録免許税等の軽減)や容積率の特例が適用される。

住宅ローン減税

所得税の課税に当たって、住宅ローンの残高の一部を税額から控除する制度をいう。一定の要件に該当する住宅を居住の用に供した年以降13年間(一定の住宅については10年間)に渡って、当該住宅に係るローン残高の一部を各年分の所得税額から控除できる。 住宅借入金等特別控除制度ともいわれ、これにより住宅取得等のための借入金に係る負担が軽減される。  対象となるのは、床面積、入居年その他についての一定の要件を満たす住宅の新築、購入、増改築等のための借入金等(その住宅の敷地を取得するための借入金等を含む)の残高がある場合である。また、所得が一定の額以下でないと適用されない。 控除期間は入居後13年間(一定の場合は10年間)であって、控除額は年末の借入金残高の0.7%(2021年までに入居の場合は1%)であるが、控除の対象となる借入金の残高について、住宅の品質(認定長期優良住宅、認定低炭素住宅等であるかどうか)、入居年等に応じて限度額が決められている。 この特別控除の適用は、2025(令和7)年12月31日までである。 なお、この控除と、居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除制度とは併用可能である。

所得税

個人の所得に対して課される税金で、国税である。 課税の対象となる所得は、給与所得、事業所得、利子所得、配当所得、不動産所得、譲渡所得、退職所得、山林所得、一時所得、雑所得に分類されている。たとえば、家賃収入など不動産の貸付けによって得る収入は不動産所得、不動産の譲渡によって得る収入は譲渡所得である。 所得額の計算は、所得の種類ごとに定められている方法で行なう。課税額は、退職所得及び山林所得以外の所得については、それぞれの所得額を合算した金額をもとに算定する(総合課税)。また、退職所得および山林所得については、他の所得から分離してそれぞれの課税額を算定する。 所得税の課税額は、(1)所得額から、社会保険料控除、医療費控除、配偶者控除・配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除などの控除対象となる金額の合計額を減じてその差額を求め(これが課税所得金額)、(2)課税所得金額に所得税率を乗じ、(3)さらに、乗じて得た金額から、配当控除、住宅ローン控除(住宅ローン減税)、住宅耐震改修特別控除等の税額控除の対象となる金額の合計額を差し引いて算出する。これが納付すべき税額(基準所得税額)である。 所得税については累進課税制度が採用され、その税率は、課税所得金額が195万円までは5%、これを超える金額については、一定の額を超えるごとに、10%、20%、23%、33%、40%、45%と高くなっていくように設定されている。 なお、2013年から37年までは、復興特別所得税額(基準所得税額に2.1%を乗じた金額)を加算して納税しなければならない。 また、所得税は申告によって納付するが、申告納税額は、基準所得税額と復興特別所得税額の合計額から源泉徴収税額および外国税額控除額を差し引いた残りの金額である。従って、申告の必要がない場合もあるし、申告によって税金が還付される場合もある。

登録免許税

不動産の所有権を登記する場合や、抵当権を登記する場合に、登記所で納付する国税のことである。登録免許税は一般には「登記料」などと呼ばれることも多い。 登録免許税は、原則的には現金で納付し、その領収証書を登記申請書に貼付するが、その税額が3万円以下の場合には印紙によって納付することができる。 登録免許税の税率は、登記の種類ごとに「登録免許税法」によって定められている。 なお、住宅の建物部分や土地に関する所有権の移転、保存などの登記については、時限的に、登録免許税の軽減措置が講じられている。(詳細は、「登録免許税の軽減措置(住宅の建物部分)」「登録免許税の軽減措置(土地)」を参照。) また、土地を相続登記する場合の登録免許税は、法務大臣が指定する土地について免除される。ただし、この特例の適用には期限があるので注意が必要である。  

不動産取得税

不動産を有償または無償で取得した場合や改築等により不動産の価値を高めた場合に、その取得者等に課税される地方税のことである。 不動産の所在地の都道府県が課税の主体となるので、実際の徴収事務は都道府県が行なうこととされている。 不動産取得税の税率は原則的に「不動産の固定資産税評価額の4%」とされている。 ただし「住宅の建物部分」に係る不動産取得税については「建物部分の固定資産税評価額の3%」とされている(地方税法附則第11条の2)。 ちなみにここでいう「住宅」には別荘を含まない。ただし、週末を過ごすため郊外に購入した2つめの住宅や、勤務地の近くに購入した2つ目の住宅といったいわゆる「セカンドハウス」はここでいう「住宅」に含まれる。 なお、一定の要件を満たす「住宅の建物部分」や一定の要件を満たす「住宅用土地」については、不動産取得税の税額そのものの大幅な軽減措置が設けられている。 不動産取得税は原則的には、不動産を取得した者に対して、不動産の取得の日において課税される(地方税法第73条の2第1項)。 ただし、新築によって建物を取得した場合には「最初に使用された日」または「譲渡された日」が「取得の日」とみなされて、その日における所有者が納税義務を負うケースがある(地方税法第73条の2第2項)。具体的には次の通りである。 1.「最初に使用された日」が「取得の日」となるケース 賃貸業を行なう個人が、建築業者に賃貸建物を新築させた場合には、新築の日ではなく、最初に借家人が使用した日が「取得の日」となる。 また、一般の個人が建築業者に自己の居住用の建物を新築させた場合には、新築の日ではなく、最初にその個人が入居した日が「取得の日」となる。 2.「譲渡された日」が「取得の日」となるケース 建売分譲業を行なう会社が、建築業者に建売住宅を新築させた場合には、新築の日ではなく、建売住宅が販売された日に課税される。このとき納税義務者は建売住宅の購入者となる。 なお、上記1.2.の場合において、新築の日から6ヵ月を経過しても、最初の使用や譲渡が発生しない場合には、その6ヵ月を経過した日が「取得の日」とみなされる。

固定資産税

毎年1月1日現在において、土地・家屋等を所有している者に対し、市町村が課税する地方税のこと。 不動産の所在地の市町村が課税の主体となるので、実際の徴収事務は市町村の税務担当部署が行なう。 固定資産税の納付方法については、年度初めに市町村から土地・家屋の所有者に対して、固定資産税の「納税通知書」が送付されてくるので、それに従って年度内に通常4回に分割して納付することとされている(ただし1年分をまとめて先に支払うことも可能である)。 固定資産税の税額は原則的に「固定資産税課税標準額の1.4%」とされている。 ただし、一定の新築住宅については固定資産税額の軽減措置が実施されている。また、住宅用地については固定資産税課税標準額そのものが6分の1または3分の1に圧縮されている。 固定資産税は毎年1月1日において、固定資産課台帳に所有者として登録されている者に課税される。 従って、年の途中で不動産の売買が行なわれて、所有者が変わった場合であっても、納税義務者は元の所有者となる。こうした場合には不動産売買契約書において、その年度分の固定資産税額の一部を新所有者が負担するという特約を設けることが多い。